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「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

若干足りないか?『スマホを落としただけなのに』by志駕晃

2019年06月24日 | 小説レビュー
~麻美の彼氏の富田がタクシーの中でスマホを落としたことが、すべての始まりだった。
拾い主の男はスマホを返却するが、男の正体は狡猾なハッカー。
麻美を気に入った男は、麻美の人間関係を監視し始める。
セキュリティを丸裸にされた富田のスマホが、身近なSNSを介して麻美を陥れる凶器へと変わっていく。
一方、神奈川の山中では身元不明の女性の死体が次々と発見され…。「BOOK」データベースより


読みやすい!まさに一気読みでした。

北川景子主演で映画化されているので、ストーリーは、周知の通りです。

その上で、どれだけの恐怖感を与えられるか?また、どんなどんでん返しが待っているのか?に尽きると思います。

その点で言うと、若干の物足りなさを感じました。

確かにスマホというのは、個人情報の宝庫で、その入口というか鍵になるのが『SNS』でしょう。

最近はフェイスブックよりも、インスタグラムが主流でしょうし、うちの娘達も、せっせと写真や動画をあげていますよ(^_^;)

作中にも書いてありますが、「世の中の大部分の人はインターネットの表層部分を行ったり来たりしてるだけで、その更に深い部分に、どんな邪悪なものが潜んでいるか全くわかっていない。」ということなんですね。

ハッカーやクラッカーの手にかかれば、どんなセキュリティも破られ、パスコードも瞬時に盗み出されてしまうということですよ。それに対してあまりにも無防備な私たち・・・。

インターネットのない生活なんて、今さら戻れませんから、少なくとも、そういう恐ろしい魔物が潜んでいるということを認識して、「危うきには近寄らず」の精神で、慎重にネット社会と付き合っていくしかないでしょう。

さて、物語ですが、確かに犯人の恐ろしさと周到さ緻密さには、目を見張るものがありますが、クライマックスでの異常性が欠けていましたし、麻美の秘密も何となく腑に落ちない部分がありました。

誠の愛情の起伏もイマイチ伝わりにくいですし、刑事達の捜査も今一つでした。

ストーリーの着眼点は素晴らしいし、文章よ読みやすいので、これからもう一段、二段と上って、一流作家さんになってもらいたいものです!

★★★3つです。