文部科学省は27日、2019年度から使われる中学校の「特別の教科 道徳」の教科書の検定結果を公表しました。
出版社8社が申請した8点(全学年で計30冊)全てが合格しました。
これについて、毎日と産経が社説でコメントしています。
毎日です。
中学校の道徳教科書検定 指導する項目に柔軟さを
「従来の「読ませる道徳」から、議論を重視した「考える道徳」への転換を意識した教科書になっている。
人気漫画の「ブラック・ジャック」や五輪選手、インターネット将棋を題材に使うなど、生徒に興味を抱かせる内容も多い。
教員が指導しやすいよう「考えを話し合ってみよう」などとクラスで議論するポイントも示している。」
こう評価しつつも、
検定は、学習指導要領が示す項目に沿っていることを細かく求めた。
道徳では「節度、節制」「真理の探究」など22項目で教えるべき要素を満たさねばならない仕組みだ。
例えば「節度、節制」の項目では「望ましい生活習慣」や「心身の健康の増進」などに加え「安全で調和のある生活」と多岐にわたる。
この「安全」を題材にした記述がないと指摘され、コラムのテーマを障害者から交通安全に差し替えた教科書もあった。
だが、教える項目に形式的に沿ったからといって、道徳的な心が養われるわけではない。むしろ教材を触媒にした柔軟な議論が必要だろう。
「項目に縛られすぎ」という論調は、小学校の時にもありました。
そもそも、多岐にわたる項目の内容をすべて網羅するのは無理があります。
結局は、授業の工夫次第ということになるのでしょう。
産経です。
中学の道徳教科書 信頼や公正を軽んじるな
「信頼」「公正」など徳目を踏まえた検定が行われたのは妥当である。
こうした徳目には社会生活で欠かせない普遍的価値がある。それが戦後の学校教育で軽視されてこなかったか。授業を見直す転機としたい。
次の点はポイントです。
「文部科学省は、考え、議論する授業を目指している。教科書にも討論する上でのヒントなど工夫がみられる。だからといって生徒に勝手に考えさせるだけでは教育にならない。」
話し合うだけではだめなのです。
「そこで討論するのもいいが、「勇気」「正義」を押しつけなどと嫌っては、見て見ぬふりを助長するだけである。心棒となる徳目を欠けば、他人に迎合するだけに終わろう。」
これもわかります。
ただ、「押しつけ」との境界が難しい。
産経のまとめです。
少子化や核家族化の進展で親から子へ、また地域の異年齢の子供同士の遊びの中で徳目の価値を体験的に学ぶ機会が減っている。
政治や企業の不祥事など大人の社会で「徳」が失われている。教師の背中を見せられるか。改めて徳育の重さを認識したい。