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神の存在とは?『沈黙』by遠藤周作

2019年06月06日 | 小説レビュー
『沈黙』by遠藤周作

~キリシタン迫害史を背景とする緊迫のドラマの中に、神の存在を問い、信仰の根源を衝いて、西洋と日本の思想的対立を鋭くえぐり出す長編小説。
谷崎潤一郎賞、ピエトロザク賞受賞「BOOK」データベースより


う~ん・・・、重苦しい小説でした。
暗くて辛い描写ばかりで、少しも救いがありません。

キリスト教の若き司祭・ロドリゴが主人公です。

ポルトガルで、その身を信仰に捧げていたロドリゴのところに、遠く日本の地において布教活動を続けていたはず、かつての師匠・フェレイラ師が、日本幕府のキリスト教弾圧の末に棄教したという話が届きます。

いても立ってもいられないロドリゴは、仲間のガルベらとともに日本への船旅に出ます。

荒れ狂う海原に乗り出した一行は、インドを経て数ヶ月間に航海の据えに澳門にたどり着きます。

そこで出会った隠れキリシタン・キチジローの案内で、『島原の乱』が平定された直後のキリスト教信者に対する厳しい弾圧が行われていた長崎、五島列島に上陸します。

弾圧から逃れて人里離れた辺境の地で暮らす隠れキリシタン達に歓迎されるロドリゴでしたが、執拗に追いたてる長崎奉行所の包囲網にかかってしまい、とうとう囚われの身となってしまいます。

独房に入れられ、奉行たちから厳しい詰問を繰り返され、「転べ!」と、棄教を迫られるロドリゴでしたが、堅い信念とキリストへの強い思いを裏切ることなく、頑なに拒否し続けます。

老齢の狡猾な井上筑後守な取調べと様々なかけひきの末、「私が転ばなければ、私を信じる日本人信徒たちが酷い目にあう」ということを目の当たりにし、イエス・キリストの「私を踏みなさい」という、声ならぬ声を聞き、とうとう踏み絵を踏みつけてしまいます。

ここに至までのロドリゴの心の裡の煩悶と懊悩が繰り返される様は凄まじいものがあります。

ロドリゴの救いを求める必死の祈りと、常に沈黙を守り続けるイエス・キリストの姿(実際に姿はありませんが)との対峙が、「信仰とは何か?神のは実在するのか?」ということを読者に訴えかけます。

歴史で語り継がれている日本で行われたキリスト教弾圧の凄まじさや、日本を取り巻く異国間の勢力争い等を垣間見ることが出来ました。

キリシタン大名としては、高山右近や大友宗麟などが有名で、数々の逸話をのこしていますが、宗教弾圧ということに関しては戦国時代前後に盛んに繰り返されており、為政者が国を統治する上で、民衆による宗教信仰が様々な障壁となっていたかということが、よく知られています。

しかしながら、未だにイスラム過激派によるテロが繰り返される現実を思うときに、宗教への信仰は時に恐ろしい結末を生むということを思い知らされます。

本書の評価ですが、レビューはとても高く、『沈黙-サイレンス』として、マーティン。スコセッシ監督のもと映画化もされており、本書が世界に与えた影響は大きいと思います。

とはいえ、信仰心の薄い私自身は、読んでいて、あまり感じ入ることが少なかった為・・・、

★★★3つの評価にとどまります。
コメント
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