べんりや日記

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古民家再生 土台ジャッキアップ

2009-01-31 09:32:50 | リフォーム奮闘記

今週の半ばまで降り続いた雪による積雪も、雨ですっかり消えてしまいました。
先日まで晴れていたので、外部をするには丁度いいのですが、冬にしては暖かい傾向が続いているようです。

2月に入れば、本格的な寒気団が入って、まとまった雪となるのでしょうが、昨年のように3月まで雪が続くような気配がします。

それでも寒い日は寒い。

小国町の古民家再生現場では、排水廻りの工事が終了し、トイレは何とか使える状態になりました。
今週の中頃に、土台のジャッキアップ作業を行いました。



先週から降り積もった雪の中での作業




レーザーレベルをすえつけて高低差を見ます




土台の柱の近辺にジャッキを当てる


10tジャッキは、頭に効かせれば最大10tの揚力が期待できますが、土台と地面との間にはジャッキが入るスペースが無いため、ジャッキ脇のツメをひっかけて土台を揚げます。こちらは5tまでの能力しかないので、向こう側にもう1台ジャッキを当てて、計10tで揚げています。
土台の腐れがひどく、まともにツメを引っ掛けられないため、土台の下に角材をかませてからその下にツメをあてています。
それでもなかなか上がらない。



「差し鴨居」が入っている柱は、そこへ直に荷重をかけることができます。




10tジャッキ×2で計20tの揚力


「差し鴨居」や折置きで桁の下に「梁」が入っている場合、その下に角材を突いてジャッキアップできます。
土台にジャッキをかけるよりも効率が良く、荷重もかけられるので、本屋が乗っていても十分に揚げることができる。

また、外壁を壊さなくても、建物の中だけで作業が出来るので、「差し鴨居」「折置き梁」は、地盤が不等沈下した場合の土台揚げには有効な構造だということが分りました。




土台下のパッキン(ケヤキ)




土台下に束(桧)


ジャッキアップした後は、その隙間にパッキンを挟んで、ジャッキを下げて作業を終了します。
パッキンは、小さい場合は硬木のケヤキ等、大きい場合は防腐性能の高い桧やヒバを束にして立てます。

はじめは、高低差が柱によってまちまちで、差し鴨居や鴨居がちぐはぐにみえていたのですが、ジャッキアップによって、高さが通っているように見えるくらいまで直しました。

お客さんも
「柱が直った分、心なし安心できるようになった」
と言っておられましたが、

もう少し直したかった・・

というのが内心はあり、心残りです。
柱や差し鴨居等は、永年のくせや地震によって曲がってきているので、垂直になっていない部分もあります。そこまでこだわってしまうと、手間もかかるし、当然費用に跳ね返るのですが・・
今回は、この辺で、終了というところ。

あとは、どう構造を魅せながら仕上げるかというところです。
壁材も今は、いろいろな自然素材があり、それらを使って古民家を再生していく楽しみがあります。
お客さんも、ここに住みながら少しずつ手を入れていきたいということで、楽しみながら暮らしていくのもいいのかも知れません。

「永遠に未完成」

そういう建物に人が集まり、手を加えて、より住み心地のいいものにしていく。
集った人々がつながっていく。そういったプロセスを経ていくのが楽しみな建物であります。
村のコミニティ形成の一環を担うような場所になればと、期待も持っているのですが・・

古民家再生へ・・

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7 コメント

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Unknown (ぽる)
2009-02-10 23:43:30
差し鴨居や折置き組み素晴らしいですね
考えてみれば瓦や大雪の重さに耐え、地震にも耐えるのですから地盤沈下の修正で持ち上げるのは朝飯前なのも納得ですね^^

それにしても土台ではなく鴨居や梁にジャッキをかける発想が素晴らしい!
返信する
>ぼるさん (藤川(管理人))
2009-02-12 11:59:20
コメントありがとうございます。

伝統構法の場合は、たまたま、ジャッキアップしやすいようになっているのか、後々のことを考えて、このようになっていったのかはわかりません。

現在の在来工法の場合は、構造上、下から突っ張るわけにもいかないので、土台を上げるしかない。
でも、一番荷が掛かる外周部はジャキアップが困難になります。
外壁を一部解体して2階又は本屋の桁下を突っ張って直す方法で対応するしかないでしょう。
返信する
土台のジャッキアップ高さは? (じげん)
2009-02-13 10:44:39
藤川様、古民家再生の現場の臭いが伝わってくるようなコメント+写真でした。
そのような作業をしたことがありませんが、写真ではわからない苦労がたくさんあると思います。
ジャッキ、ポストの力加減など、体感してみたいものです。
ジャッキを上げると、各所で、木がこすれ合う音がしそうです。

ところで、ジャッキで上げる前に事前調査をして、何処をいくら持ち上げるかは決めてから作業にかかると思います。
(下げる部分は無いと思います)
今回の物件は、最大上げ幅は何ミリ程度でしょうか?
どの位まで上がるのでしょうか?

また、ジャッキ上げなどの見積もりはどのように考えるのでしょうか?
おおよそ、何人役、何日ぐらいという考えでしょうか?
わかる範囲で教えていただければ、参考にさせていただきます。
返信する
>じげんさん (藤川(管理人))
2009-02-13 15:28:12
コメントありがとうございました。

事前調査は、レーザーレベルを用いて、建物全体の高低差を計測、最大60ミリのジャッキアップを行いました。

見積もりは、当初1ヶ所12,000円くらいで計算しましたが、20箇所以上だと20万円を超えるので、ピンポイントで(高低差が著しくあるある場所のみ)行い、人数と時間で請求しました。

床の解体は、お客さんが自分で解体したので、大工が入るよりも安く、
実質、12ヶ所上げるのに大工2人で2日がかかり、あとは材料費(パッキン、束、束石)、レベル等使用料、ジャッキ損料、諸経費等で、コストを下げました。

できるところは、自分でする・・
こういう努力が実を結びます。
返信する
Unknown (問い合わせ人)
2012-01-12 13:42:56
古民家のジャッキアップの件で
直接連絡を取りたいのですが、
方法はありますでしょうか?
返信する
問い合わせ先 (藤川(管理人))
2012-01-13 22:21:49
お問い合わせありがとうございます。
直接のお問い合わせは、

㈱藤川建設
TEL 0258-35-1851
e-mail benriya@beige.ocn.ne.jp

までお問い合わせください。
返信する
古民家のジャッキアップの件 (生駒)
2012-11-06 20:55:20
私は、富山県滑川市に築150年以上は経つと思われる民家(父の実家)を所有しております。一部に柱の傾きや沈みが見られ、困っております。そんなとき、当サイトを拝見し、感動しました。先日、上記のメルアドに詳細な問い合わせのメールを差しあげたのですが、お返事がまだいただけないでおります。お手数ですが、メールをちぇっくしていただけませんしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
返信する

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