住みこみ*著書:『住みこみ』(2007年/ラトルズ刊) 戸田家の一年を写真とエッセイで綴った本のタイトルです。

人の暮らしは時間と共に変化します。それを調整しつつ自在に手を入れられる、ゆるやかな設計を心がけています。

修理

2009-07-03 17:35:26 | 生活のアイテム
(腕時計.1)

何年式か解らないが、私が持ちはじめて30年。ロンジン(LONGINES)製の機械式手巻き時計です。ご覧の通り、決してきれいとはいえないその外観であるが、その薄さとシンプルなデザインが気に入って、30年間飽きる事がない。

ちょっと前になるが、そろそろオーバーホールかな?と思っていた矢先、突然動かなくなった。古くからお世話になっている時計店に持っていくと、ゼンマイのユニットが壊れている可能性があるとの事。古い時計だから部品があるかどうか~との返答。いろいろと探してもらった結果、見つかったのが写真右下ユニットだった。
古いものでも、裏蓋のかすかに見えるロットナンバーから形式を割り出し、世界中から部品のストックを探し出す。そして直す事が出来る。さすがだ~

このロンジンはたまたま古いものであるが、かといって私はアンティークが好きなのではない。「古いから良い」のでなく、「良いから残る」モノが好きなんだと最近思う。もちろんその「良い」の定義は、「品質」もさることながら、「直せる」「直す余地がある」という事も大事だと思う。大概のものは磨耗し、いつかは壊れるものだから。。。

今回の修理とオーバーホールで2万5千円。決して安くはなかったが、捨てるフラストレーションを考えると、多少高くても、気に入ったものを普通に持ちつづけられる事を選びたいと思う。

=戸田晃建築設計事務所=