小学館ウィーンフィル魅惑の名曲 vol.23ヤナーチェク シンフォニエッタを聴き直しました。
ヤナーチェクのシンフォニエッタは、個人的に思い出深い曲です。
ある学校が吹奏楽コンクールの全国大会で演奏し、「これだ!」と思って、すぐにその学校に連絡を取り、楽譜を取り寄せた曲だからです。
吹奏楽コンクールの自由曲はどうやって決めるかって?
中学生の吹奏楽部は、その時々のメンバーによって毎年音が変わります。
その個性が、最も浮き出る曲を探すのです。
その年は、上手いトランペットが3本そろい、フルートのソロで聴かせられる子がいたので、この曲を選んだのですが・・・・。
ヤナーチェクはチェコを代表する作曲家の一人です。
チェコといえば、ドボルザークやスメタナでは?
そう、彼らは西部ボヘミア。
ヤナーチェクは、東部モラヴィアの出身。
実は、ボヘミアの民俗音楽は西洋的、モラヴィアは東洋的な色彩がします。
ある面では、文化的にアジアとヨーロッパの境になっているのです。
それだけに、音楽は唯一無二。
誰にも似ていません。
部分的には、ハンガリーの作曲家・コダーイに似た部分も感じます。
フランスのエリック・サティが個性的なのとは違った個性です。
指揮は、ヤナーチェクを広めたチャールズ・マッケラス。
ところで、村上春樹の大ベストセラー「1Q84」のオープニングには、タクシーの車内でヤナーチェクの『シンフォニエッタ』を聴くという設定です。
『シンフォニエッタ』は、その後も繰り返し現れます。
女性主人公「青豆」がジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏によるレコードを聴けば、男性主人公「天吾」が小澤征爾指揮シカゴ交響楽団のレコードをかけるシーンもあります。
通ならば、マッケラス指揮を使ったのに・・・
長大な作品を貫く重要な音楽的要素として、大きな存在感を示します。
目次です。
1 連載エッセイ
ウィーン・フィルをめぐる断章-岡田暁生
vol.23 ウィーン・フィルはいつできたのか(上)
2 連載コラム
マエストロの横顔-諸石幸生
サー・チャールズ・マッケラス チェコ音楽の第一人者
3 音楽エッセイ
ウィーン・フィル 音の小宇宙-木幡一誠
第6回 ウィーン・フィルの響きの秘密
4 基礎から学ぶクラシック講座
作曲家の肖像-ひの まどか
ヤナーチェク
5 基礎から学ぶクラシック講座
曲の情景-ひの まどか
華やかで個性あふれるファンファーレ
6 名曲をより楽しく聴くためのキーワード
付録CD
狂詩曲《タラス・ブーリバ》
《シンフォニエッタ》