長岡振興研究会の見学が開催されました。
研究会のメンバー自体は10人程度なのですが、建築組合、設計士組合、木材商組合、森林組合、長岡職員を集めて、市のマイクロバス2台という大所帯。
見学コースは、
○和島小学校(木造新築現場)
○長谷川邸改修工事(旧越路町)
○神田県営住宅(木造3階建ての新築)
で、いずれも市のからむ木造工事です。
「長岡木造振興研究会」は平成12年に結成しています。
公共建築物の木質、木造化を図る研究会で、建築組合、設計組合、木材商組合、森林組合、長岡市建築住宅課の有志で組織し、平成14年度に「木」という木造検討の報告書をまとめたり、講演会を開催してきました。
ちなみに志田材木社長が会長で、私は副会長。
中越地震により、忙しくなり、途中活動は休止しましたが、その間に「中山間地復興モデル住宅」の母体となり活動を続け、ようやく地震の復興も落ち着き、見学会を開催できる余裕がもてるようになりました。
写真は、長谷川邸で、江戸時代中期に建てられた伝統構法の館です。
茅葺屋根と指し鴨居、梁、土塗り壁が印象的な長岡を代表する古民家となっています。
平成初期に改修が行われましたが、中越地震により被災。
地盤が下がったり、差し鴨居の仕口が割れるなどの被害がありました。
改修にあたり、地盤を柱状改良して足元を固め、構造の補強(金物)を行って土塗り壁を補修している最中に、「新潟県中越沖地震」があり、またまた補修工事が延びたという経緯があります。
それでも、地盤を補強したということもあって、被害は少なかったとのこと・・
長谷川邸の特徴は、建物北、西に座敷が広がり、庭が眺められます。西中央に玄関、中心部に土間。南側は土間打ちで窓が一つも無く、真っ暗な広い空間となっています。
現代の設計では、まず南側に広々と開口を設けて光を取り入れるのでしょうが、その逆です。
おそらく、何か思案があったのでしょう(ひょっとしたら、家相だったりして・・)
構造は、メインフレームの大黒柱、差し鴨居の大きな骨組み部分には壁が一つも無く、そこから3尺外に柱を立てて、そこに壁を設けています。
「木組みでもたせてやる。壁なんてたよらない」
という、棟梁の心意気が感じられます。
地震による荷重は外へ向かって働くので、あえて外側で耐力を持たせ、中心の骨組みに影響を与えない工夫だったのかも知れません。
これからの設計に活かせるような気がします。
・・ということに気が付いていたのは、マイクロバス2台のうち、私だけのようでした。たぶん、古民家を見たというだけで終わってる人が多いんだろう。
一つ一つ、実は隠された真実があったりして、それを見抜く目を養ってきた。
勉強になる所はいくらでもあるし、それを自分の建物に活かす工夫のきっかけになるはず。
ほんの40分くらいの間でしたが、あと半日見ていれば、もっと色々なことが分ったのでしょう・・
地震があと10年遅ければ、木組みを活かした改修ができたのに・・残念!!
大工~伝統技術について・・
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