素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

相田みつをさんの本、我が家にあったんや

2011年05月10日 | 日記
 朝起きた時、妻の本棚に相田みつをさんの文庫本があるのを発見した。

 「相田みつをさんの本、買っとたんや」 「退職した時、買ったやん」
 「そうやったかなぁ?」 「退職のあいさつの手紙に使ったやん」

思い出した! 『いちずに一本道 いちずに一ッ事』 
キョロキョロと寄り道をし、時には道に迷い、運よく元に導いてくれる人に出逢いながら生きてきた私にとって“いちずに”ということばでシャッターが下りてしまい、毎日、本棚の前は通るのだが目に入らなかった。

 「読ましてもろていいか?」 「どうぞ」というわけで、今読んでいる本のなかに割り込んで来た。『いちずに一本道 いちずに一ッ事』は相田さん唯一の自伝的エッセイであり、67年の生涯を閉じる直前に書かれた。

 相田さんの歩んだ道を赤裸々に語られており、相田さんのことばの源泉を見ることができる。大正13年の生まれなので、私の父と同じである。父にも感じることがあるのだが、多感な青春の時に戦争でさまざまな体験をしたことがバックボーンにある。

 不本意な思いの中、戦死した2人の兄さんのこと。軍事教練の教官による理不尽ないじめ。など言葉にはできない傷を心に負わされたことは想像できる。また、恵まれない家庭環境。父と母のこと。そして一生の師と仰ぐ武井哲応老師との出逢い。など一気に読み終えた。

 これも勝手な想像だが、相田さんの人生は、陽明学でいうところの“知行合一”へのあくなき追求ではないだろうか。これは突き詰めると厳しい道である。それゆえに老若男女の心をとらえる言葉をつむぎ出すことができたのではないだろうか。決して心の安まることがない道だからである。

 人間の心はとてもやっかいなものである。やっかいがゆえに“相田さんの言葉”が必要な時もある。また、割り込まれたのは以前TVで放映された北山修さんの“最後の授業”や“最終講義”をふくめ九州大学での精神分析学に関する授業や講義が収められている本である。これもやっかいな心がテーマである。

 私自身も“こころ”の問題からは離れることはできない。かれこれ50年近く付き合ってきた。いまだにわからないことが多い。
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