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最後にスパッと斬られます!『リバース』by湊かなえ

2018年05月12日 | 小説レビュー
〜深瀬和久は平凡を絵に描いたようなサラリーマンで、趣味らしいことといえばコーヒーを飲むことだった。
その縁で、越智美穂子という彼女もできてようやく自分の人生にも彩りが添えられる。
と思った矢先、謎の告発文が彼女に送りつけられた。
そこにはたった一行、『深瀬和久は人殺しだ』と書かれていた。
深瀬を問い詰める美穂子。深瀬は懊悩する。ついに“あのこと”を話す時がきてしまったのか、と。「BOOK」データベースより


相変わらず、湊かなえさんの小説は、切れ味の鋭い日本刀のようなエンディングですね。

散りばめられた伏線、その回収方法、巧みなキャラクター構成、無駄なく一気にクライマックスまで持っていく筆力、まさに一流の作家さんです。

『イヤミスの女王 』との異名を持つ湊かなえさんですが、今作は、「あ〜、割と爽やかに終わるのね」と安心していた最後の最後で、まさに居合い斬りの達人よろしく、「スパッ!」と、息の根を止められます( ; ゜Д゜)

読み終えた後で、「う〜ん・・・。」と、色々と考えさせられましたね。

『リバース』というタイトルも秀逸で、リバースの意味としては皆さんご存知の通り

1 逆にすること。反対方向へ動かすこと。「リバースギア」

2 テープレコーダーで、往復録音、また再生の逆走行のこと。「テープが自動的にリバースする」

3 俗に、飲食したものを吐くこと。嘔吐 (おうと) すること。

とありますが、主人公の和久が、亡くなった友人の足跡、人生を辿って、歴史を遡っていき、その過程で、和久の心もいったり来たり往復し、最後の最後で、まさに嘔吐するような気持ち悪さを胃の中に溜め込んで幕が降ります。

最近、ミステリーものにヒット作がなかったのですが、これは中々のミステリーですね!

追伸:蕎麦を美味しそうに食べる場面が印象に残っていたので、今晩は嫁さんと二人で天ざる蕎麦を食べに行きましたよ(^^)d

★★★☆3.5です。