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10月13日は新聞休刊日

2015-10-13 05:34:55 | 社説を読む
今日は新聞休刊日なので、昨日のコラムを見てみましょう。

朝日新聞
・ 近代以前のヨーロッパには、本を鎖で机などにつないでおく図書館があった。羊皮紙に書かれた手書きの写本は極めて高価だった。それに手を出す泥棒が図書館には悩みのタネだったのだそうだ

▼『世界の図書館 美しい知の遺産』で知った。古代メソポタミアから現代日本まで、図書館の壮大な歴史が多数の写真とともに語られるログイン前の続き。読んで、見て、退屈することがない。「とどのつまり、図書館とは想像力の場所である」という言葉が印象的だ

▼そうした場所で、想像力の欠如が疑われる事態が続いている。神奈川県の海老名市立中央図書館の蔵書に、海外の風俗店案内が含まれていることが発覚。佐賀県の武雄市図書館では、10年以上も前に出版された埼玉のラーメン店ガイドといった意味不明の蔵書が批判された

▼これでは鎖につながなくても誰も手は出すまい。どうしたのか。二つの公立図書館は、レンタルのツタヤを展開する会社と組んで運営している。ツタヤ側は武雄市での本選びの「精度」に「反省」を表明した

▼民間の力を借りて図書館を変え、地域の活性化につなげる。狙いはよくても公共財がずさんに扱われるのは困る。愛知県小牧市は新たに建てる図書館でツタヤ側と組む計画だったが、4日の住民投票で「ノー」を突きつけられた。図書館とは何か。改めて考える機会である

▼ちなみに『世界の図書館』は値が張る。関心を持たれた方はお近くの図書館へ。検索してみると、武雄と小牧の図書館は所蔵していた。
 
毎日新聞
・ 10月上旬のノーベル賞週間。今年は医学生理学賞、物理学賞と日本人が連続受賞して大いに盛り上がったが、お隣の中国も初の自然科学部門の受賞に沸いている。マラリア治療薬に関する研究で医学生理学賞を受賞した女性科学者の屠※※(と・ゆうゆう)さん(84)だ

▲日本ではめったに目にしない字にどんな意味かと思った方も多いだろう。※※とはシカの鳴き声。中国最古の詩集「詩経(しきょう)」の「鹿鳴(ろくめい)」という詩に登場する。明治期に外国人をもてなした「鹿鳴館」の由来でもある。「※※と鹿鳴き、野(や)の蒿(こう)を食(は)む」という一節から父親が名づけたという

▲中国では、2000年以上前の詩経の記述と屠氏の業績との不思議な因縁が話題だ。シカが食べた蒿はヨモギの一種。屠氏が発見した抗マラリア剤の成分である「アルテミシニン」(中国名・青蒿素(せいこうそ))もまた、ヨモギ属の植物から抽出された

▲屠氏は漢方を「偉大な宝庫」と呼ぶ。1960年代後半、マラリア治療の国家プロジェクトに参加。漢方薬に使われる植物などをリストアップして実験を重ね、1600年前の古書の記載から世紀の発見にたどりついた

▲その屠氏も2011年にノーベル賞の登竜門といわれるラスカー賞を受賞するまではほとんど無名だった。博士号もなく、中国科学界の最高権威である「院士」にも選ばれていない

▲屠氏の業績が正当に評価されてこなかったことに中国国内では「集団主義の弊害」「科学的価値より人間関係を重視する慣行のせい」などと議論が巻き起こっている。ノーベル賞受賞が改革の必要性を認識させたとすれば、これも屠氏の大きな業績になるかもしれない。

※は口ヘンに幼

日本経済新聞
・ 黒沢明監督の映画「デルス・ウザーラ」には日本人が1人も登場しない。旧ソ連での製作で1975年に公開された。沿海州の大自然を舞台に、帝政末期、地理の調査に来た兵士と地元の猟師の交流の深まりを描く。巨匠は71年に自殺未遂を図り、復活が待たれていた。

▼ロケは赤軍も含め現地スタッフ200人がかり。日本人は60歳を超えた監督に、カメラマンや記録係ら6人だけだ。言葉もおぼつかない。しかし、撮影用に虎を捕らえ、東京・浅草橋の問屋から「紅葉」を運び秋を演出するうち、クロサワ組は結束、別れの宴席で「日本でいじめられたら、また戻って」と言われたという。

▼いま、世界中がロシアの行動に振り回され気味である。ウクライナ東部では親ロ派が実効支配を続け、「イスラム国」(IS)掃討を目的にかかげたシリアでの空爆は返す刀で反体制派を攻撃し、カスピ海艦隊はミサイルも放った。日ロの協議では北方領土問題の進展の気配はなくプーチン大統領の来日は不透明なままだ。

▼我らが誇る文学「白痴」や「どん底」を完璧に映画化した――。ロシア人スタッフにはクロサワへのそんな尊敬の念があったという。監督も、この現場からの船員帽姿を終生続けた。互いの文化や力量を認め合い、厳しい冷戦下に結実した名作。実利や力関係にこだわり過ぎた共同作業に、信頼は生まれないと教えている。

産経新聞
・ うかつにも、なくなっていると思い込んでいた。中国の大学教授らが選考する「孔子平和賞」である。2010年、中国の民主活動家、劉暁波氏が受賞したノーベル平和賞に対抗して、急遽(きゅうきょ)設立されたものだ。

 ▼1回目の受賞者は、台湾の連戦元副総統だった。あまりの唐突さに、連戦氏は授賞式の出席を拒否する。国際社会の失笑を買い、中国当局は翌年、賞の中止を発表するが、復活していた。すでに6回目を数え、今年はアフリカ南部ジンバブエのムガベ大統領(91)が受賞した。

 ▼ムガベ氏といえば、1980年の独立時には、ゲリラ闘争を指揮した英雄だった。もっとも、7年後に大統領に就任してからは、自国通貨が紙くずになるハイパーインフレを引き起こすなど失政が続く。野党勢力は武力で弾圧してきた。

 ▼かつて米国の外交誌に掲載された「最悪の独裁者」のランキングでは、北朝鮮の金正日総書記に続いて、2位に入っている。中国はそんなムガベ氏を支え、ジンバブエの保護領化を進めてきた。要するに受賞者は、中国にとってもっとも都合のいい人物といえる。

▼昨年には、日本の鳩山由紀夫元首相が候補に挙がっていたらしい。今年もムガベ氏と最後まで選考委員の得票を争ったのは、村山富市元首相だった。むべなるかな、である。来年は、元朝日新聞記者、本多勝一氏の名前が挙がるかもしれない。

 ▼南京「大虐殺」の虚報が広まるきっかけの一つとなったのが、本多氏が昭和46年に朝日新聞に連載した「中国の旅」だった。今回、ユネスコの記憶遺産に申請していた「南京大虐殺文書」の登録が認められたことで、中国は日本に対する、「歴史戦」の大きな戦果を挙げた。その最大の功労者の一人といえるからだ。
  
中日新聞
・ 第一次世界大戦の最中、砲弾飛び交う欧州の前線で、敵の交信を傍受しようと無線機に耳を傾ける通信兵らは、不思議な音を聞いたという

▼弾が飛んでいるようにも、鳥が鳴いているようにも聞こえる甲高い謎の音は、「夜明けのさえずり」と呼ばれるようになった。その正体が、高度数万キロの宇宙空間で発生する電磁波だと分かったのは、第二次世界大戦後のこと。謎の音は「宇宙のさえずり」という、何とも詩的な名を与えられた

▼いったいなぜ、どんな仕組みで、この現象は起きるのか。それはいまだ解明されぬ謎だが、名古屋大学准教授の三好由純さんらの研究で、このさえずりがオーロラを瞬かせていると分かったそうだ

▼さえずりにもいろいろと型があるらしいが、三好さんに聞かせていただいたそれは、甲高くリズミカルにピピピィッと響き、まさに小鳥の歌そのもの。野鳥の専門家も「春先にメジロのオスがメスに求愛するさえずりに、似ています。とても宇宙からの音とは思えません」と驚くほどだ

▼宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、今回の研究で活躍した衛星「れいめい」に次ぐ新たな探査衛星を二〇一六年度に打ち上げ、さえずり誕生の謎に迫るという

▼オーロラを美しく明滅させる、小鳥の愛の歌にも似た「宇宙のさえずり」。深く青い空の奥に潜む、そんな自然の神秘が解き明かされるのだろうか。

※ おもしろい!

短い中に、内容があり、時にニヤッとさせ、最後にオチがあり。

本質は短く表現されるもの。

そう思っています。

コラムは、文章以上に、考え方の勉強になります。 

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