全社、米朝首脳会談、一本ものでしょう。
歴史的な社説です。
朝日新聞
・ 初の米朝首脳会談 非核化への重大な責任
読売新聞
・ 米朝首脳会談 北の核放棄実現へ交渉続けよ
毎日新聞
・ 史上初の米朝首脳会談 後戻りさせない転換点に
日本経済新聞
・ 米朝が真に新たな歴史を刻むには
産経新聞
・ 米朝首脳会談 不完全な合意を危惧する 真の核放棄につながるのか
中日新聞
・ 非核化の意思を現実に 米朝首脳会談
※ 予想通り、全社が米朝首脳会談の一本ものです。
朝日です。
「朝鮮戦争が休戦状態になってから65年。敵国同士だった米国と北朝鮮の首脳が初めて会い、握手を交わした。
その歴史的な進展に世界が注目したのは当然だったが、2人が交わした合意は画期的と言うには程遠い薄弱な内容だった。
最大の焦点である非核化問題について、具体的な範囲も、工程も、時期もない。一方の北朝鮮は、体制の保証という念願の一筆を米大統領から得た。
公表されていない別の合意があるのかは不明だ。署名された共同声明をみる限りでは、米国が会談を急ぐ必要があったのか大いに疑問が残る。
だが拙速だったとしても、2人が踏み出した一歩の意味は重い。日本を含む北東アジア地域の未来も左右する米朝の新たな関係を誓い合ったのだ。」
読売です。
「◆合意は具体性に欠ける
トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談がシンガポールで行われた。両首脳は共同声明に署名し、新たな関係をアピールした。
最大の焦点の核問題について、声明は、「朝鮮半島の完全な非核化」に取り組むという金委員長の意思の確認にとどまった。
非核化の時期や具体策は示されていない。米国が求める「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」への道筋は描かれなかった。
首脳会談でも抽象的な合意しか生み出せなかったのは残念だ。
北朝鮮がこれまでにとった措置は核実験の中止と核実験場の爆破だけだ。金委員長が核を手放す決断を下したかどうかは、不透明だと言わざるを得ない。
「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」の実現には、北朝鮮が核兵器や核物質、関連施設を申告した上で、廃棄や国外搬出を進めることが不可欠だ。国際原子力機関(IAEA)などによる検証・査察体制も整える必要がある。
こうした作業をどのような手順で、いつまでに完了させるのか。一連の措置の要領と期限を明記した工程表の作成が欠かせない。
北朝鮮の弾道ミサイル問題が声明に盛り込まれていないのも不十分だ。金委員長は、ミサイルのエンジン試験施設の閉鎖に言及したが、全ての弾道ミサイルの廃棄を迫らねばならない。
トランプ氏は記者会見で「プロセスの始まり」を強調した。合意を肉付けする作業は、ポンペオ国務長官と北朝鮮高官による今後の交渉に委ねられた。トップ交渉で一気に事態を打開するのには時間が足りなかったのだろう。
突破力に頼るトランプ外交には不安が残る。北朝鮮との交渉経験を持つ専門家を政権に集め、日本や韓国、中国とも連携して明確な戦略を打ち立てるべきだ。」
毎日です。
「まさしく歴史的な瞬間だった。
シンガポールでトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が固い握手を交わした。やや硬い表情の金氏の緊張をほぐすように、トランプ氏が彼の右腕を軽くたたく。
映画でも見るような光景である。
朝鮮戦争(1950~53年)以来、65年も対立してきた両国の史上初の首脳会談だ。数カ月前までは戦争の瀬戸際とも言われた米朝の「雪解け」は前向きにとらえたい。
両国の共同声明には「新たな米朝関係」など4項目がうたわれた。米国が北朝鮮に安全上の保証(体制保証)を与え、北朝鮮が朝鮮半島の完全な非核化への「揺るがぬ関与」を確約することが合意の柱である。」
日経です。
「拉致解決は日朝首脳で
歴史的な米朝首脳会談の開催を受け、もともと北朝鮮に融和的な中国やロシア、韓国が実質的な経済制裁緩和に動く恐れがある。国際社会は完全な核放棄を北朝鮮に促すべく、今後も結束して強い制裁圧力を堅持すべきだろう。
トランプ氏は安倍晋三首相の要請で、会談では日本人拉致被害者の問題も提起したと表明した。ただし拉致問題は最終的には、当事者である日朝の首脳が直接会って解決していくしかない。
首相は先のワシントンでの日米首脳会談時に、日朝首脳会談への意欲を示した。もちろん、全被害者の早期帰国を促すべくあらゆる努力を傾けるべきだが、北朝鮮は原則として「拉致問題は解決済み」との立場を崩していない。日本側が闇雲に対話を求めても足元をみられるだけだ。
米朝間の交渉が進めばいずれ、北朝鮮への経済支援が焦点に浮上する。日朝間には「過去の清算」の問題も横たわっており、経済支援は日本の数少ないカードだ。政府は拉致、核、ミサイルの包括的な解決をめざす立場を堅持しつつ、早晩めぐってくる機会を逃さずに最大限生かすべきだ。」
産経です。
「共同声明にCVIDの言葉が入らなかった点について、トランプ氏は「時間がなかった」と言い訳した。交渉能力を疑われよう。
むろん、会談の実現を含め、両氏が対話できる関係を構築したのは画期的だ。困難な核問題を1回の会談で解決するのも難しい。
真の核放棄に向けた作業は粘り強く継続しなければならない。まずは、双方が約束した国務長官らによる協議を早急に開くことが重要である。
安倍晋三首相は、米朝会談について「北朝鮮の諸懸案を包括的に解決する一歩となるもので、支持する」と述べた。だが、北朝鮮自らの非核化が明確になっていない点で、日本として満足することはできないのである。」
中日です。
「今後の見通しは不透明
トランプ氏も不十分さを実感していたに違いない。
「この文書には盛り込まれていないことがある」と強調し、正恩氏がミサイルエンジン実験場の閉鎖を約束したと語った。
またトランプ氏は、正恩氏が非核化のプロセスに「早期に着手するだろう」と述べたものの、今後順調に進むか不透明だ。
長く険しい対立を、一回の会談で解消することは難しいに違いない。トランプ氏も、会談の成果は「一定の信頼醸成だった」と説明したほどだ。
とはいえ、正恩氏が核放棄にどこまで本気なのか、今回も十分確認できなかったのは残念だ。
首脳会談直前まで、事務方同士が調整を進めた。正恩氏は、北朝鮮に理解を示す中国を後ろ盾に、段階的に核放棄する従来の姿勢を譲らなかったようだ。
正恩氏は、「北朝鮮に対する敵視政策と脅威がなくなれば、核を持つ必要はなくなる」と非核化への決意を表明、経済発展に専念する考えを強調してきた。
正恩氏が本当に国内経済を発展させたいのなら、核やミサイルを使った駆け引きを、これ以上続けるべきではない。非核化に向けて動きだす時に来ている。
今回の会談では、朝鮮戦争を終わらせるための「終戦宣言」も、大きなテーマとなった。
「終戦宣言」は正式な終戦に先立ち、戦争を終える意思を確認し合うことだ。
北朝鮮を安心させ、核放棄に応じさせるための「政治的メッセージ」だが、これも見送られた。
代わりに合意文書の中では、「北朝鮮に安全の保証を与える」「米朝両国は、朝鮮半島に恒久的で安定した体制を築くことに努力」などの表現が盛り込まれた。
完全な核放棄の実現前に、体制の保証を与えることを約束するものであり、北朝鮮にとって満足できる内容になったのではないか。
朝鮮戦争の終戦は一刻も早く実現すべきだが、非核化の具体性が先行して示されるべきであることを忘れてはならない。
正式な終戦には、北朝鮮と米中、そして韓国が加わった四者による平和協定の締結が必要になる。さらに将来的には、在韓米軍の見直しにもつながるだろう。」
歴史的な社説です。
朝日新聞
・ 初の米朝首脳会談 非核化への重大な責任
読売新聞
・ 米朝首脳会談 北の核放棄実現へ交渉続けよ
毎日新聞
・ 史上初の米朝首脳会談 後戻りさせない転換点に
日本経済新聞
・ 米朝が真に新たな歴史を刻むには
産経新聞
・ 米朝首脳会談 不完全な合意を危惧する 真の核放棄につながるのか
中日新聞
・ 非核化の意思を現実に 米朝首脳会談
※ 予想通り、全社が米朝首脳会談の一本ものです。
朝日です。
「朝鮮戦争が休戦状態になってから65年。敵国同士だった米国と北朝鮮の首脳が初めて会い、握手を交わした。
その歴史的な進展に世界が注目したのは当然だったが、2人が交わした合意は画期的と言うには程遠い薄弱な内容だった。
最大の焦点である非核化問題について、具体的な範囲も、工程も、時期もない。一方の北朝鮮は、体制の保証という念願の一筆を米大統領から得た。
公表されていない別の合意があるのかは不明だ。署名された共同声明をみる限りでは、米国が会談を急ぐ必要があったのか大いに疑問が残る。
だが拙速だったとしても、2人が踏み出した一歩の意味は重い。日本を含む北東アジア地域の未来も左右する米朝の新たな関係を誓い合ったのだ。」
読売です。
「◆合意は具体性に欠ける
トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談がシンガポールで行われた。両首脳は共同声明に署名し、新たな関係をアピールした。
最大の焦点の核問題について、声明は、「朝鮮半島の完全な非核化」に取り組むという金委員長の意思の確認にとどまった。
非核化の時期や具体策は示されていない。米国が求める「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」への道筋は描かれなかった。
首脳会談でも抽象的な合意しか生み出せなかったのは残念だ。
北朝鮮がこれまでにとった措置は核実験の中止と核実験場の爆破だけだ。金委員長が核を手放す決断を下したかどうかは、不透明だと言わざるを得ない。
「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」の実現には、北朝鮮が核兵器や核物質、関連施設を申告した上で、廃棄や国外搬出を進めることが不可欠だ。国際原子力機関(IAEA)などによる検証・査察体制も整える必要がある。
こうした作業をどのような手順で、いつまでに完了させるのか。一連の措置の要領と期限を明記した工程表の作成が欠かせない。
北朝鮮の弾道ミサイル問題が声明に盛り込まれていないのも不十分だ。金委員長は、ミサイルのエンジン試験施設の閉鎖に言及したが、全ての弾道ミサイルの廃棄を迫らねばならない。
トランプ氏は記者会見で「プロセスの始まり」を強調した。合意を肉付けする作業は、ポンペオ国務長官と北朝鮮高官による今後の交渉に委ねられた。トップ交渉で一気に事態を打開するのには時間が足りなかったのだろう。
突破力に頼るトランプ外交には不安が残る。北朝鮮との交渉経験を持つ専門家を政権に集め、日本や韓国、中国とも連携して明確な戦略を打ち立てるべきだ。」
毎日です。
「まさしく歴史的な瞬間だった。
シンガポールでトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が固い握手を交わした。やや硬い表情の金氏の緊張をほぐすように、トランプ氏が彼の右腕を軽くたたく。
映画でも見るような光景である。
朝鮮戦争(1950~53年)以来、65年も対立してきた両国の史上初の首脳会談だ。数カ月前までは戦争の瀬戸際とも言われた米朝の「雪解け」は前向きにとらえたい。
両国の共同声明には「新たな米朝関係」など4項目がうたわれた。米国が北朝鮮に安全上の保証(体制保証)を与え、北朝鮮が朝鮮半島の完全な非核化への「揺るがぬ関与」を確約することが合意の柱である。」
日経です。
「拉致解決は日朝首脳で
歴史的な米朝首脳会談の開催を受け、もともと北朝鮮に融和的な中国やロシア、韓国が実質的な経済制裁緩和に動く恐れがある。国際社会は完全な核放棄を北朝鮮に促すべく、今後も結束して強い制裁圧力を堅持すべきだろう。
トランプ氏は安倍晋三首相の要請で、会談では日本人拉致被害者の問題も提起したと表明した。ただし拉致問題は最終的には、当事者である日朝の首脳が直接会って解決していくしかない。
首相は先のワシントンでの日米首脳会談時に、日朝首脳会談への意欲を示した。もちろん、全被害者の早期帰国を促すべくあらゆる努力を傾けるべきだが、北朝鮮は原則として「拉致問題は解決済み」との立場を崩していない。日本側が闇雲に対話を求めても足元をみられるだけだ。
米朝間の交渉が進めばいずれ、北朝鮮への経済支援が焦点に浮上する。日朝間には「過去の清算」の問題も横たわっており、経済支援は日本の数少ないカードだ。政府は拉致、核、ミサイルの包括的な解決をめざす立場を堅持しつつ、早晩めぐってくる機会を逃さずに最大限生かすべきだ。」
産経です。
「共同声明にCVIDの言葉が入らなかった点について、トランプ氏は「時間がなかった」と言い訳した。交渉能力を疑われよう。
むろん、会談の実現を含め、両氏が対話できる関係を構築したのは画期的だ。困難な核問題を1回の会談で解決するのも難しい。
真の核放棄に向けた作業は粘り強く継続しなければならない。まずは、双方が約束した国務長官らによる協議を早急に開くことが重要である。
安倍晋三首相は、米朝会談について「北朝鮮の諸懸案を包括的に解決する一歩となるもので、支持する」と述べた。だが、北朝鮮自らの非核化が明確になっていない点で、日本として満足することはできないのである。」
中日です。
「今後の見通しは不透明
トランプ氏も不十分さを実感していたに違いない。
「この文書には盛り込まれていないことがある」と強調し、正恩氏がミサイルエンジン実験場の閉鎖を約束したと語った。
またトランプ氏は、正恩氏が非核化のプロセスに「早期に着手するだろう」と述べたものの、今後順調に進むか不透明だ。
長く険しい対立を、一回の会談で解消することは難しいに違いない。トランプ氏も、会談の成果は「一定の信頼醸成だった」と説明したほどだ。
とはいえ、正恩氏が核放棄にどこまで本気なのか、今回も十分確認できなかったのは残念だ。
首脳会談直前まで、事務方同士が調整を進めた。正恩氏は、北朝鮮に理解を示す中国を後ろ盾に、段階的に核放棄する従来の姿勢を譲らなかったようだ。
正恩氏は、「北朝鮮に対する敵視政策と脅威がなくなれば、核を持つ必要はなくなる」と非核化への決意を表明、経済発展に専念する考えを強調してきた。
正恩氏が本当に国内経済を発展させたいのなら、核やミサイルを使った駆け引きを、これ以上続けるべきではない。非核化に向けて動きだす時に来ている。
今回の会談では、朝鮮戦争を終わらせるための「終戦宣言」も、大きなテーマとなった。
「終戦宣言」は正式な終戦に先立ち、戦争を終える意思を確認し合うことだ。
北朝鮮を安心させ、核放棄に応じさせるための「政治的メッセージ」だが、これも見送られた。
代わりに合意文書の中では、「北朝鮮に安全の保証を与える」「米朝両国は、朝鮮半島に恒久的で安定した体制を築くことに努力」などの表現が盛り込まれた。
完全な核放棄の実現前に、体制の保証を与えることを約束するものであり、北朝鮮にとって満足できる内容になったのではないか。
朝鮮戦争の終戦は一刻も早く実現すべきだが、非核化の具体性が先行して示されるべきであることを忘れてはならない。
正式な終戦には、北朝鮮と米中、そして韓国が加わった四者による平和協定の締結が必要になる。さらに将来的には、在韓米軍の見直しにもつながるだろう。」