ブラームス:交響曲第4番ホ短調 作品98 (スコア付き)
ヨハネス・ブラームス: 交響曲第4番ホ短調 作品98 (スコア付き) 作曲年代:1884年夏~1885年8月
指揮:サイモン・ラトル
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
00:00 第1楽章 Allegro non troppo (ホ短調) 13:23 第2楽章 Andante moderato (ホ長調) 25:37 第3楽章 Allegro giocoso (ハ長調) 32:04 第4楽章 Allegro energico e passionato (ホ短調)
《交響曲第4番ホ短調 作品98》は1884年夏から翌1885年8月にかけて作曲された。初演は1885年10月25日、マイニンゲンにおいて作曲家自身の指揮するマイニンゲン宮廷管弦楽団の演奏で行われ、大成功を収めた。出版はベルリンのジムロック社により1886年10月に行われた。 ブラームスは交響曲第5番として構想していた音楽を《ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 作品107》としたため、結果的にこの作品が生涯最後の交響曲となった。 第2楽章でのフリギア旋法や、第4楽章でのシャコンヌ(バロック時代の変奏曲形式)が用いられている点から擬古的な印象を与える作品であるが、詳細に分析すると20世紀の新しい音楽に通じる要素が多く含まれていることがわかる。例えば、第1楽章冒頭の主題は単なる3度音列であり、極めて人工的な主題であることがわかる。この技法は20世紀にシェーンベルクが確立した「12音技法」に通じるもので、先進的である。
第4楽章では、バッハの《カンタータ第150番「主よ、我が魂は汝を求め」 BWV150》の終楽章のバス主題に、1音追加したものをシャコンヌ主題として取り入れている。「シャコンヌ」という形式は、同じ旋律を繰り返し続けるバスの上で、上奏部を変奏していく形式であるが、ブラームスはシャコンヌ主題をソプラノ旋律としても用いたことが先進的である。30回の変奏とコーダ(Più allegro以降)とされる場合もあるが、コーダも広義の変奏と捉え、36回の変奏とされる場合もある。 楽器編成上の特徴として、ブラームスの交響曲で唯一ピッコロ、トライアングルが用いられていることが挙げられる(第3楽章のみ)。トロンボーンは第4楽章のみで《交響曲第1番ハ短調 作品68》と同様である。第3・4楽章でティンパニが3台必要である点や、ヴァルブ付きホルンを前提としている点は、第4番のみの特徴である。