

ウイスキーしか置いていないバーを営むセツコ(小林聡美)。疎水沿いでコーヒー店を開くタカコ(小泉今日子)。豆腐屋のハツミ(市川実日子)。家具工場で働くヤマノハ(加瀬亮)。銭湯の主人オトメ(光石研)。オトメの銭湯を手伝うジン(永山絢斗)。“散歩する人”マコト(もたいまさこ)の過去も未来も何も説明がない。あるのは日々の生活の中でお互いに交わす簡単な会話のみ。そこから観客はそれぞれの人物について好きなようにイメージできる。
そこの中心にいるのが、銭湯の主人オトメの子であろう(当然、説明はないので勝手に私が思っているのだが)ポプラ。水、花、風を感じながら過ぎ行く日々のちょっとした出会いの中で、新しい芽生えがある。交わされる会話の言葉も極限まで削りとられていて短く、どんな内容?と尋ねられても答えることがむずかしいのに、今も7人についてあれこれ想像してしまう。なんとまあ不思議な映画であった。
今あることを少し変えると新しい何かが見える。ということが底に流れていたような気がする。