小さい頃・・・・教会に預けられた私に信じる心を持たせてくれたのは
育ての母だった
3歳で預けられ、生意気で素直ではない子供・・・それが私だった
人を寄せ付けない・・・それが私の哀しみのバランスをとる唯一の方法だった
そんな私と共に母はいてくれた
クリスマスが来ると、「サンタクロースがいい子だけに贈り物を持ってやってくるのだ」と母は言った
靴下を枕元に用意して、2階の窓を開けておくから、煙突がなくても大丈夫なんだと・・・・
そして朝になると必ず、枕元に大きい靴下の中にお菓子が入っていた
そして靴下にはこう書かれていた
「けいこ。あやこ」
近所の友達の名前だった
私を育ててくれた教会は、会長という人が一人で布教をして、無一文から教会を作った頑固者と呼ばれていたような人だった
私の着る物、履くもの、身に着ける下着もランドセルも、廃品回収を行って、人が着たもののお古ばかりだった
ご飯はコメ虫が入っていて、私の食事に対する意欲を失わせるものだった
彼らは常にこう言っていた
「徳を積むのだよ」
今はエコとか節約とか言っていることが、私の周りでは日常だった
水一滴さえも、命なのだ
そしてそれは神なのだと・・・・
人の中に・・・すべての中に神が存在するのだと・・・
私は自分がみすぼらしいなどとは感じたことは一度もなかった
唯一困ったことと言えば、靴のサイズが合わなくて、足が常に痛かったことぐらい
人が使う一生でのエネルギーというのは決まっているのだと言う人もいる
彼らが私に伝えたかったことは、今はもう聞くことができない
二人とも他界してしまった
私に沢山の目に見えない贈り物を残して・・・・
3歳の時から私の修行は始まっていた
それはとてつもない荒修行だ
自己を完全に消すこと・・・
謙虚さや、柔軟性・・・命の真髄・・・
そのすべては神道の真髄だ
それらの土台があるからこそ・・・今の私が存在する
なぜ自分がこの人生を選択していたのか・・・
今なら分かる気がする
私は宗教を持たない
ただ・・・私のスピリットは沢山の「神々・・・生命」と呼ばれる息吹が入っているのを感じる
時には嵐の前に佇み・・・無限の挑戦に挑み
ある時には静かに風の声を聴く・・・
生命がささやく声や神の息吹が、地球を廻り
私は風になる
今日の夜はいつものように、私の家にサンタクロースが現れる
6年生になったネネちゃんの寝息を感じながら・・・
私の6年生の冬を思い出す
その日はサンタクロースは来なかった
次の日も、次の日も・・・私はサンタクロースを待っていた
贈り物が欲しかったのではない
親から見捨てられ、孤独の中にいた私にとって
私という存在をいつも見てくれる神のような存在が必要だった
会いたかったのだ
結局その日を境にサンタクロースは現れることはなかった
私は泣いた
一ヶ月くらい引きずっていた
それでもサンタクロースはいるんだと信じて疑っていなかった
ネネちゃんはどんなストーリーを持っているのだろう?
4人の子供のうち、最後のサンタクロースの贈り物を私は届けた
外は雪が降っている
真っ白になった世界を見ながら回想している自分がいた
沢山の人に愛という贈り物が届けられることを私は知っている
遠い世界に行ってしまった母の優しさに
感謝を届けたいと思う
今の私がいれるのは、あなたのお陰です・・・と