内藤明人／ものづくり中部の革新者たちⅢ

2022-10-12 06:40:45 | ものづくり・まちづくり

ものづくり中部の革新者たちⅢ　より　内藤明人　を紹介します。

去る2022（令和４）年９月10日（土）に名古屋都市センター（金山南ビル内）　11階「まちづくり広場・企画展示コーナー」で行われた、第17回パネル展での学びを振り返ります。

ここから　http://csih.sakura.ne.jp/panerutenn.html

今回は、【ロマンチックリアリズム　一国内最大手の総合熱機器メーカをつくる一】　

内藤明人 (1926 2017)　ロマンチックリアリズム　一国内最大手の総合熱機器メーカをつくる一

■　誕生から林内製作所入社まで
内藤明人(本名:進) は1926(大正15)年に名古屋市に生まれた。父は林兼吉とともに林内商会(後に林内製作所を経てリンナイ) を創業した内藤秀次郎で、その三男四女の末っ子であった。明倫中学 (現愛知県立明和高校)、第八高等学校から東京帝国大学第二工学部に進み、機械工学を学んだ。家業を継ぐはずであった兄が戦死して、父に懇願され迷いに迷ったが、「世界のトップのガス器具屋
になる」との目標をもって、 1948年春に卒業して直ちに林内製作所に入社した。
半年後に父が他界し、林兼吉社長と経営のかじ取りを行うようになり、技術全般を任された。 1950年に林内製作所は資本金百万円で株式会社に改組され、明人は副社長に就任した。

■シュバンク社から技術導入
1955(昭和30)年春に名古屋商工会議所による欧州視察団に一番若い団員として加わり、ドイツで運命的な出会いがあった。飛び入りで参加した「欧州ガス会社の社長が赤外線燃焼の新技術を発表していた。内藤がガス会社と共同で3年間取り組んでうまくいかな
かった課題を新しい触媒によって解決していた。演壇を降りる社長に駆け寄り、ドイツ語で「提携して欲しい」と頼み込んだ。その翌日からの交渉で、要求された特許使用料は二億円で、当時の年商の三分の一に相当する規模であり、社運を賭ける大英断が求められた。
林社長の「内藤君を信じるよ」で提携することになったが、政府から外貨取引の許可を得るのに手間取り、シュバンク社との正式調印は1957年12月になった。輸入したセラミックプレートを取り込んだ赤外線ストーブは大ヒットし、年商は倍々で増えていき、特許料は3年で払い終えた。「ガスの熱を赤外線に変えたい」という技術者のロマンがこの成功を導いた。セラミックプレートの国産化を1959年には成し遂げ、赤外線魚焼きバーナーの開発にも成功した。

■品質こそ我らが命
1960年代には、グリル付コンロ、ガス高速レンジなど厨房機器の新製品開発を推し進め、 1970年代にはガス小型給湯器の本格生産を始めた。それまでにない機能を持った製品は消費者に広く受け入れられ、リンナイをガス機器の国内最大手に成長させる原動力になった。こうした時期に明人が唱えてきた「和・氣・眞」と「品質こそ我らが命」はリンナイの経営理念として引き継がれている。また、会社経営ではリアリズムが6割、ロマンチシズムが4割だと「ロマンチックリアリズム」を実践してきた。中部財界を代表する論客としても知られ、中部産業連盟会長、中部経済同友会代表幹事、名古屋商工会議所副会頭などを歴任した。
(黒田光太郎)

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