新潟県版の長期優良住宅のコンセプトと模型が完成しました。
今後は設計士と工務店によって仕様の検討に入ります。
そんな願いから、新潟県建築組合連合会を基盤に、長岡市の設計士グループ「チームテラ」、技術顧問にアルセッド研究所を迎えての、この夏から県内各地に点在する古民家の視察をしながら、検討会が何回か開催されすなかで、コンセプトや設計が固まってきました。
寺泊町の古民家視察
高柳町の古民家視察
「長期優良住宅」は国産材促進がメインになっていますが、「匠の家」は地元新潟での気候風土に沿った設計コンセプトと県産材使用促進、自然エネルギーの有効活用と地球環境に配慮した住宅づくりが付け加えられる予定です。
「匠の家」の説明を行う「チームテラ」今井設計さん。
チームテラは「アーキセッション」の小川さん、今井設計さん、
和田設計さん、「サトウクリキ」さんで構成されていて、
若手設計士集団として長岡各地で活躍中。
展示された模型とパネル
模型の説明をする今井氏
「構造がみれるように苦労しました」
力の入った模型にみなさん見入っていました。
これから、実際の家作りの際の仕様の検討に移るようです。
県産杉材利用の場合の注意点、工夫する点は、当社のデータが役立つでしょう。
(ここからはだらだらと書くので、必要な人のみ付き合ってください)
県産材仕様の際の留意点は次のとおりです
1.材料自体の強度が弱い(米松比)
2.アテ材が多く、狂いやすい
3.乾燥がしずらく、品質管理が難しい
4.流通量が少なく「高い」と思われがち
こういった問題点をクリアしていかなければ、県産材仕様の長期優良住宅をつくってもクレームだらけになってしまいます。
これらの問題を解決するには設計や施行の両方の観点からの工夫が必要です。
個々に説明をしていきますと・・・
1.材料自体の強度が弱い(米松比)
米松がメインの構造をいきなり国産材や県産杉に変更した場合、まずこの問題に当たります。(気にしていない工務店は気を失わないように・・)
一番いいのは伝統構法を取り入れればいいのですが、プレカット中心だったり、在来工法の刻みしかしていない場合はちょっとした工夫で耐久性はあがると思います。
すなわち、
イ) 継ぎ手の長さを極力長くする。
ロ) 金物の入れ方に工夫する。
でしょうか・・・
弱い材料をどうやって組み合わせて耐久性を上げていくのか、耐震性を上げていくのか・・・そういった努力を日々積み重ねていくことが必要。
イ)、ロ)の内容は、そのうちに解説します。(このブログに時々取り上げられていますが・・)
2.アテ材が多く、狂いやすい
に関しては、木の見方を磨けばよいことになります。
若しくは、「使うまで少し待つ」という工程をはさめばよい。
また、逆に狂う方向を見定めれば、もっと強くなります。
3.乾燥がしずらく、品質管理が難しい
に関しては、やっぱり時間をかけるというところでしょうか・・・・
ひとつには、仕事が決まって、直ぐに材料を発注したとしても、建て方まで時間をかせぐこと・・また、建て方から竣工まで乾燥期間を見込んで十分な工期を見込む。ということで、かなり(材料の)無駄は省けると思います。
また、狂いによるクレームも少なくなります。
建てる側の工夫も必要ですが、製材等での管理努力も必要でしょう。(適材適所で時間の掛け方や乾燥方法の工夫も必要です。断面の大きさでやり方を変えたり、専門分野に限った工場を分散するとか・・・)
4.流通量が少なく「高い」と思われがち
山の木は立ち木では最低価格のまま停滞しています。「安すぎて切っても金にならない」くらいの安いはずの丸太が、市場に出回ると「高くなってしまう」のは中間でのコストダウンの努力をしていないということです。若しくは、「高い」イメージで売っているか・・・
地元材を集団で購入したりすればコストを下げる可能性も出てきます。
野縁一本、間柱一本からでも地元材にシフトしていけば、積もり積もれば山となります。
等等・・・
駆け足で説明したので、内容はほとんど説明できていませんが、それらを解決する糸口となるような「越後の匠の家」にもっていきたいと、個人的には想っているわけで、そういった家作りが広まれば、地元材が普及する手段の一つになっていくでしょう。
この十年の経験が活かせます。
長期優良住宅へ・・・
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