素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

♪佐藤しのぶ“わが母の教え給いし歌2011♪に

2011年05月03日 | 日記
しのぶキューピー母の日スペシャルのコンサートのチケットが当選したのでサンケイホールプリーゼに出かけた。
 オペラの名曲から日本の名曲までアットホームな雰囲気の中たっぷり聴かせてもらいました。佐藤さんには絶対的な存在感というものを感じた。舞台に登場した瞬間にすべてのものを引き付けてしまうのである。森島英子さんのピアノ伴奏も堀正文さんのバイオリンもよかった。歌をひきたてる部分と自分の存在を出す部分のバランスが絶妙で、こんな繊細な音が出せるのだと聴き入ってしまった。

 行き帰りの電車の中では文庫本の『阪急電車』を読んだのだがあ、文章のリズムが列車のリズムとマッチして昨日読み残した三分の二ほどを一気に読みきった。映画と原作の関係は微妙で、私の場合、本で感動した時は、自分の中に生まれたイメージを大切にしたいので映画化されても観ないことにしている。逆に映画で感動した時は原作を読まないことにしている。しかし、今回は不思議と映画と原作をセットにしてみたいという気持ちになった。正解であった。

 18:30に終了したので近くの店で食事をとることにした。コンサート帰りの人たちがどっと押し寄せたので店のほうも案内に手間取り列ができ、「席のほうはありますので、順番に案内するまで少しお待ちください」と店員が説明している時、映画に登場した“おばさんグループ”そのものがやってきた。人数は倍の10人。「席はあるのか」「待つんやったら他へ行こか」「どこも一緒やで」「10人は無理でも4人、6人ならいけるって」「どう分かれる?」「肉はダメやから私は帰るわ」・・・まわりの空気をいっさい読まず口々にしゃべりたてる。『食べるのか食べないのか。食べるのだったら何人かはっきりしろ。それでなくても他のお客さんを席に案内するので大変なんや。ほらあんたらが入り口でワイワイ言ってるため、あきらめて帰っていくお客さんもいるやろ!席はまだあると言ってるのに』と言いたいところをぐっと押さえて対応している店員さん。こちらに向かって「すみません、すぐに案内しますから」と言ってきた。「いいんやで、ごくろうさん」とやさしい気持ちになれたのも映画のおかげかな。

 母の日スペシャルなので、終演後観客に一輪のカーネーシがプレゼントされた。会場付近ではたくさんの人が持っているので自然な感じだが、夕食を食べ、家に帰る東西線の列車に乗ると少し気恥ずかしい。カーネーションを手に持ち、ニヤニヤした顔で文庫本を読んでいる姿は奇妙な感じだ。映画や小説ならここからドラマが展開されるのだが、当然ながら現実は何も起こらなかった。 
コメント
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