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平成28年度 国際的な視点から見た日本の教育に関する調査研究

2017-06-02 05:32:05 | 教育関連情報
平成28年度 国際的な視点から見た日本の教育に関する調査研究を紹介します。

ベネッセがまとめたこの報告書は、
平成30年度から開始する第3期教育振興基本計画(以下「第3期計画」という。) の策定に向けた検討に資することを目的として、各教育段階を横断するテーマについて、国際的な視点 から見た我が国の教育の「強み」と「弱み」について調査・分析するものである。 とされています。

日本の教育を客観的に分析しようとする姿勢が見られます。

内容はここから
 http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/chousa/__icsFiles/afieldfile/2017/06/01/1386243_1.pdf

第2章以降の目次です。



結論を抜粋します。
第8章. 結論

216. このレポートでは、日本の教育システムの概要と、その強みと弱みについて述べてきた。

217. 日本の教育システムは、PISA 等の国際調査に見られるように高い学力を子供たちにつけさせるこ とに成功している。また日本の学校・教員は教科の指導だけでない全人的な教育を行うことで、「生き る力」を子供たちにつけさせようとしており、これは世界的に高く評価されている。また、日本の教育 改革の方向性は、OECD Education 2030の目指す方向性と一致しており、実践を重視する日本の教育政策 は OECD Education 2030にも影響を与えている。

218. 一方で、日本が今後もこのような高い教育成果を出し続けていくためには、以下の課題に取り組ん でいく必要がある。

219. まず、日本の就学前教育に対する公財政支出割合は、国際的に見て極めて低いという問題点が挙げ られる。子育てや教育にお金がかかりすぎるということが、理想の子ども数を持たない理由の第 1 位で あるというデータもあり、教育費の公財政支出割合を高めることが、教育政策としてのみならず少子化 対策としても重要になってくる。

220. また、急速な経済社会の変化に応じて、職業の在り方が様変わりしている。生涯を通して社会で活 躍していくためには、社会に出た後も学び続け、新たに必要とされる知識や技術を身に付けていくこと が求められている。大学等では、社会人が学びやすい環境の整備を行ってきたが、大学、大学院の正規 課程への社会人入学者数は、国際的に見て低い状態が続いており、社会人が学びやすい環境をさらに整 備していくことが求められている。

221. 次に、社会全体の急速な変化が学校にも影響を及ぼし、学校の抱える課題も複雑化・困難化してき ていることが挙げられる。例えば、特別支援教育の対象となる児童生徒数や日本語指導が必要な外国人 児童生徒数等の数が増加していることや、日本の子供の貧困率が年々悪化していること、いじめ、児童 生徒の暴力行為、不登校、児童虐待など、児童生徒を取り巻く諸課題が複雑化・多様化していることな どである。

222. また、これらの諸課題にまず対処すべき教員が、現状でも極めて多忙であるということが挙げられ る。日本の教員は諸外国の教員と比べ、部活動や事務業務に多くの時間を割いている。授業以外の時間 でも生徒と関わりを持つことで、日本の教育の強みである全人的な教育が実践されているが、今後前述 したような学校の課題が複雑化・困難化していく状況では、現状のままの指導体制で、これまで同様の 効果を上げていくことは困難になっている。

223. このような状況の中、中央教育審議会は「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」 「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い、高め合う教員育成コミュニテ ィの構築に向けて」「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と 今後の推進方策について」といった各答申において、上記のような課題への対応策を提言している。具 体的には、必要な教職員定数の拡充や、教職員と心理や福祉等の専門スタッフの配置の充実、学校のマ ネジメント機能の強化といった「チーム学校」の実現に必要な体制の整備や、教員育成指標や教員研修計画の策定及び教育委員会と大学等が連携して行う協議会の整備等による校長及び教員の資質の向上を 図るための新たな体制の構築、コミュニティ・スクールと地域学校協働本部による学校と地域との連 携・協働体制の確立などである。これらの政策を実現させることで、上述した課題を解決し、日本の優 れた教育を持続・発展させることが期待される。



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