素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

『毎日が発見』3月号より②

2010年03月21日 | 日記
 昨日の15時に、第二京阪道路が開通した。ちょうど私の部屋から遠くに見下ろすことができる。夜になっても結構交通量があり、等間隔で走るヘッドライトが深夜まで見ることができた。日にちが変わる頃から風雨が激しくなってきた。

 雨は早朝に上がったが、風の方はまだおさまっていない。その風にのって黄砂も到来し、第二京阪道路がかすんでいる。こんなにひどい黄砂は初めてである。

 こんな日は、ジムにでも行って汗を流すに限る。いつものように『毎日が発見』を読みながらの有酸素運動。

 国語学者金田一秀穂氏の「心地よい日本語」というコーナーがある。3月号は“喫煙所”というタイトルである。

 愛煙家である氏にとって、路上喫煙禁止区域の増加、乗り物での禁煙範囲の拡大などますます生きづらくなってきたと恨み節を展開して、最後に『あまり知られていないことなのだが、かつて国鉄という組織があって、膨大な赤字を抱えて破綻した。民営化して分割して、それで赤字が消えたかと言うとさにあらず。赤字を清算する部門が残って、それの大部分が、タバコ税によって少しずつ返済されている。したがって、今のJRが今のようであり続けていられるのは、全国の愛煙家の善意に依っているのである。それを知らん顔して、売店でタバコを売っておきながら、あの東京駅でさえ、椅子もないような狭い片隅にしか、喫煙所がない。恩を仇で返すとはこのことだ。そこへいくと、東海道新幹線は偉い。ちゃんと喫煙車両を走らせている。JR東海は義理堅い。・・・・・・』と締めている。

 私は生まれてこの方、一本もタバコを吸っていないので愛煙家の気持ちはわからない。かといってタバコを目の敵にするほどの嫌煙家でもない。個人の嗜好の問題なので“どうでもいい”というのが正直なところである。

 ただ、中学で教える立場にいる限り『禁煙指導』は必ずしなければいけなかった。一般的にはビデオなどを見せて、“いかに害があるか”ということを知らしめ、“だから、喫煙はしないでおきましょう”ともっていく。

 すると、必ず「そんなに体に悪いものだったら作らなければいいのに」という感想がかなりの生徒から出てくる。“害があるからやめる”というほど人間は簡単なものではない。いいかえると“わかっちゃいるけどやめられない”というのが人間の持っている《業》である。

 そこで、ある時期から“害”にもふれるが、それよりも“害があるとわかっているのになぜ存在し続けるのか”ということに力点をおくようになった。金田一氏の税金の話を読んで、禁煙指導のことを思い出したのと今のタバコ税の使い方知らなかったなぁ。と思った。

 私がふれてきたのは、コロンブスがアメリカ大陸を発見した時、先住民の愛用していたタバコを持ち帰ったことで、急速に世界中に喫煙の習慣が広がった。日本でも例外ではなかった。江戸幕府は火事の原因になることから、たびたび禁煙令を出したが効果はなかった。明治になってからは国有化され、その後専売公社となりなかなか民営化されなかった。というあたりまでで、その後の歴史については調べていないと思った。


  たばこ税の歴史をたどると、「葉たばこ」の専売を開始した1898年(明治31年)にまでさかのぼる事になります。直接的な原因は日清戦争によるもので、多額の軍事費を費やした政府が新たな財政収入を得るために始めました。当時は国営で大蔵省専売局が葉たばこを独占的に買い入れ、それを製造者に販売していましたが、1904年(明治37年)日露戦争の勃発によって再び軍事費の調達を余儀なくされたので、専売の対象を製造と販売にまで広げることになりました。

 習慣性や依存性と言ったたばこの特性によって得られる収入は大きく、国家収入の10%を占めていて国家の重要な収入源として機能していたと言えます。

 その後の1949年(昭和24年)大蔵省専売局から日本専売公社として独立。専売納付金としてたばこの収益を国に納める形に変更になりました。

  そして1985年(昭和60年)、日本専売公社の民営化に伴いたばこ専売公社が日本たばこ産業株式会社(JT)に移行される事をきっかけに「たばこ消費税」が誕生。日本のたばこ市場が国際的に開放され新たな収益を得る事を見越して導入され、このたばこ消費税はJTに課せられていました。

 その後、1989年(平成元年)に行われた税制改革によって消費税が導入。

 それに伴い「たばこ税」と名称が変更になります。これにより従来までのたばこの価格に応じた負担による従価課税、たばこの本数による従量課税を合わせた併課方式から、従量課税のみの適用へ改められる事になります。

 更に1998年(平成10年)たばこ特別税が創設されました。その後2003年(平成15年)、2006年(平成18年)にたばこ税の増税が施行。

 現在たばこ税には国たばこ税・地方たばこ税(都道府県たばこ税、市町村たばこ税)・たばこ特別税・消費税が含まれており、たばこ一箱の税負担率は6割を超えるものとなりました。


 そして、金田一氏が述べている“たばこ税の使い方”についても現在のことには疎かったと反省。


  単純に考えると、喫煙者のための施設や設備など、そして非喫煙者への配慮やクリーン活動の費用として割り充てられているという考えが最初に頭に浮かぶのが普通でしょう。ですが実際には何に使われているかの特定はされていません。

 何に使ってもよい「一般財源」として納められているのです。

 この不透明さが、今課せられている税金を支払うにあたっての不満の原因となっているのではないでしょうか?

 たばこ税は国たばこ税・地方たばこ税(都道府県たばこ税・市町村たばこ税)たばこ特別税・消費税で構成されてい ます。

 その内、国たばこ税は25%が都道府県や市町村に地方交付税として行きわたり、地方たばこ税はそのまま各都道府県・各市町村に納められます。

 たばこ特別税は、「一般会計における責務の承継などに伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律」別名「たばこ特別税創設法」によって課せられる事になった税金で、平成10年より施行されました。これは日本国有鉄道清算事業団(旧国鉄)及び国有林野事業特別会計の債務などを一般会計に帰属させることに伴う負担を補うために創設されたのです。

 簡単に言うと借金返済になるのでしょうか。国債整理基金特別会計という一般会計と特別会計の借金の全てが流入する機関へと組み込まれています。

 こうしたたばこ税の税収は年間約2兆円を超えています。結局は借金返済のために使われているような気がしますが一般財源の行方をたどると実に様々な費用に分けられている事が分かります。

 主に充てられているのは民生費。これは老人や障害者の安全な生活のため福祉施設や保育所などの運営にかかる費用です。

 そして住民がより住みやすくなるような環境を作るため、公園の建設や道路の整備、下水道の管理など区画整理に費やされる土木費。クリーン活動やゴミ収集、環境調査などを行うための衛生費や公害対策費。

 地震や火事、水害など天災が起きた時の消防活動や救助活動に充てられる消防費。小中学校や美術館、図書館などの文化施設運用のための教育費。

 観光名所のある地域には観光地の整備や、その土地ならではの商工業に使われる産業経済費などもあります。もちろん借入金の返済に充てられる公債費にも使われています。
このようにたばこ税は各地域で様々な使われ方で活躍しています。

ですが、私達には漠然とした情報のみで詳細を知ることができません。

ただ、日々の生活の中でたばこ税によって賄われている物が数多くある事は確かなのではないでしょうか。

 タバコの問題を“健康”という側面からだけではなく、”社会的な側面”からも光をあて、その上で「自分はどうするのか?」を考えていけばよい。題材としては結構面白いと思う。
 
 私の立場は、ほどほどにバランスをとって共存していく。アメリカの禁酒法のように、極端に走るというのは危険である。
コメント
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