「影の総理」と呼ばれた男~野中広務 権力闘争の論理
戦争は二度と起こさない。弱者を決して見捨てない。
そのためならば平然と友を敵に回し、敵を友とした―権力闘争を挑み続け、「影の総理」「政界の狙撃手」と恐れられた男。
硬と軟、恫喝と懐柔―強面の政治家が生涯を賭けて守ろうとしたものとは。「BOOK」データベースより
昨年1月にお亡くなりになられました、京都の政治家『野中広務』氏のドキュメンタリーです。
日テレの政治部デスクを経験した『菊地正史』という方が書いた本です。野中広務氏については、ご本人が上梓された自伝的な本も2,3点出ていますし、批判的な著書や差別そのものに視点を当てた本も出ています。
さて、本著ですが、すでに見聞きしてきた内容が羅列されているだけで、目新しいものはありませんが、とても丁寧に読みやすく書かれています。
昭和~平成という時代を生き抜き、常に「反戦平和主義」を貫かれた野中氏の生き様や年表のように生い立ちから、その生涯を閉じられるまでが書いてあり、改めて「いま、野中氏が現役で国会におられたら、どう行動されていたか?」と、考える良い機会でした。
対中、対北朝鮮などの北東アジアの外交問題、沖縄の基地問題、戦後処理問題、国旗国家法や、ハンセン病訴訟問題など、野中氏が国会議員在任中に取り組んだ課題は数多くあり、その視点は常に社会的弱者に寄り添うものだったと著者は書いています。
「安倍一強」といわれている現在の日本の国会の様子を眺めながら、誰かブレーキ役というか、「一度、立ち止まって考えてみてはどうかね?」と、意見具申する方がいないのかと残念に思います。
田中派→竹下派→小渕派と受け継がれた「調整型の政治」は、小泉純一郎氏の登場によって、粉々に打ち砕かれてしまいます。
小泉→安倍→福田→麻生と続いた自民党政権も、4年でガタガタになり、2009年の総選挙で惨敗し、民主党政権が誕生します。その民主党政権の中枢にいた岡田克也氏が、自身のHPで2003年4月に以下のように語っています。
「たしかに戦後五八年のほとんどを自民党が政権を担ってきた。いうまでもなく、経済成長を前提とした利益分配型の政治である。しかし、高度成長が終わり、 配分すべきパイが小さくなったとき、自民党はその存在意義を失い、特定の人たちにパイを配分するための利権政党に堕ちていった。」と。
そういうところで、一部の力のある代議士の下に様々な業界の人が群がり、阿吽の呼吸で公共事業が展開され、その裏側で政治腐敗が進み、汚職が横行していったのも間違いのない歴史の事実です。
崇高な政治理念や、クリーンな理想は大切ですが、現実に代議士が力をつけなければ、国政の場で発言をすることもかないませんし、官僚を動かすことも出来ません。さらには、力をつけた上で、常に社会的弱者への目線を常に忘れなければ、国民の為の政治をダイナミックに進めていけることでしょう。
これから20年、30年後には、日本はどんな国家になっているんでしょうか?麻生さんの「老後に2000万円」発言や、様々なメディアで日本の「財政破綻」、「社会保障制度破綻」が叫ばれています。
また、次回、こういうことについても考えてみたいと思います。
いずれにしても、とても読みやすい本でした。
★★★3つです。
戦争は二度と起こさない。弱者を決して見捨てない。
そのためならば平然と友を敵に回し、敵を友とした―権力闘争を挑み続け、「影の総理」「政界の狙撃手」と恐れられた男。
硬と軟、恫喝と懐柔―強面の政治家が生涯を賭けて守ろうとしたものとは。「BOOK」データベースより
昨年1月にお亡くなりになられました、京都の政治家『野中広務』氏のドキュメンタリーです。
日テレの政治部デスクを経験した『菊地正史』という方が書いた本です。野中広務氏については、ご本人が上梓された自伝的な本も2,3点出ていますし、批判的な著書や差別そのものに視点を当てた本も出ています。
さて、本著ですが、すでに見聞きしてきた内容が羅列されているだけで、目新しいものはありませんが、とても丁寧に読みやすく書かれています。
昭和~平成という時代を生き抜き、常に「反戦平和主義」を貫かれた野中氏の生き様や年表のように生い立ちから、その生涯を閉じられるまでが書いてあり、改めて「いま、野中氏が現役で国会におられたら、どう行動されていたか?」と、考える良い機会でした。
対中、対北朝鮮などの北東アジアの外交問題、沖縄の基地問題、戦後処理問題、国旗国家法や、ハンセン病訴訟問題など、野中氏が国会議員在任中に取り組んだ課題は数多くあり、その視点は常に社会的弱者に寄り添うものだったと著者は書いています。
「安倍一強」といわれている現在の日本の国会の様子を眺めながら、誰かブレーキ役というか、「一度、立ち止まって考えてみてはどうかね?」と、意見具申する方がいないのかと残念に思います。
田中派→竹下派→小渕派と受け継がれた「調整型の政治」は、小泉純一郎氏の登場によって、粉々に打ち砕かれてしまいます。
小泉→安倍→福田→麻生と続いた自民党政権も、4年でガタガタになり、2009年の総選挙で惨敗し、民主党政権が誕生します。その民主党政権の中枢にいた岡田克也氏が、自身のHPで2003年4月に以下のように語っています。
「たしかに戦後五八年のほとんどを自民党が政権を担ってきた。いうまでもなく、経済成長を前提とした利益分配型の政治である。しかし、高度成長が終わり、 配分すべきパイが小さくなったとき、自民党はその存在意義を失い、特定の人たちにパイを配分するための利権政党に堕ちていった。」と。
そういうところで、一部の力のある代議士の下に様々な業界の人が群がり、阿吽の呼吸で公共事業が展開され、その裏側で政治腐敗が進み、汚職が横行していったのも間違いのない歴史の事実です。
崇高な政治理念や、クリーンな理想は大切ですが、現実に代議士が力をつけなければ、国政の場で発言をすることもかないませんし、官僚を動かすことも出来ません。さらには、力をつけた上で、常に社会的弱者への目線を常に忘れなければ、国民の為の政治をダイナミックに進めていけることでしょう。
これから20年、30年後には、日本はどんな国家になっているんでしょうか?麻生さんの「老後に2000万円」発言や、様々なメディアで日本の「財政破綻」、「社会保障制度破綻」が叫ばれています。
また、次回、こういうことについても考えてみたいと思います。
いずれにしても、とても読みやすい本でした。
★★★3つです。