ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 作品55『英雄』【ベーム&VPO】(スコア付き)
ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン: 交響曲第3番変ホ長調 作品55『英雄』(スコア付き) 作曲年代:1803 - 04年 指揮:カール・ベーム 管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
00:00 第1楽章 Allegro con brio (変ホ長調) 14:59 第2楽章 Marcia funebre. Adagio assai (ハ短調) 31:16 第3楽章 Scherzo. Allegro vivace - Trio (変ホ長調) 37:20 第4楽章 Allegro molto (変ホ長調)
《交響曲第3番変ホ長調 作品55『英雄』》は、ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが1803年から1804年にかけて作曲した3曲目の交響曲である。正式な原題は「英雄交響曲 (Sinfonia eroica) 、ある偉大なる人の思い出に捧ぐ」で、エロイカ (eroica) の名で呼ばれることも多い。 ベートーヴェンが生きた時代は、貴族社会から資本主義社会への転換期の真っただ中で、特に1789年から1795年にかけて起きたフランス革命により、世界情勢は混乱をきたした。そんな中現れたナポレオン・ボナパルトは、フランス革命への干渉を図る欧州諸国との戦争(ナポレオン戦争)で幾多の勝利をおさめ、ヨーロッパの大半を勢力下に置いた。ベートーヴェンはナポレオンに大いに共感し、ナポレオンを讃える曲としてこの交響曲を作曲した。しかし、曲の完成後の1804年にナポレオンが皇帝に即位すると、ベートーヴェンはナポレオンへの献呈を取りやめた。ここで、表紙を破り捨てたという逸話が有名だが、これには諸説がある。この交響曲は1805年4月7日、オーストリア・ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場にて公開初演された。 《交響曲第3番》は、曲の構成や管弦楽法などすべてにおいて、ハイドンやモーツァルトなどの音楽とは一線を画しており、音楽史においても、交響曲というジャンルやオーケストラの可能性を大きく広げた画期的な作品である。まず、50分をこえる交響曲は当時としては考えられない長さである。加えて、第2楽章に「葬送行進曲」、第4楽章に変奏曲を配置するのは交響曲としては異例である。また第1楽章は、展開部の中に新たな主題 (6:11) が登場する充実したもので、極めて画期的である。 管弦楽法では、管楽器の表現の可能性を拡張しており、特にホルンには、和音を補強する役割に加えて、旋律を増強する役割を付加している。第3楽章の中間部は3本のホルンによる演奏が行われる (33:57)。さらに、第1楽章における不協和音の使用 (6:06)、ホルンの持ち替え(《交響曲第2番》で実践済み) (8:51)、チェロとコントラバスの分離など、新しい管弦楽法が随所に盛り込まれている。