住みこみ*著書:『住みこみ』(2007年/ラトルズ刊) 戸田家の一年を写真とエッセイで綴った本のタイトルです。

人の暮らしは時間と共に変化します。それを調整しつつ自在に手を入れられる、ゆるやかな設計を心がけています。

ラムスさん

2009-05-23 10:31:39 | 住宅

押したくなるボタン、ひねりたくなるスイッチ

5月22日、以前お宅を設計させていただいたご縁で、お付き合いさせてもらっている吉谷夫妻のお誘いで、府中市美術館で開催されるディーター・ラムスさんの展覧会「純粋なる形象」のオープニングレセプションに行った。

ディーター・ラムスさんは、40年にわたり、ドイツのブラウン社でデザイン・監修をしてきた人で、その手がけた製品は500を超える。デザインの仕事をしている人の中には、少なからず影響を受けてる人は多いのではないでしょうか?

私自身も、プロダクトデザインに特に興味があるという訳でもなかったのですが、文房具店で何気なくアラーム時計や電卓に出合ったとき、「デザインはこうあるべき!」と思い込んでいたことに、今更ながらに思い出した。誰々の作った何々 ではなく、ある意味普通に買って、普通に使っていたものを、「これだ!」と思えてしまえる事ってありそうでないような気がする。。しかも、今でもそう思える。

写真は壁掛けオーディオです。このスイッチの類。シンプルで、美しく、わかりやすいものである。その上かわいくもあり、手や指にフィットする。言葉は適切かどうかは解らないが、一種機能性を超えた「色気」のようなものを感じる。。。
しかも今でこそ珍しくなくなったこのオーディオは1964年発表の製品だ。今から45年前の製品なのにちっとも古さを感じない。

・革新的であると同時に、自然である。
・機能的であると同時に、感情に訴える。
・識別的であると同時に、個性と、世界的に受け入れられることを調和させる。
・恒久的な品質を誇ると同時に、高水準の視覚的アピールを備える。
・明確であると同時に、最適条件の多機能を提供する。
・誠実に、誤った期待を抱かせることなく、みずからの基本価値を肯定する。
・審美的であると同時に、高度な合理性をも表現する。

これら対立するニーズを調和させ、デザイン要素の説得力ある統合を達成できるようにするための価値の統合は不可欠と考えます。

ブラウン社

家電製品の環境に対する取り組みがいろいろ取り沙汰される昨今、緑豊かな府中の森で、家電製品についていろいろ考えさせられた日でした。

「純粋なる形象」2009年5月23日(土)~7月20日(月・祝)/府中市美術館