イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

電車で行けるピーク・ディストリクト、農地を通って気づいた変化、景観向上のための偽装工作?

2024年07月25日 17時58分45秒 | ピーク・ディストリクト

イングランドの典型的な田園風景が楽しめるピーク・ディストリクト国立公園Peak district National Park、マンチェスターから電車で行けるイーデル Edale の日帰り散策コースの提案、続きです。

最後にこの場所に来たのは...パンデミック前でした。

山並みなど壮大な自然の景観は変わりません。

でも、微妙にいろいろ変化がありました。以前のストックポート日報の記事を読み返して写真を見比べてみました。

特徴のある木は成長しているし、柵がなかった場所にも柵が新しくめぐらされていたり...

今来た道を振り返って撮った写真です☟

夫の姪を座らせて写真を撮った地面の謎のモコモコもなくなっているし。

今回は、植樹された若木をいくつも見ました。

ピーク・ディストリクトは「自然のままの原生林」なんかではありません。ヒツジが草を食むのどかな田園風景は、中世のころから牧羊産業のために多くの森林を切り開いてきたイングランドの、大規模な自然破壊の証でもあるのです。

人工的な植樹は森林のコントロールですよね。(緑が増えるのはいいことですが)

同じ木の柵に保護された、すべて同じ大きさの同じ種類の若木がハイキングコースのずっと先まで、20本ぐらい見かけました。農地の持ち主はそれぞれ違うはずです。

同じ植木屋に同時に依頼したから、とも思えません。地域の観光や景観に関する公の組織が全域に手を入れているんじゃないかと思います。

この「キャトル・グリッド cattle grid 」をはさんで農地の所有者がかわります。振り返って撮った写真です☟

キャトル・グリッドというのは英国の農村やナショナル・トラストなどの文化保護団体が管理する広大な庭園などでよく見かけます。放牧された動物は通さず、人やクルマやトラクターがいつでも通れるようにした仕掛けです。

ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、庭園などで放牧されているシカなど、ひづめのある動物は間隔をあけて並べた鉄の棒の上を歩けません。イヌや(たぶん)ネコならだいじょうぶでしょう。人間でもハイヒールや硬い底の靴をはいていたら不安定で難しいかもしれません。

 

キャトル・グリッドの脇の壁から直角につながったドライストーン・ウォール drystone wall(平たい灰色の石を隙間なく積んだ農地の塀)が放牧地を横切っています。

農家の敷地内に入る直前に...

建築資材会社から搬入されたような新品のドライ・ストーン・ウォール用の新しい石が大量に積まれていました。新しく石壁でも作るのかな、と思っていたら...

2棟たっているコンクリートと鉄骨の納屋の左側の下半分の外壁を石で覆う作業が進行中でした。

昔ながらの建築法で建造されたかのように昔ながらの建材で偽装工作中!上半分は木材を張り巡らせていました。(インチキ)

通り過ぎた後、振り返って撮った写真です☟

なかなか効果的です。向かいの納屋は上から下まで木の板張り...

以前は酪農家だったこの農場にはウシがたくさんいたのですが今は道具置き場になっちゃっていますね、この納屋。ウシは見かけませんでした。

ウシがいなくなった後の牛舎の入り口にはまだ四角い犬小屋が二つあり、イヌがそれぞれ住んでいました。以前と同じイヌだと思います。

風情のある古い石造りの納屋と、見栄えのしない黒ずんだアルミ板張りの納屋が混在している実用的な農場の中庭です。

鉄のシャッターがおりていたり、ジャリ舗装とつぎはぎのコンクリート舗装の混在もまた現実的です。

石壁風や板張り風の偽装もやはり「地域の観光や景観に関する公の組織」か何かの差し金でしょうか。景観を向上させるための資金援助があるのかもしれません。

ピーク・ディストリクトは、美しい自然の景観の中に農業が産業として根付いている、地元の住人の生活の場でもある観光地なのです。コッツウォルズみたいに観光目的で「絵にかいたような牧歌的で古風な村」に偽装しなくても全くかまわないはずなのですが!

牛舎だった納屋のある農場の中庭に面した民家(農場の経営者の住まいでしょう)の石壁に段々があります。

「マウンティング・ステップス mounting steps」という、ウマに乗る時の足掛かりです。ここを通るたびに「これ何だか知ってる?」と聞く夫(ボケたか?)に、「知ってる。前に聞いた」と答えています。

わたしもストックポート日報にいつも書いていますね(ボケていません)

私たちはいつもこのマウンティング・ステップスの壁を通り過ぎたらすぐ右側の下り坂を下りるコースをたどることにしています。

左側にある民家の敷地を通って、山登りをするコースもあります。まっすぐ抜けて、よりワイルドなコースを行くことも可能です。

右に曲がった坂道を下り始めた夫です☟

左側のドライ・ストーン・ウォールが高すぎて中で放牧されているヒツジが見えなーい。「べへべへ~」というにぎやかな鳴き声が聞こえてきます。

塀の高さは低くなったり高くなったり...道沿いの土台はいつも草や野の花が映えている盛り土が続いているので足をかけたら中がのぞけるスポットが多数あります。

次回に続きます。

昨日までの2つの記事のリンクです☟

電車で行けるピーク・ディストリクト、観光地とは思えないシーズン前の静かなイーデル

電車で行けるピーク・ディストリクト、イーデルの手軽なハイキングコース

 

 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 電車で行けるピーク・ディス... | トップ | 電車で行けるピーク・ディス... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
犬と暮らす日々 (浅井)
2024-07-27 15:45:56
ここを通るたびに「これ何だか知ってる?」と聞く夫(ボケたか?)に、「知ってる。前に聞いた」と答えています。
  僕も 同じことを 毎日 言ってますが
最近は 女房も 譲ってくれて 「そうよね」と
相槌(あいずち)を 打ってくれます
   
返信する
浅井さんへ (江里)
2024-07-29 09:25:26
浅井さん、
浅井さんの奥様、やさしいですね!私はまあ、憎まれ口のようなつもりで言っています。
前に聞いた話にうっかり相槌を打ったりしたら「前に行ったのを忘れたのか?」と思われるのもやっかいですし!
だいじょうぶ、うちの夫も浅井さんもボケていません。
返信する

コメントを投稿

ピーク・ディストリクト」カテゴリの最新記事