ベートーヴェン:『シュテファン王』序曲 作品117 (スコア付き)
ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン: 『シュテファン王』序曲 作品117 (スコア付き) 作曲年代:1811年
指揮:クラウディオ・アバド 管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
《劇付随音楽『シュテファン王 (König Stephan)』作品117》は、1811年10月のペスト市(現:ブダペスト)新国立劇場のこけら落とし公演のために作曲された。アウグスト・フォン・コツェブーの同名の戯曲に音楽を付けたもので、序曲と9曲の声楽曲からなる。初演は会場の完成が遅れたため、1812年2月9日に行われた。《劇付随音楽『アテネの廃墟 (Die Ruinen von Athen)』作品113》が同時上演されている。 『シュテファン王』とは、西暦1000年にハンガリー王国を建国したイシュトヴァーン1世のことを指している。副題『ハンガリー最初の善政者』からも明らかである。 《序曲》はしばしば演奏会でも取り上げられる。Andante con motoで開始される序奏は金管楽器による勇壮なファンファーレと木管楽器による軽快な主題の交替が印象的である。主部はPrestoで、木管楽器により開始される。シンコペーションを伴った展開の後現れる第2主題は、13年後の《交響曲第9番ニ短調 作品125》の第4楽章を思わせる。その後、序奏、主部、序奏の順に再現され、最後のPrestoがコーダとなる。楽器編成はトロンボーンこそ用いていないものの、コントラファゴットとホルン4本を含む比較的大きな編成である。