また1つ、A+評価のレポートと感想の全文を紹介したいと思います。
H大学社会学部1年女子
宇宙と私のつながり
すべては1つの宇宙エネルギーだ。
私もあなたも、あの車もあの花もあの動物も、魚も海も空も星も全てが1つなのである。
これが現代科学アインシュタインの相対性理論から導き出される宇宙と私のつながりである。
近代科学が説明したような物質が複雑に組み合わさってできた私、死んだら無になる私ではない。
小さなエネルギーの玉だったという宇宙はビッグバンから始まった私でもある。
そのような私は死んだら終わりではない。
なぜなら生命が死ぬことがないから。
ヘッケルによる生物の系統樹を見れば一目瞭然で、すべての生き物は共通の祖先を持つ親戚であり、宇宙が137億年かけてより複雑に練りあげてきたものが私だと気が付ける。
先生は「そこにある樹木も親戚だね。」とおっしゃいましたが、私もその通りだと思う。
元を辿ればすべてが宇宙の子で、宇宙の自己複雑化の成果であるから、私の生命はいつまでも続いていくと言える。
乗物は違えど生命は引き継がれている。
たとえ太陽が爆発し太陽系が滅びようとも、次に誕生した星の中にすべての生命の記憶が受け継がれていくと思った。
地球上に哺乳類が誕生した時、「宇宙には喜びや悲しみ愛情といった感情が創発した。」(p.181)
考えれば考えるほど地球と宇宙、更には私と宇宙のつながりに感動できる。
つまり近代科学がもたらした全ての物質が分離・独立していて、私とあなたは別物であるとするコスモロジーは覆される。
私は私というエゴイズム、いつか死ぬときが来たら私は消えてなくなり、やがて無になってしまうというニヒリズム、それなら生きている間は好き勝手にやりたいことやればいいという快楽主義、これらの考え方は私と宇宙のつながりを感じていくことで取り除かれるはずだ。
宇宙が解き明かされていくにつれて、宇宙と私の壮大な物語りが明らかにされていくだろう。
感想
「宇宙の誕生は私の誕生の準備だった。」
ノートの隅に走り書きがしてありました。
このテーマに入ってすぐの頃、先生がにこやかにおっしゃった言葉です。
現在ではなるほどなぁと感動する言葉ですが、当時の私には正直言うと理解できず、「私が居るから宇宙が存在する」という言葉も同様で、何を根拠に断定するのか知れませんでした。
137億年前に起きたビッグバンと18年前に誕生した私がどうして繋がっていると言えるのか、とても疑問に感じたのを今でも覚えています。
つまりそれだけインパクトのある言葉でした。
そして現在ではとても心に響く言葉となりました。
宇宙が創発して銀河ができ、太陽系ができて地球が誕生し、様々な過程のどれを欠いても私は生まれません。
またその壮大な物語りに身震いします。
これからもこの言葉は私に寄り添っていくことでしょう。
前期が終わりましたが、私はこの授業を受講して多くに感動しました。
(私が感動するということは、宇宙が感動したのですね。)
私が「私」という小さな存在ではなくて、もっと大きくて半永久的に受け継がれていく生命で、宇宙なのだと知ることができ、前向きになれた気がします。
宇宙と私のつながりを確認し、心が温かくなりました。
履修して本当によかったです。
後期もありますが、前期の講義をありがとうございました。
この学生の「壮大な物語りに身震いします」「私が感動するということは、宇宙が感動したのですね」という言葉で表現されている、素晴らしい理解力と感性には、こちらも感動してしまいます。
大学生の間に、つながりコスモロジーをしっかり身につけて、ばらばらコスモロジーで営まれている社会に出てからも、けっしてへこたれることのないしなやかで強い心を育んでほしいものだと心から祈らずにはいられません。