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ヒルティ|幸福論 紹介

2021-07-30 06:10:15 | 哲学の窓

哲学チャンネルより ヒルティ|幸福論 紹介を紹介します。

ここから https://www.youtube.com/watch?v=gkROHk_93kQ

とっつきづらい哲学や心理学の内容を、出来るだけわかりやすく完結に お伝えすることを目的としたチャンネルです。 
 
※関連した過去動画 幸福論|ラッセル 紹介 https://youtu.be/ZKdqvqWAsvU 【4分で解説】幸福論|アラン著 要約というより読むべき理由について https://youtu.be/zVo7MarWwsk ※書籍 幸福論 (第1部) https://amzn.to/3n8otCV
 
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まずは著者の紹介です。 カール・ヒルティはスイスの法学者、政治家、文筆家です。 1833年にスイスのザンクト・ガレンに生まれ、 州立のギナジウム(日本でいう中高一貫校)で法学と宗教を学びます。 敬虔なクリスチャンとして有名な彼ですが、 当時の形式的な宗教教育にはあまり興味を示さず、 ひたすら古典を読みあさっていたと言われています。 1851年にドイツのゲッティンゲン大学に進学すると そこで法律や哲学、歴史について学び その後、ハイデルベルグ大学に移り、法学に専念します。 1855年には地元に戻り、弁護士として開業。 18年間の弁護士生活は、立場が弱い依頼者には無報酬で仕事を受けたり 不正な事件には一切関わらなかったりと、 非常に正義感の強い働きだったといわれています。 開業の2年後にはヨハンナ・ゲルトナーと結婚。 彼は妻について 『もし来世があるなら、無条件に、心から再会したいと思うものは、ただ自分の妻一人である』 と語っています。 1890年には代議士となり、そこから1909年に心臓麻痺で亡くなるまで 政治家、文筆家としての人生を送りました。 ヒルティは非常に熱心な読書家として知られています。 その中でも、ストア派の哲学者である、エピクテトス、マルクス・アウレリウスをよく読んだとされています。 また、ラッセルの幸福論にはゲーテからの引用が多く見られましたが ヒルティはゲーテではなくダンテを愛読していて、 彼の著作の中ではダンテからの引用が多く見られます。 幸福論は、ヒルティが寄稿した数々の論文をまとめた書籍です。 そのため、体系的に構成されたものではなく、 アランの幸福論のように、カテゴリーごとにひとまとまりの論文が散りばめられている形をとっています。 ヒルティの幸福論を他の2人のものと比べると 『現実的で厳しい内容』 と言うことができるでしょう。 彼はストア哲学とキリスト教の見地から、 幸福に生きるためには【道徳】【教養】【愛】【健康】を身につけ、 【欲望】【嫌悪】【怒り】を上手に制御し、 【病気】【死】【貧困】などの抗えないものに関しては 受け入れることが必要だと説きます。 その上で、やりがいのある仕事に没頭しなければ、 真の幸せは訪れない。と考えるんですね。 フワッとした理想論ではなく、 現実に根差したどこまでも実践的な内容ですので、 見る人にとっては身が切られるような気分を味わう可能性もあります。 特に仕事に関してはかなり明確な指標を設けています。 人間の本性は働くことにあると断言し、 成果物が目に見える仕事を良しとし、 週に6日は働かないといけない。とまで言うんですね。 その上で、仕事に集中する方法や、 仕事にやりがいを見つける方法など、 具体的な実践についても数多く言及されています。 これらをまとめて 『人間の幸福の最大部分は、絶えず続けられる仕事と、そこから生まれる喜びや、やりがいである。』 と表現しています。 ヒルティの幸福論はしばしば、キリスト教の知識がないと読めない。と評されます。 確かに、キリスト教への理解が深ければ深いほど、 彼の主張をより確実に受け取ることができるでしょう。 しかし、彼はキリスト教を信仰していると同時に、 キリスト教徒に関しては厳しい目を向けていました。 例えば先ほどの仕事の件で触れたように、 『人間は仕事を生きがいにしなければならない』 という教えは、旧約聖書にも明記されていることなのです。 しかし、当時のキリスト教徒の富裕層は、 その教えに背いて、仕事を放棄しようとしている。 と本書の中で何度も嘆いています。 そういう意味では、キリスト教の膨大な歴史ではなく、 あくまでも聖書を中心にした思想を展開していると言えるので そこまで分かりづらい内容ではないと感じます。 とはいえ、宗教色の強い書籍であることには間違いがありません。 人を選ぶ本と評されるのも分かります。 そこで、批判を恐れずに本書の読み方をガイドするのであれば、 まずは一巻だけ買って読んでみてください。 全三巻のうち、特に一巻の前半はストア哲学を中心にした構成になっています。 仕事術などへの具体的な言及も一巻前半に纏まっています。 この部分については多くの人が『面白い』と感じるはずです。 ここだけでも読んでみて欲しいなと強く思います。 そして、一巻の後半に入ると、いよいよ宗教色が強まります。 後半部分も前半と同じように楽しめた場合は、 二巻三巻と読み進めると良いです。 そうでもなかった場合は、そこで読むのを辞めてしまっても良いと思います。 多方から怒られそうな読み方ですが、 個人的にはオススメの向き合い方です。 本書は 『仕事を中心に人生を幸福なものにしていきたい方』 『周りの影響を受けすぎることで不幸を感じることが多く、  それを改善したいと思っている方』 『幸せになるために何が必要か?それを今も探し求めている方』 などにオススメできる非常に素晴らしい本です。 教養としても三大幸福論には触れておいた方が良いでしょうし、 ぜひ興味があれば手にとって味わってみてください。
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