住みこみ*著書:『住みこみ』(2007年/ラトルズ刊) 戸田家の一年を写真とエッセイで綴った本のタイトルです。

人の暮らしは時間と共に変化します。それを調整しつつ自在に手を入れられる、ゆるやかな設計を心がけています。

相生

2009-07-07 18:31:01 | 建築
(富士)
24節気 小暑(しょうしょ)
暑中見舞いはこの日から立秋の前日までにだす。
第31候 温風至  あついかぜいたる    現代で言えば熱風のこと。

梅雨が明け、夏の太陽が照りつけて暑さが日増しに増してきます。
そして七夕。恥ずかしながら、織姫と彦星は「恋人」だと思ってました。「夫婦」だなんて知りませんでした。ある統計でその事を、「知っている」「だいたい知っている」と答えた大人は91.0%もいるらしい・・・本当?

ある現場で鉄骨の「建て方」での事。その日は朝から雨降りで時にどしゃ降り状態。作業は出来そうにないと思いきや、午後に入り雨が上がり無事作業が終わった。
後に、ある人にその話をすると、雨の「水」によって、その後行う「火」を使う金属加工での、起こるかもしれない災難を抑止するものになっていたのかも・・・と話してくれた。

ちょうど、万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなるという説の五行思想の中の「相生」にあたるかどうか解らないが、火は水によって消されることで、一切を燃やし尽くさずにすむ・・という事なのか?
 他に、「相生」の例として、土は木の根が張ることでその流出を防ぐことができ、水は土に流れを抑えられることで、谷や川の形を保つことができる。金は火に熔かされることで、刀や鋸などの金属製品となり、木は刃物によって切られることで様々な木工製品に加工される・・・がある。

上記エピソードの真偽の程は解りませんが、建ものを作るという事は、土を掘り・鉄や木を加工し・風雨から身を守るものを作る事であるが、それは一方で自然に手を入れさせてもらう事でもあり、一歩間違えると、「相克」「相侮」といった相反する関係になりかねないと言う事を、常に頭に入れておかなくてはいけない、とあらためて感じた一日であった。

現場の帰り、曇っていた空をふと見上げると、それまで見えなかった富士山が目の前に・・・がらんと開けた場所で見る富士より、路地の突き当たり、家や電柱の隙間から見る富士に、より雄大さを感じた。