自分の世界が開けていく

2011年01月02日 | 心の教育

 昨年末に引き続き、学生の感想をご紹介したいと思います。

 下記の学生は、授業を通じて「自分達学生がより高尚になる」「自分の世界が開けていく」と感じてくれました。

 現代日本の軽く浅く不真面目な通俗文化にどっぷりと浸かっていた学生たちが、「これはちがう」ということに気づきはじめてくれたのだととても喜んでいます。

 これからは、ちゃんとまじめにならなければ生きていけなくなる時代だと思います。


 H大学社会学部1年男子

 今回のレポートを通して、先生が自分達学生がより高尚になるために前期から扱う内容を選んでいてくれたのだと分かった。先生が課題として出すレポートをこなしていく上で、一つ終える度に自分の世界が開けていくことを感じることができた。最初は、宇宙と一つなどと言われても、理解するまでに及ばなかったが、今は、ほとんど理解することができた。確かに大人になると、自分が一人で生きていると思いがちだが、自分の存在は全てのものとつながっていると深く心に留めて、人生を歩んで行きたいと思う。そうすることによって、自分を見つめ直すことになり、自分にとってプラスになるということを、先生に会い、先生の授業を履修することによって知ることができた。この授業は、自分を一回りも二回りも大きくしてくれた。この授業で学んだことは、しっかり胸に刻みこんでよりよい人間になるよう日々努力していこうと思った。

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皆なんだかんだでこの授業が好き?

2010年12月30日 | 心の教育

 今回のレポートの感想でとてもおもしろかったのがあります。

 それは、私にとっても非常に不思議だった「なぜ皆この授業に出るのかということである。他の授業であれば、出席を取らない授業に授業を聞かないやつは出ないものである。しかし何故か現代社会と宗教では聞かない生徒も多く出席している」という疑問に学生自身が1つの解釈をしてくれたことです。


 H大学社会学部1年男子

 唯識によって人は世界をどのようにしたら良く見ることができるか知った。そして何が問題で世界を良く見ることができないのかも知った。では何故現代社会はいっこうに個人主義が続いているのだろうか。
 ここからは授業の感想も交えつつ考えていきたいと思う。授業を受けた多くの学生が洗脳されるとか言っているが、自分はそんな事ないと考える。人間として大きくなるためにはいろいろな考え方が出来る事が大切だと考える。なので仏教の考え方を学ぶのも大切な事だと考える。
 そして自分的にいつも不思議なのが、なぜ皆この授業に出るのかということである。他の授業であれば、出席を取らない授業に授業を聞かないやつは出ないものである。しかし何故か現代社会と宗教では聞かない生徒も多く出席している。なので皆なんだかんだでこの授業が好きなのではないだろうかと考えている。
 本の中で次ハヤルのは真面目な人と書いてあったが、それは自分も本当にそう思う。なので自分も礼儀正しい真面目な人間になりたいと思う。


 私の授業は「洗脳される」というウワサも流れているようです。確かに、ちゃんと聞いて理解すれば多くの場合コスモロジーが大転換するのですから、ある意味で「洗脳」かもしれません。

 (厳密には「洗脳」とは、特定の絶対化された信条を強制的に信じ込ませることです。私の授業は、絶対化された信条ではなく合理妥当性のある仮説を示し、しかも決して強制せず自由に判断をしてもらうのですから、本当はまったく「洗脳」には当たらず、まさに「教育」なのですが)。

 それにしても、出席は取らず自己申告制にしていますから、イヤなら出なければいいのに、けっこう学生たちは出てくるのです。

 長年なぜだろうと思っていたのですが、今年、少し謎が解けた気がします。

 「皆なんだかんだでこの授業が好きなのではないだろうか」とのこと、もしそうだとしたらうれしいことです。もちろん、ちゃんと聞いてくれれば、もっとうれしいのですが……

 ちゃんとは聞かない学生も、私のようにストレート・ダイレクトに「親父の説教」をする先生は少ないので、ちょっと気になったり、親父的・教師的愛情をいくらか感じてくれるのでしょうか。

 いずれにせよ、来年も遠慮なく「ためを思った親父の説教」を持続するつもりです。




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自由自在に宇宙の働きの一部になる

2010年12月29日 | 心の教育

 かなり長い間、記事の更新ができませんでした。

 最大の理由は、レポートの採点に手を取られたことです。

 今回は、少し遅くなった中間レポートで、「唯識の体系の概要と意味」というテーマ、約550通でした。

 今日の午後、ようやく読み終えました。私の仕事収めです。

 相当な仕事量なのですが、今年もやはり教えてよかったと思わせてくれる感想がいろいろありました。

 その一つを以下、ご紹介します。


 H大学社会学部1年男子

 唯識が目指すところは「覚り」である。……その中でも、究極の目標は、「無住処涅槃」である。状況に応じて、安らぎの世界にいたり、苦の輪廻の世界にいたりと、自由自在に宇宙の働きの一部になることが可能になるのだ。
 私たちが、目指すべきところは、無住処涅槃で、ここへは到達できなくても、そこへ向かう姿勢が人生をすばらしいものにします。私は、この授業を受けるまで、自己中心的な考えをする人間でした。しかし、毎回の授業を受けるにつれて、自分が生きている意味について、段々分かってきました。唯識を学んだことで、今あるすべてのものは、もともと一つ、すべてはつながっている中で私は生まれ、そして、私が今生きているのには、数え切れないほどの人物や生き物、ものなどが関わっている。直接ではないがすべて、私とつながっていると教えてくれました。授業で、マナ識、アーラヤ識の話を聞いたときに、「だから、私の心は悩み苦しんでいるんだ。やっぱり、ばらばらに分離しているんだ。どうしよう。」と悩んでいました。しかし、「転識得智」の話を聞いたときに、「良かった! やっぱり、私たちはつながって一つなんだ。」と小さくガッツポーズしてしまいました。今、私の人生は明るくなり、希望に満ちあふれています。これからは、宇宙とつながっていることを、日々感じ、親をはじめ、すべてのものに感謝し、一歩一歩地道に覚りへ向かっていきたいと感じます。そして、いつか、「無住処涅槃」まで、到り着きたいです。到り着けなくても、この目標に向かうことで、今、私の心・人生はポジティブになっています。


 あまりにもストレートな感想で、「最近の学生は先生の喜びそうなことを予想して作文をしたりするらしいから、ほんとに喜んでいいのかな」と思わないでもないのですが、しかし、素直に信じて喜ぶことにしましょう。ほんとうにこう思ってくれたのなら、教師冥利に尽きるというものですから。



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第33期講座案内

2010年09月30日 | 心の教育

*火曜講座はすでに始まっています(中途参加も可)。
 木曜講座は月末30日からです。まだ定員に空きがあります。どうぞ、お申込みください。




 最近の日本は、まだまだのどかでこれまでの延長線上で行けそうにも見えれば、景気、財政、社会保障、外交、安全保障、それらの大問題をどうするのか、はっきりした方向性の語れない諸政党など、不安材料ばかりでお先真っ暗にも思えます。

 しかし、当研究所では、すでに、こうすれば必ず日本をいい国―持続可能な緑の福祉国家―にできると確実にシミュレーションできる希望のある「理念とビジョン」を明らかにして公表し(『サングラハ』第一〇九号)、少しずつ理解が広がり深まっています。

 しかし、状況をどう感じているにしても、個人一人ひとりはしっかりと生き、生き抜いていき、それにとどまらずより能動的にいい社会を創ることに参加していく必要があります。

 今期は、前期のきびしい状況を生き抜くメンタル・タフネスからさらに進んで、より強くよりポジティヴに生きていくための理論と方法を学ぶプログラムを設定しました。

 心のレベルを高め、菩薩として自利利他のために生きることを学ぶ、火曜日の『維摩経』の講義と坐禅、木曜日の「ポジティヴ・シンキングの心理学」の2つの講座です。
 みなさんのご参加をお待ちしています。



木曜講座:ポジティヴ・シンキングの心理学

                於 藤沢ミーティングルーム
                木曜日 18時45分~20時45分 全7回
                9/30 10/7,21 11/4,18 12/2,16

 前期は、ストレスフルな時代のなかで生き抜く心の強さ‐メンタル・タフネスをどうしたら得られるかを学びました。

 今期は、それに引き続き、きびしい状況のなかでも前向きに積極的に生きていくことのできるさらに強い心を育む理論と方法をお伝えします。

 今回は、コスモス・セラピー、ロゴセラピー、唯識の超ダイジェスト版に加え、チョプラやピールのポジティヴ・シンキングをしっかりとした心理学的な根拠を明らかにしながら、ご一緒に学んでいきます。初めての方にもリピーターの方にもきっといい人生の大きなヒントになるはずです。どうぞ、お出かけください。

テキスト:チョプラ『人生に奇跡をもたらす7つの方法』PHP研究所



 火曜講座:『維摩経』を学ぶ 3
                 於 藤沢ミーティングルーム
                 火曜日 18時45分~20時45分 全8回
                 9/14,28 10/12,26 11/16,30 12/7,21
                 
 
 初期大乗仏教の代表的な経典『維摩経』の学びの第3期です。経典の主人公維摩詰(ヴィマラキールティ)は、ブッダと同時代の居士つまり在家の仏教徒で、大商人でありながら、ブッダの弟子たちよりもはるかに深い覚りの境地にあったとされています。

 第1期のイントロダクション、第2期の、ブッダの弟子たちがブッダに維摩居士のところに病気見舞いに行くよう言われて、かつて厳しく批判されたことがあったので、とても行けませんと辞退する部分が終わり、第3期は、菩薩たちも同じ理由で見舞いを辞退する「菩薩品」から、とうとう文殊菩薩が見舞いにいくことになるという「問疾品」に入っていき、いよいよ深く大乗仏教の真髄に触れていきます。

 前期に続く第3期ですが、途中からでもわかるように講義していきますし、ご希望の方は第1期、第2期の講義も、CD、DVDで聴くことができます。途中からの方も、ぜひお出かけください。

テキスト:コピーを配布します。

*火曜講座では、講義の前に三〇分程度の坐禅を行ないます。坐禅のできる服装をご用意下さい。



●受講料は、一回当たり、
・一般3千5百円 ・会員3千円
・専業主婦・無職・フリーター2千円 
・学生1千円 
 それぞれに×回数分です。
 都合で毎回出席が難しい方は、単発受講も可能です。

●いずれも、申し込み、問い合わせはサングラハ教育・心理研究所・岡野へ、
E-mail: okano@smgrh.gr.jpまたは
Fax: 0466-86-1824で。
住所・氏名・年齢・性別・職業・電話番号・メールアドレス(できるだけ自宅・携帯とも)を明記してください。

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センス・オヴ・ワンダー

2010年06月09日 | 心の教育




 今日、O大学のチャペル・アワー(礼拝)で講話をしました。最初はがやがやとしていた学生諸君が、やがて静かになり、大半の学生たちは熱心に聴いてくれたようです。

 そこで、ネット受講生のみなさんにも、シェアすることにしました。過去のコスモロジーの授業をヴァージョン・アップしています。読んでみてください。そして、よかったらコメントをください。



  チャペル・アワー講話「センス・オヴ・ワンダー」

                            2010・6・9

 
 聖書:旧約、詩編一九・二―七 

  天は神の栄光を物語り
  大空は御手の業を示す。
  昼は昼に語り伝え
  夜は夜に知識を送る。
  話すことも、語ることもなく
  声は聞こえなくても
  その響きは全地に
  その言葉は世界の果てに向かう。
  そこに、神は太陽の幕屋を設けられた。
  太陽は、花婿が天蓋を出るように
  勇士が喜び勇んで道を走るように
  天の果てを出で立ち
  天の果てを目指して行く。
  その熱から隠れうるものはない。



 讃美歌:二二六番「輝く日を仰ぐとき」(How Great Thou Art)(私のとても好きな讃美歌の1つです。Youtube で探したら、英語で歌ったいいものがありました。聴いて読んで聴いてというふうにしてみてください。)





 今日の聖書の箇所に「天は神の栄光を物語り、大空は御手の業を示す」とありますが、大空の色は青ですね。では、なぜ空は青いか知っていますか?

 ご存知のように、白く見える太陽光線は実は七色の光線が集まったもので、水やプリズムで屈折すると、屈折率によって赤・オレンジ・黄・緑・青・紺(深い青)・紫に分かれますが、この並びは光の波長の長い順になっています。

 太陽からやってきた光の中の青から紫にかけての短い波長の光は、大気中の光の波長よりも小さい微粒子にぶつかると大きく屈折して、散乱するのです。

 空つまり大気の主な成分は、窒素が約七八%、酸素が約二一%、アルゴンが〇・九%、二酸化炭素が〇・〇四%、オゾンが二×一〇のマイナス六乗%、つまり約九九%は窒素と酸素です。散乱させる微粒子は小さなホコリや水滴だという説もありましたが、青い散乱光を出す粒子は光の波長より小さくなければならないので、むしろ酸素分子や窒素分子だと考えたほうがいいといわれています。

 つまり、酸素や窒素の分子が、青い光を空いっぱいに散乱させてくれるから、それを地上から見ている私たちには空が青く見えるんですね。そして、中でも特に酸素があるから、私たち酸素を吸って生きている動物が生きることができるわけです。

 さらに、酸素はふつう原子二個が結合したO₂という酸素分子のかたちで存在しているのですが、私たちの頭上二〇~三〇キロメートルの上空で太陽の紫外線によって分解されていったん酸素原子一個Oになり、それらがまた結合することでO₃、つまりオゾンができるのだそうです。このオゾンが太陽から降り注ぐ強烈な有害紫外線を吸収してくれていることは、よく知られているとおりです。

 きわめて波長の短い――紫よりも短いので紫外線というわけですが――紫外線は、細胞膜を壊します。すべての生命は細胞から成っていて、オゾン層に守られているからこそ、細胞膜が壊されず、地上で生きることができるのです。O₂があるから、息をすることができる、生きることができる、O₃があるから、生命が守られている、というわけです。

 その酸素を発生させ、かつて分子酸素のほとんど存在しなかった地球大気に一五億年以上もかかって徐々に増やしてくれたのが、光合成微生物とそれが進化した植物です。そうした光合成微生物や植物のおかげで、酸素のたくさんある現在の地球大気ができたのです。

 そして、その地球大気のおかげで、私たちは生きていることができるのです。 空の青さは、空にたくさんの酸素がある証拠です。それから、もちろん窒素もたくさんある証拠です。

 大気中の窒素はバクテリアによって固定されて植物の栄養になり、その植物を私たち動物が食べて生きることができているのですから、たくさんの窒素大気があることも、私たち動物が生きることのできる条件になっているわけですね。

 だから空の青さは、つまり、生命が地上で安全に生きることができる、生きていていいという印だといってもいいでしょう。ちょっとロマンティックに表現すると、「空の青さは、きみは生きていていいんだよ、という空からのメッセージなのだ」ともいえるでしょう。空の青さは、生命への青信号です。

 だから、私たちは、青空を見上げるとすがすがしい、生き生きとした気持ちになるのだ、と私は解釈しています。

 去年、授業でこの「空が青いから、私たちは生きられる」という話をしたら、学生たちがこんな感想を書いてくれました。

 「『空の青さは地上に生命が暮らせるという信号だ』というお話が好きでした。今までも空を見るのは好きだったけど、この話を聞いてからはもっと愛しい気持ちで空が見れそうです。きれいな空を見て気持ちいいなあと思わない人がいない理由が分りました。」

 「青空が青信号だという言葉がすごく印象的でした。青空みたいに広くて大きなものに、君は生きていていいんだよ、って見守られていると思うと、頑張ろうって気持ちになる気がします。立ち止まらず、前を見て進んで行こうって気持ちになりました。」

 もう少し考えてみると、いくら酸素と窒素があっても、そもそも太陽の光がなければ、空は青くなりません。そして、太陽のエネルギーがなければ、植物は育たず、それを動物が食べることもできず、植物や動物から間接的に太陽エネルギーをもらっている私たち人間も生きることができません。

 今日の聖書の箇所は暑い時に書かれたからでしょうか、「その熱から隠れうるものはない」となっていますが、これは別の言い方をすれば、地球上のすべての生命はみんな漏れなく太陽エネルギーをもらっていて、例外はないということです。イエスは、父なる神は「悪人にも善人にも太陽を昇らせる」と言っておられます。

 つまり、太陽が溢れるような光と熱を惜しみなく地球に送り、その光の一部を大空が吸収したり散乱したりする、そのエネルギーで植物や動物が生きられるという条件が調っているので、私たち人間も生きられるのですね。

 そんなこと、当たり前だと思いますか。おどろき! ふしぎ! すばらしい!と思いませんか。青い空だけではなく、この地球の自然は、なぜか不思議なことに人間が生きられるようにありとあらゆる条件が調っています。そのことに気づくと、私は、おどろき・不思議という気持ちを感じざるをえません。英語では「wonder」といいますね。そして、感じると、不思議でいっぱい・すばらしいと思います。英語では「wonderful」です。

 生物学者のレイチェル・カーソンは、そういう自然の不思議さ・すばらしさを感じる心のことを「センス・オヴ・ワンダー」と呼んでいます。そして、いろいろなことを「そんなこと当たり前じゃん」とシラケて考えるのではなく、そこに何か大きな不思議で素敵なものを感じて感動する感性こそ、他の何よりも人生を豊かにすると言っています。

 こういう不思議・ワンダーに満ちたすばらしい・ワンダフルな世界は、偶然に出来たのでしょうか、それともそこには何か大きなもの・力の働きがあるのでしょうか。

 言うまでもなく、旧約聖書の著者は、そういう大自然の働き・業の中にというか向こうにというか、「神の栄光」「御手の業」を感じ取っています。そして、神の深い知識、言葉、響きが全世界に行き渡っていると感じて、それを詩にうたったのです。

 知識を情報と言い換え、言葉を秩序と言い換え、響きを影響力と言い換えれば、これはきわめて現代科学的な洞察と一致していると思います。そして宇宙に働いている秩序を生み出す情報やその影響力を研究している一流の科学者の中には、光り輝く白い髭のおじいさんといった神話的な神さまではありませんが、このワンダフルな世界を創りあげた何かをはっきり認めて「サムシング・グレイト」と呼んでいる人が現われています。現代は、そういう宗教と科学が調和する時代になっている、と私は考えています。

 短い時間なので、今日はこれ以上掘り下げて考えることができませんが――もっと掘り下げて考えてみたい人がいたら、秋学期の「キリスト教と他宗教」を受講してください――学生諸君には、なによりもまず、この世界・自然が不思議・ワンダーでいっぱいのワンダフルな・すばらしい世界であることを感じ取る「センス・オヴ・ワンダー」という感性を磨いてほしいと思っています。そして、さらにその向こう、その奥に働いている力についても考えてみてほしいと願っています。



センス・オブ・ワンダー
レイチェル・L. カーソン
新潮社

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コスモス・セラピー用音楽3:太陽を背に受けて

2010年05月24日 | 心の教育

 「いのちの意味の授業1:コスモロジー」の太陽の創発のところで、こんなことを書きました。

 「……厳密には全体としてのガス星雲が太陽と惑星にはっきり分かれた時が、太陽系の誕生というべきかもしれません。

 つまり、太陽の誕生と地球の誕生は同時だともいえる、ということのようです。

 そして8月31日、46億年前、いよいよ、今のところ知られている唯一の生命の星である地球の誕生です。

 あるいは、「宇宙の一部が天の川銀河というかたちを現わし、天の川銀河の一部が太陽系というかたちを現わし、太陽系の一部が地球というかたちを現わした」といったほうがいいでしょう。

 宇宙の外に、宇宙の一部でない地球が生まれたわけではないのですからね。

 ここでも、この46億年前の地球の誕生が、いつかどこか外側で起こった「関係ない」話ではなく、「今ここにいる私」の誕生に直接つながった不可欠の条件だということを、もう一度思い出しておきましょう。

 つまり、私たちは「銀河の子」であり、「星の子」であり、「太陽の子」であり、「地球の子」なのです。

 逆の言い方をすれば、銀河も超新星も太陽も地球も、私たちの「ご先祖さま」であるということです。」

 そして、昨日も今日も明日も、私たちのご先祖さまである太陽が惜しみなく降り注いでくれる光と熱のおかげで、地球上のほとんどの生命(地熱や海底火山の熱で生きている微生物はちょっと違うかもしれません)が、エネルギーをもらって生きています。

 だから、ジョン・デンバーが歌っているとおり、「日の光はほとんどどんなときだって僕を幸せにしてくれる」んですね。




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コスモス・セラピー用音楽2:ジュピター

2010年05月21日 | 心の教育

 「いのちの意味の授業1:コスモロジー」や、そのセラピー版であるコスモス・セラピーのワークショップなどが終わったところで、しばしば平原綾香さんの「ジュピター」を聴いてもらいます。

 これはもうまるでコスモス・セラピーのテーマ・ソングのようです。

 聴き終わって、たくさんの学生、参加者のみなさんが、コスモロジーのメッセージを改めて実感し、「涙が出るほど感動した」と感想を書いてくれます。

 ブログ聴講生のみなさんも、よかったら、聴いてから読む、読んでから聴く、の両方をやってみてください。

 科学的にも、思想的にも、霊性的にも、そして感性的にも、「宇宙と私(たち)は一つ」と思い・感じるのが現代の共通感覚(コモン・センス)になりつつあることをわかっていただけると思います。

 ところで、歌っている場所が京都の臨済宗の東福寺であるのが、またとてもいいですね。

 私もとてもご縁のあるお寺なのですが、こんなイベントがあったとは知りませんでした。ライブで聴きたかったなあ。


 
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参考文献5:宗教世界地図

2010年05月04日 | 心の教育

 「宗教は愛とか慈悲とか説いているはずなのに、なぜ宗教同士で戦争するんですか?」というのは、きわめてよく出る質問です。

 それに対して筆者は、まず「宗教だから戦争する――という面がある――んです」と答えて、「宗教同士なのになぜ戦争するのか?」の記事のような話をします。

 それに加えて、宗教同士はただ宗教的理由だけで戦争するのではなく、ほとんどの場合、民族的・政治的・経済的事情が加わって戦争に到っていることを話していきます。

 そして、「現代社会では、どこでどの宗教とどの宗教がもめているか、少し前の本だけど、基本的状況は今でも同じだから、この文庫本1冊読めば、おおまかなことはわかります」と以下の本を推薦します。


宗教世界地図 (新潮文庫)
石川 純一
新潮社

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参考図書4:世界宗教事典、日本宗教事典

2010年05月03日 | 心の教育

 世界の諸宗教、日本の諸宗教について、信頼できるアカデミックな研究の成果が非常にコンパクトにまとめられた文献として、以下の2冊がお奨めです。

 小さな活字でぎっしりと内容が詰まっていて、一気に通しで読むには少しきついかもしれませんが、手元において時々「○○教ってどんな宗教なんだろう?」という疑問が湧いた時に、その箇所を読むには便利という、まさに事典です。

 もちろん通しで読むと、世界の、日本の宗教の大きな流れが見えてきます。

 元は単行本で、図書館で見ていい本だとは思いながら、持ち歩きに不便なので買うのをためらっていましたが、文庫になってからすぐに買いました。

 こうした学問的に信頼できるしっかりとした文献を、大きさも値段も手ごろな文庫にしてくれる「講談社学術文庫」には、いつも感謝しています。


世界宗教事典 (講談社学術文庫)
村上 重良
講談社

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日本宗教事典 (講談社学術文庫)
村上 重良
講談社

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人生は有限である

2010年04月30日 | 心の教育

 今の〔私が教えてきた〕大学生たちには、授業中、平気で私語をする者がかなりの数います。

 なぜ私語をしてはいけないのか、これまでにちゃんと納得のできるかたちで教えられてきていないのでしょう。

 そこで、最初の1、2回のオリエンテーションのとき、次のようなことを黒板に書いて、自分で考えてみるようにいいます。

 「人生は有限である。」

 「∴私の持ち時間も有限である。」

 「∴本当には無駄にしていい時間などない!!」

 これは、岡野の主観的考えか、それとも誰にでも当てはまる事実を指摘している言葉だろうか?

 授業を受けている90分も、自分の有限な人生の持ち時間なのだから、よく考えたら無駄にしていいわけはない、と思うけど、どう思う?

 授業を受けるのなら受ける。受けるのなら、私語をしないで集中して聞く。

 受けたくなくて、私語をしたいのなら、外にいってしっかり私語をする。

 教室にいて私語をする必然性はまったくないし、時間の無駄だ。

 もちろん、他の人の邪魔になって迷惑で、それはちゃんと授業を聞きたい人の権利を侵害することになるんだし。

 ともかく、遊ぶにしても学ぶにしても、時間を有効に使ってほしい。

 今、学ぶのか遊ぶのか、ちゃんと自分で責任をもって選択しなさい。

 ……と、お説教をします。

 後で出してもらった感想文によれば、しっかりと心に沁みた学生も少なくないようです。

 教えればちゃんと学んでくれる学生が少なくないのは、うれしいことです。

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参考図書3:この一冊で「宗教」がわかる

2010年04月30日 | 心の教育

 H大学の「現代社会と宗教」のオリエンテーションで、「この授業では宗教の概論、○○教はどういうことを教えていて……といった話はしません。それは、文庫本の1冊も読めばわかるようなことを90分×14、5回もかけて話すのは時間がもったいないからです。この授業では、ここでしか聞けない話をするつもりですから、そういう概論的なことを知りたい人は、次のような本を読んでください」と話します。

 そして、宗教の概論的な入門書で手軽なものをいくつか紹介します。

 その1冊が、以下の『この1冊で「宗教」がわかる』です。

 手軽な文庫本で軽いタイトルですが、内容はしっかりしていて、世界の各宗教のおおまかなことを知るには便利で、いちおうざっとしたことを知っておきたい人というにはお奨めできる本です。



この一冊で「宗教」がわかる!―世界三大宗教から日本の新宗教まで、あらゆる疑問に答える本 (知的生きかた文庫)
大島 宏之
三笠書房

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学び舎の道のハナミズキ

2010年04月28日 | 心の教育






 昨日は、H大学の講義の後、藤沢のミーティングルームで「維摩経」の学びでした。

 ミーティングルームは、藤沢駅北口を出て、「遊行通り」という通りを歩いて5分です。

 筆者は、人が多すぎず少なすぎない、明るくのんびりとした道がとても気に入っていて、講座の行き帰り歩いていると、いつも小さな幸福感が湧いてくるのです。

 今、ハナミズキが爽やかな真っ白な花を咲かせています。

 何かを学ぶとき、もちろん何を学ぶかがいちばん大切ですが、どんなところで、どんな道を通って通うかも、学びの楽しさにかなり影響するものです。

 せっかくの季節、この気持ちのいい道を通って、たくさんの方が学びに集われるといいな、と思っています。

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参考図書2:西谷啓治『ニヒリズム』

2010年04月26日 | 心の教育

 「いのちの意味の授業1:コスモロジー」では、最初のほうで、近代人は突き詰めて考えるとどうしてもニヒリズムに陥ってしまう、という話をします1) 2)

 学生時代、近代におけるニヒリズムの必然性とその克服の道について、京都学派宗教哲学の代表的な存在の一人、西谷啓治先生から、大きな示唆を与えられました。

 西谷先生の思索によって、ニヒリズムから目をそらすことなく、徹底することによって克服するという道筋は、ニーチェをはるかに超えて根源に達している、と筆者は思っています。

 学生時代以後の筆者の仕事は、ささやかながら西谷先生から受け継いだ問題意識をさらに深めたいという思いで続けてきたものという面があります。

 若い世代にとっては、文体が格調高く、またそういう意味では古くて、読みこなすのがむずかしいかもしれませんが、それだけの労力を注ぐ価値のある本です。

 単行本なら古書で、著作集版なら新しい本が入手可能です。


ニヒリズム (1966年)
西谷 啓治
国際日本研究所

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西谷啓治著作集 第8巻
西谷 啓治
創文社

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スピリチュアリティ (精神性・霊性) と成功

2010年04月16日 | 心の教育




 先日、ナポレオン・ヒルの成功哲学の言葉を紹介しました。

 かなりの数の読者が読んでくださったようなので、改めて単なるエゴイスティックな金儲けのテクニックではないことをはっきり示す言葉を紹介したいと思います。


 「働く喜び」という値段をつけられないほどの贈り物を受け取りなさい。

 「人々を愛し奉仕する」という人生における最大の価値に心を注ぎなさい。

 〔そうすれば〕ヘンリー・J・カイザーのように、あなたも偉大で惜しみない成功の取り分を招き入れることができる。

 積極的な心の姿勢を育てれば、あなたにはできる!

        ナポレオン・ヒル『Success through a Positive Mental Attitude』より


 「互恵性」という言葉があります。〔物心両面で〕他者を豊かにすることで自分自身も豊かになる、豊かになったものでさらに他者を豊かにするという好循環を表わす言葉だと思っていいでしょう。

 ナポレオン・ヒルのいう「成功」はそういう互恵的な豊かさを得ることを言っているのです。

 それは大乗仏教的に言い換えれば「自利利他円満」ということです。

 「小欲知足」や「清貧」も悪くはありませんが、現代に必要なのはたくさんの互恵的な豊かさを実現する人、スピリチュアルな成功者という人材なのではないか、と筆者は考えています。

 そういう意味もあって、サングラハ教育・心理研究所では、今、『維摩経』を学んでいます
 維摩居士は、まさにとても豊かな商人でありながら、ブッダの直弟子たちも及ばないほどの覚りを得た大乗の菩薩の代表のような人です。

 すでに第1章を終え次回は第2章からですが、終わった分はCD、DVDで学ぶことができますから、途中からでも、大丈夫です。スピリチュアルな成功に関心のある方、参加されませんか。

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新学期が始まります

2010年04月13日 | 心の教育



 長かった春休み――忙しくてあまり休めませんでしたが――も終わり、今日から大学の講義が始まります。

 昨年度の学生たちは、「この授業を履修してよかったと思いますか」という無記名のアンケートに「はい」と答え

 「わかりやすい授業でした。」
 「ためになる。」
 「すごい分野を知ってよかった。」
 「視野が広くなった。」
 「思考力がついた。考え方がかわった。」
 「現代社会の問題点や原因・解決策などを学べた。また唯識を通じて成長することができた。」
 「自分の思っていたのとちがう宗教を知れた。」
 「いままで考えようとも思わなかった宇宙について考えるようになった。」
 「内容が興味深かった。この授業を受けていなかったら考えなかったようなことを聞けた。」
 「全てのものには『つながり』があることがよくわかった。」
 「自分が生きていく上でとても大切なことを教えてもらいました。」
 「生きる事について、学べた。」
 「人生観が大きく変わりました。」
 「感動的な話をたくさんきけました。」
 「素晴らしかった。」

といったコメントをしてくれました。授業の目標はほぼ達成できたと思っていいんでしょうね。

 面白かったのは「精神年齢が15才→19才に」という答えでした。成長を実感してくれたんですね。

 中には「先生が素敵」と書いてくれた学生もいます。これもうれしい一言です。

 もちろん「人人唯識」、少数とはいえ、「いいえ」と答え、「言ってることが訳わからない。考えが気持ち悪い。教科書全部高すぎっ!」「単位がなかったら絶対に受けてなかった。」といったコメントを書いた学生もいたのは、ちょっと残念でしたが。

 ゴータマ・ブッダでさえ、「誰からも愛される人はひとりもいない。誰からも愛されない人もひとりもいない。」とおっしゃったくらいですから、やむをえないことではありますが、教師としては一人残らずいいものを伝えてあげたいと思います。 

 今年はどんな若者たちと会えるでしょう。楽しみです。

 今年もまた――できるだけみんなに――コスモスからコスモスへのメッセージを送ろうと思いながら、まもなく家を出ます。
 
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