今日も、日本を見つめる世界の目を紹介します。
【中国】
何と、事故車両を穴を掘って埋めた中国。
生き残ったこの話など、美談が登場しています。
人民日報 http://j.peopledaily.com.cn/home.html
「高速時代」には一層の「安全ベルト」が必要
現代化に伴い発生する「文明の危険性」を、われわれは十分に意識し、十分な対策を講じる必要がある。
23日に温州市で高速列車追突事件が起きると中央と地方の関係部門が救助活動を重視し、鉄道、消防、医療各当局が直ちに救援活動、医療活動、身元確認にあたった。温州市民が自発的に現場で乗客の搬送を手伝い、献血所の前に長い列をつくったことは感動的だった。
高速列車追突事件は多事多難の夏をさらに痛ましいものにした。ずっと安全と思われてきた鉄道の事故は、なおさらに大きな社会的影響をもたらす。
メキシコ湾の原油流出や福島第1原発の放射能漏れ。現代社会は科学技術の発展に伴い密集度や複雑性も増している。技術の先進化に伴い、相互依存や相互影響も深まっている。ささいなミスや細かな手抜かりも危険性を生じ得る。
今日の中国は、なおのこと「危険性のカプセル」の中にある。欧米諸国が数百年かけて歩んだ近代化のプロセスを濃縮した結果、さまざまな危険性も濃縮された。都市化、工業化、情報化、近代化は人々に多くの「文明の成果」をもたらすが、それに伴い生じる「文明の危険性」も避けがたい。したがってわれわれは危険性を十分に意識し、十分な対策を講じて、急速な発展の時代に頑丈な「安全ベルト」を締める必要がある。
鉄道を例に取ろう。長年の努力を経て、中国の鉄道は「高速時代」に入ったと言える。高速鉄道は総延長や時速で世界一に達した。こうした速度は必要なものだが、速度が速まり、ダイヤが密になり、路線が増えるに伴い、より精確な管理ノウハウやより厳格な安全意識が必要になることにも目を向ける必要がある。これは鉄道の鉄則であり、発展の生命線でもある。管理、制度、責任の安全ベルトがあって初めて、列車の確実な運行は「一番」の名に恥じないものとなる。
「ハインリッヒの法則」によると、1つの重大事故の背後には数十回、下手すると100回もの軽微な事故や未遂事故がある。運行システムに違いはあるが、北京・上海高速鉄道にも「小さな異常」が数多く生じ、様々な問題が明らかとなっている。事態を十分に重視すれば事故は避けられるかもしれない。張徳江副総理は事故後直ちに現場入りし「事故についてしっかりと調べ、社会に説明しなければならない」と強調。「事故から教訓を汲み取り、原因を究明し、厳しく責任を追及し、問題点を正し、しっかりと補償して初めて、死傷者に対する責任を果たし、公共安全の責任を果たしたことになる」との中央の断固たる姿勢を表明した。
事故後も列車の本数は増え、総延長も延びる。今回の事故によって高速鉄道の推進方針が変わることはない。だが事故への対処を総括した後、強い安全意識をより厳しく追求することが不可欠だ。管理当局が痛みを教訓として刻む責任感と薄氷を踏む使命感によって安全対策を強化し、全ての乗客が望み通りに目的地へ到着できるようにすることをただ願う。複雑な環境の中を急ぎ足で前進する中国の高速鉄道がより慎重に、より安全に人々を未来へと導くことをただ願う。(編集NA)
高速列車追突事故 乗客やボランティアが語る現場の様子
甬温線(浙江省寧波市--温州市)で23日、深刻な高速列車事故が発生した。事故当時、乗客や事故現場の付近にいた人々はどのような状況だったのだろう?温州中西医結合医院において24日、事故のけが人や救助にあたったボランティアに取材を行った。
▽乗客の梅小向氏??車両の中で転げまわる
江蘇省出身の梅小向さん(24)は、高架橋から落下したD301号高速列車の2両目に乗っていた。同氏は車両が落下した時の様子を次のように語った。
「列車が追突した瞬間座席から転げ落ちて、車内を転げまわり、全くどうすることもできなかった。荷物や車内の壁に何度もぶつかった。突然の事故で全く何の反応もできず、頭の中は真っ白だった。気づいたときにはすでに墜落した後だった。車内は停電し、墜落地点は野外だったため、列車の内外は真っ暗で、現場は恐ろしい雰囲気に包まれていた。乗客はガラスをたたいて救助を叫び続けた。その後、消防隊員が駆けつけて救助された」。
同病院の副院長によると、梅小向さんは23日夜に運び込まれたけが人の中では比較的けがの程度が軽いほうであり、現在観察のため入院しているが、まもなく退院が見込まれるという。
▽ボランティアの楊さん??遠く離れた家でも大きな音
事故発生後、大量のボランティアが救援に駆けつけた。温州中西結合医院でけが人の世話を行う楊さんもその一人だ。
楊さんによると、23日夜8時過ぎ、雷が落ちた後に「ドーン」という大きな音が聞こえたという。家にいた楊さんは約10分後、事故現場に駆けつけた。
楊さんが現場に到着した時には救助活動がすでに始まっていたという。「沢山の自家用車やタクシーが自発的にけが人の搬送を行っていました」。事故現場から最も近い康寧医院には多くの重傷者が運び込まれていた。「ある中年の男性は、両足をひどく骨折し、頭部からは大量に出血していました。口がまだ動かせて、意識もあったので、がんばってくださいと声をかけたんです」。
楊さんは各病棟をめぐって何か手伝えることはないかと聞き回っている。「私は成都の人間です。四川大地震が発生した時は実家に帰って手伝うことができなかった。今回は絶対に何かの役に立ちたいんです」。(編集SN)
チャイナネット
http://japanese.china.org.cn/
鉄道部:車両埋立は証拠隠滅ではなく、救援優先
7月23日夜、北京南駅発福州駅行きのd301便と杭州駅発福州南駅行きのd3115便の高速列車が浙江省温州で追突した。写真は現場の様子。
鉄道部は24日夜、浙江省温州で記者会見を行った。王勇平報道官は、事故車両を埋めたことについて、「当時、現場の救援情況は複雑困難で、救護者が列車先頭部分を土に埋めたのは、救援作業の便宜を図るためだった」と答えた。
ネットユーザーから疑問が寄せられている。「なぜ列車を現地で埋めてしまい、運ばないのか。あるいは傍らに退けないのか?証拠を隠すためなのか?」王勇平報道官は、出迎えに来た職員からネットでこのような質問があることを聞き、「このように愚かな問題が起こるのはどうしてなんだ?世の中みんなが知ってる事故を隠蔽できるのか?」と聞き返した。
彼は「隠そうと思っているのではない、実際この事故を隠すことなどできない」と答えた。王勇平報道官は、車両を埋めた原因については以下のように説明を受けているという。「当時の現場の情況は複雑で、足元は泥沼だったため、救援作業が非常に困難をきたし、また他の車両にも処理を行わねばならず、列車先頭部分を土に埋め、救援作業をしやすくした。」
王勇平報道官は、「私が受けた説明はこれだ。あなた方が信じるか否かは自由だが、私自身は信じる。」と述べた。
大紀元
http://www.epochtimes.jp/
「中国軍は電磁波武器を開発」 囚人拷問にも利用か=米軍報告書
中国人民軍が、 対米との台湾をめぐる有事に備えて、強力な電磁波を使用した武器を開発していることが22日、アメリカ国家地上情報センターによる一部の軍事報告書で明らかになった。さらに、人体への影響を測定するために囚人の拷問に使われた可能性も指摘されている。
報告書によると、中国軍の開発する電磁パルス(EMP)と強力マイクロ波(HPM)を使用した電磁波武器は、通信レーダーを含む広範囲内のすべての電子機器を使用不能にし、軍事衛星システムの機能を低下させることが出来るという。これにより軍事力において米軍より劣る中国軍が、台湾有事の際、米軍からの空母や核兵器の攻撃を抑えて米軍を負かすことが可能になる、と報告書は指摘している。
電磁波武器は通常、高度100キロ~数100キロの高層大気圏で使用されるが、電磁波の効果を中国大陸を避けた限定的なものにするため、 台湾周辺の上空30~40メートルという極めて低い高度で爆破し、中国本土における損害を最小限に抑えるという。
この武器の影響は、EMPによる電子機器障害がほとんどのため、大量破壊兵器であると同時に非致死性でもある。この特性を利用して、「強制的な台湾再統一の実行にあたり、犠牲者を最小限に食い止めることで台湾内の憎しみを少なくすることができる」と、中国当局の意図が想定されている。
また中国軍は既に、ねずみやウサギ、犬、猿など動物を使った実験を行い、目や脳、骨髄、臓器に損傷をもたらすことを把握しているとされ、さらに軍の施設内で囚人への拷問に使われた可能性も指摘されている。
実験の目的は、強力なEMPとHPMによる、中国軍の隊員などの人体および所有する武器への影響力を測るためと推測されている。
電磁波武器研究機関である非営利組織「EMPアクト・アメリカ」のプライ代表は、「中国が超強力な電磁波フィールドを生み出す兵器を開発しているか、あるいは既に開発を完了したことが裏付けされている。兵器は、米軍から盗用した設計を部分的に利用している」と、米紙ワシントン・タイムズの取材に対して答えた。
電磁波武器が発射されるケースについて米軍は2つの可能性を想定している。1つは有事の際、米空母と台湾など敵対的勢力を攻撃することであり、もう1つは平時に台湾防衛のために敷いた米軍の動きを抑制することだ。
【韓国】
中央日報http://japanese.joins.com/
【噴水台】去勢
雄の機能を剥奪された宦官は韓国や中国だけにいたわけではない。 エジプト・ローマ・トルコなどでは戦争捕虜を去勢し、宮殿の奴隷として働かせた。 17・18世紀、数百人の妾をハーレムに閉じ込めて楽しんだオスマン帝国のスルタンは、誰よりも多くの宦官が必要だった。 当時は白人よりも黒人の宦官が好まれ、エジプト奴隷商人はスーダンなどで捕まえた黒人の子どもを去勢した後、オスマン帝国に売り渡した。
中世イタリアではソプラノに劣らない高音を出す「カストラート(Castrato)」を量産するための去勢が蔓延した。 聖書に「女性は教会で静かにするべき」という一節があるとして、女性の聖歌隊参加を禁じたためだった。 美声の変声期前の少年を去勢すれば、成人になっても声帯が育たず、力強さを帯びながらも美しい高音を出すことができた。 この去勢歌手の人気がどれほど高かったのか、年間6000人余りの少年が犠牲になった。 人生が映画化されるほど有名だった最高の歌手ファリネッリもカストラートの一人だった。 幼い頃から歌が優れていた「交響曲の父」ハイドンも去勢されるところだったが、父の反対で危機を免れた。 中国では去勢を死刑に匹敵する重罰として使用した。 これを「宮刑」といったが、史家の司馬遷は宮刑の恥辱の中で代表作『史記』を完成した。
時には自発的に去勢するケースもあった。 極端な禁欲主義を強調した初期キリスト教徒の一部は欲情に勝つために自ら罪悪の根をなくした。 韓国・中国でも貧困に絶えられず去勢する例が少なくなかったが、これを「自宮」といった。 宮廷で仕えてでも延命しようという涙ぐましい糊口の策だったのだ。 丁若(チョン・ヤクヨン)の『茶山詩文集』には自宮を悲しむ「哀絶陽」という詩がある。
一度すれば取り返しがつかないため、本人が望む去勢にも慎重を期した。 中国では「刀子匠」という宦官専門の執刀人が手術をした。 手術直前に執刀人は「後悔はしないか」と何度も尋ねることになっている。 ここで少しでもためらえば手術は保留となった。
24日から再犯の可能性が高い児童性犯罪者を対象にした化学的去勢が施行される。 一部では薬物投与の強制性のため人権侵害だという反発がある。 長期的に投与すれば身体の女性化など後遺症も少なくない。 物理的去勢のように性的機能が永遠になくなるわけではないが、副作用も少なくないだけに、対象の選定などに万全を期す必要がある。
<中国高速鉄道事故>安全不感症と過度な実績主義が問題?
中国で今月、高速鉄道の事故が頻発していたが、ついに超大型人命事故が発生した。世界最高速度と世界最長を誇る中国高速鉄道に赤信号がついたのだ。政治行事の日程に合わせて無理に開通時期を早めた鉄道当局の安全不感症と過度な実績主義が俎上に載せられた。
中国政府は今回の事故に速やかに対応している。胡錦濤国家主席と温家宝首相が23日、人命救助と被害復旧に向けた特別指示を与え、張徳江副首相が現場に急派された。盛光祖鉄道相は「速かに復旧を終えて24日午後6時から列車運行を再開する」と明らかにした。
今回の事故で該当区間を通過する予定だった58便の列車の運行が中断した。中国鉄道省はこの日、事故責任を問うて事故地域を管轄する上海鉄道局の龍京局長ら3人の幹部を免職した。
国営新華通信によると、事故の原因は落雷による動力遮断と推定される。浙江省杭州から出発した高速鉄道D3115号が23日、福建省福州に向かう途中、温州南駅に入る前に落雷で動力を失い、高速鉄道用に建設された高さ20メートルの高架橋の上で停止した。この状況で北京発福州行きのD301号高速列車がD3115号に後ろから追突した。
惨事現場で「和諧号」と書かれた高速鉄道のゆがんだ姿がそのまま中国メディアで報道された。中国鉄道省は時速200キロ以上の高速鉄道に「和諧号」という名前をつけている。胡国家主席が強調した「和諧(harmony)社会」を広く宣伝するためだ。
今回の事故は、世界最高になるという中国鉄道省の焦りで安全管理意識が伴わなかった現実を赤裸々に表した。
今回の事故は天災地変のように見えるが、内幕をのぞくと人災の要素が見える。まず温州気象台が前日晩に雷を伴った暴雨が降ると予報した状況で、高速鉄道の安全運行のための予備安全措置があったかどうか疑問だ。また前の列車が突然停止したにもかかわらず、後ろの列車がこれに気づかず高速運行を続けたのは深刻な問題だ。
事故の前、高速鉄道に安全危険警報が数回鳴ったが、当局が物流処理に集中するあまり安全点検を十分に行わなかったのではという見方も出ている。中国は先月30日午後、北京-上海区間1318キロの世界最長高速鉄道を開通したが、10日から20日まで大小の事故が発生していた。
日本メディアは23日、「日本が開発した技術を盗用したという疑惑の中でも特許申請を出し、運行を開始するやいなや大小の故障を起こしてきた中国の高速鉄道が、ついに大事故を起こした」とし、中国高速列車転落事故を特筆大書した。中国の高速列車落下惨事は安全意識と技術の不足によるもので、胡錦濤政権は大きな打撃を受けると予想した。
朝日新聞は「中国は高速鉄道事業を‘体面工程’と呼び、‘中国独自の技術’として海外で特許申請までしていた」とし「しかし脱線事故で多数の死傷者が発生し、中国政権が大きな衝撃を受けた」と報じた。
読売新聞も「中国高速鉄道の問題点と見られていた安全面での不安が今回の事故で現実になった」とし「急速に進展している国内の高速鉄道建設計画と海外進出に影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。
朝鮮日報http://www.chosunonline.com/
中国列車事故:日本のメディア、大々的に報道
中国の高速鉄道に対し「ニセ新幹線」と批判していた日本の各メディアは、23日の事故があたかも自国内で発生したかのように大々的に報じている。
朝日新聞は「中国の鉄道当局は『われわれの技術はすでに日本の新幹線をはるかに超えた』として自信を見せていたが、今回の事故で技術的な自負心に暗雲が立ちこめた」と報じた。日本の鉄道専門家は、同紙のインタビューで「中国の高速鉄道で日本の技術が採用されているのは車両だけで、(今回の事故原因と思われる)信号などの運行システムは中国独自のものが使われている」と分析した。
中国が自国の高速鉄道を米国など世界各国に輸出しようとしていた計画も、事実上白紙化される可能性が出てきた、との見方もある。読売新聞は「かねて指摘されていた安全性への不安が、早くも現実になった」「中国が国家的威信をかけて開発し、米国など海外への売り込みを図っている高速鉄道だけに、胡錦濤政権の輸出戦略にとって手痛い打撃となろう」と報じた。
中国列車事故:安全装置に問題
中国高速鉄道の事故は、今回が初めてではない。時速395キロで世界最速を誇っていた武漢-広州間の高速鉄道は、過去1年間で8回も事故が発生した。今月1日に開通した世界最長の北京-上海高速鉄道も、開通から1カ月未満にもかかわらず6回も事故でストップした。
中国の高速鉄道で発生する事故の大半は、落雷や大雪などによる電力供給のストップが原因だ。また、自動列車保護システムや運行管理システムなど、安全運行のための保護装置にも頻繁にトラブルが発生している。速度は世界最高を誇るが、安全装置は後進的、というのが専門家の分析だ。今回の事故も落雷がきっかけだったが、追突事故が発生したのは運行管理システムが故障したからだった。逆方向から走ってきた高速鉄道のD3221列車も同じく落雷でストップしていたが、事故は発生しなかった。
韓国の鉄道専門家たちも「こうした事故は、鉄道運行の基本である制御システムと信号体系が同時に作動しなければ起こり得る」と指摘した。落雷で停止していたD3115列車の乗客によると、列車は25分ほど停止していたという。これが本当だとすれば、25分にわたり、自動で作動するはずの制御システムが作動していなかったということになる。また、前を走る列車の車掌が事故の状況を管制室に報告し、管制室がそれを後続列車に連絡して運行をストップさせるという常識レベルの安全措置さえも取られていなかった。
【米国】
ウォール・ストリート・ジャーナル
http://jp.wsj.com/
陸前高田の歴史をつなげ - 仲間の追悼込め遺産守る博物館職員
熊谷賢(まさる)さん(44)が地道な作業を続ける廃校は、さしずめ自治体共同の屋根裏部屋といった雰囲気だ。時代物の漁具や農機具から古いおもちゃや学校の記録まであらゆるものが押し込められている。
これらは、3月11日の巨大津波で市の中心部が壊滅的被害を受け、人口の10%近くに当たる約2万3000人が死亡した陸前高田市の市立博物館所蔵の遺物だ。
陸前高田市立博物館の学芸員である熊谷さんは、もりの先端やその他有史以前の道具の汚れをこすり落としながら、これら工芸品はわれわれの文化や歴史を表すものであり、これらの保存なしに本当の復興はなし得ない、と話す。
考古学者の熊谷さんは、何週間も前から、長年勤めていた職場である被災した博物館で泥の中から所蔵物を探し出す作業を率いている。
津波は窓やドアを破って博物館の中にまで流れ込み、後には大量の泥とがれきが残された。主要展示ホールには自動車が1台横倒しになっている。
だが、熊谷さんは湿気の多い建物内部からできる限り多くの所蔵物を回収しようと懸命に取り組んだ。
中でも最も重要な回収物は、有史以前に陸前高田の土着民によって作られた骨の漁具と古代陶器の破片だ。
文化財を保護し、新たな所蔵先を見つけることは、震災で最も大きな被害を受けた市区町村の1つである陸前高田市にとって特別な、難しい課題だ。
市当局は避難先や仕事、基本的インフラの確保など住民の直接的なニーズへの対応に追われている。だが彼らは、結びつきの強いこのコミュニティーが津波によって負った大きな精神的傷を癒す必要性も認識している。
4月下旬、熊谷さんの耳に博物館の1階から「見つけた。見つけた」という大きな叫び声が飛び込んできた。1階へ降りると、昆虫学者の砂田比左男さんが1200年以上前のものと思われる鉄製の剣を振り回していた。
その付近をさらに掘り続けると、砂とさびがこびり付いた2本の剣がさらに発見された。学者らによると、それら3本の古代の剣は、日本のサムライ文化の中心、日本刀の初期の進化を表すものだという。
これら刀ほどではないが、ほかにも初期の漫画本やクマのぬいぐるみ、著名な地元の博物学者のブロンズ胸像をはじめ多くの貴重な標本が発見された。これらはすべて存続が危ぶまれる陸前高田市の一部を表すものだ。
オオヤマネコの歯で作られた有史以前の極めて貴重な首飾りをはじめ、まだ見つかっていない遺物も一部あるが、熊谷さんは見つかる可能性は低いだろうと話す。
熊谷さん自身も自宅を津波で流され、避難所として利用されている老人ホームでの寝泊まりを余儀なくされている。熊谷さんは起きている時間のほとんどを被害を受けた陸前高田市の文化遺産を保護する作業に充てており、その最も重要な遺産の大半は市立博物館に所蔵されていた。熊谷さん率いる小さなチームは、所蔵物回収に向け最初の一歩を踏み出している。
彼らは漁網や着物に付着した塩を洗い流したり、濡れた書物を乾かしたり、歯ブラシで骨器の汚れをこすり落とし、アルコールで防かび処理を施したりといった作業を行っている。
部屋には古い鞍(くら)や精米機、神社のしめ縄に至るまで過去の記憶が高く積み上げられている。
熊谷さんは、まだやるべきことはたくさんある、あとどのくらい時間がかかるか見当もつかない、と話す。
刀や歴史的文献をはじめ最も重要な文化遺産の多くは、復元や安全な保管のため別の博物館に引き渡された。
熊谷さんは、こうした活動へと自らを突き動かしている大きな原動力の1つは、津波で亡くなった市職員全員への追悼の気持ちだと話す。熊谷さんが師と仰ぐ存在であり、熊谷さんに考古学を志すことを勧めてくれた地元の考古学者、佐藤正彦さんもその1人だ。
熊谷さんは、津波が襲った当時、陸前高田市立「海と貝のミュージアム」の主任学芸員を務めていた。同ミュージアムも被災したため、そちらでも回収作業が行われている。
熊谷さんは、子どもの頃から物集めに凝っていたという。高校時代、陸上を諦めて歴史部に入ったことが考古学に興味を持つきっかけだった話す。
毎週部活動で訪れる市立博物館をとおして、分類学と人類学の世界に触れるようになっていった。左官職人の1人息子に生まれた熊谷さんにとって、それは素晴らしい、魅惑的な世界で、博物館はやがて第2の家となった。
奥さんのジュンコさんは、熊谷さんとまだ付き合っていた頃、冷蔵庫の中に、熊谷さんが博物館の標本として収集していたたくさんの鳥の死骸を見つけたこともあったという。
新婚旅行で訪れた沖縄では大半の時間を珍しい貝殻を探して過ごしたという。ジュンコさんは、彼はいつも博物館のことばかり考えている、と話す。
熊谷さんいわく、「自分は博物館に育てられた」。
熊谷さんは、陸前高田の子どもたちにも、少なくとも自分たちの街の歴史の豊かさを知って欲しいと話す。最近の子どもの中には処理されたものや、スーパーに並んだ魚しか見たことがない子もおり、自分たちの文化の起源とのかかわりが失われつつあると嘆く。
だが、陸前高田市は、日本の他の多くの地域と同様、震災前から大きな負債を抱えており、ほかに満たすべきニーズが山積みのなかで、少なくとも震災以前の状態に博物館を復旧させることはそう簡単ではない。
熊谷さんは、新しい市立博物館の建設には数億円かかると見積もる。だが、それでも博物館を何としても再開し、陸前高田の過去のメッセージを未来の世代へとつないでいく決意だ。
海は我々に命を与えてくれるが、ときにそれを奪いもする、ということを多くの人が忘れている、と熊谷さんは話す。
【英国】
ロイター
http://jp.reuters.com
焦点:ノルウェーの悲劇、欧州が抱える移民問題の難しさ露呈
死者93人を出したノルウェーの首都オスロでの爆発と首都郊外ウトヤ島での銃乱射事件。逮捕されたアンネシュ・ブレイビク容疑者(32)は、反多文化主義「革命」に点火するための行動だったと主張しているが、専門家らは、同様の「暴力の暴発」を避けるには、移民問題に関する率直な議論は避けて通れないと指摘している。
北欧をはじめとする欧州各国では、経済状況の悪化やイスラム過激派による攻撃への恐怖心を背景に、移民排斥の主張を通じて支持を集める政党が存在する。しかし、行き過ぎた政治的レトリックは、多くの複雑かつ根本的な問題への取り組みというよりむしろ、移民問題に対する負の世論感情に火を付けるだけだと専門家らはみている。
移民問題についての相反するメッセージや政治的潔癖さは、国民感情をいら立たせ、強硬的なイデオロギー信奉者に付け入る隙を与えているというのが識者の見方だ。
IHSグローバル・インサイトの欧州専門家リリト・ゲボルギャン氏は、「ノルウェーで起きた2つの攻撃が(移民問題に関する)率直な議論のきっかけにならなければ、過激派を孤立化させ、状況をますます悪化させる可能性があり、回りまわって、将来的に似たような事件が増える可能性がある」と指摘。さらに「この問題はノルウェーだけのものではない。スカンジナビアや東西欧州でも、開かれた議論がないことにイライラしている人は大勢いる」と述べた。
英国のキャメロン首相、ドイツのメルケル首相、フランスのサルコジ大統領はともに、過去数カ月の間に口をそろえて多文化主義は失敗だったと語った。
しかし、専門家らはこうした発言について、移民の増加やグローバル化がもたらす経済的・社会的圧力の解消にならないばかりか、多民族社会の恩恵を殺すことにもなると批判。最悪の場合、国家首脳の反多文化主義的発言により、弱い立場に置かれた移民が犠牲となり、人種間関係が悪化するリスクがあるとしている。
シティ大学ロンドンの政治学講師サラ・シルベストリ氏は、6月8日付の論文で「われわれはシンプルに選べる簡単な答えを探している。穏健派イスラム対過激派イスラム、多文化主義と同化、といった構図のように。しかし、こうして単純化されたネーミングや分類は人々を一層分断し、敵意を呼び起こすものだ」と警告している。
<火に油>
北欧諸国の複数の政党は、移民問題に真正面から取り組んできた。しかし、一部政治家が使っていた扇動的なトーンは、ブレイビク容疑者の反移民や反イスラムの感情に油を注いでいたかもしれない。
同容疑者が犯行直前にインターネットに掲載した1500ページに及ぶ文書には、オランダの極右政党の党首ヘルト・ウィルダース議員を称賛する部分がある。同議員はブレイビク容疑者の行動を非難している。
反移民や反イスラムを掲げる政党は、北欧では過去数年の間に一定の勢いをつけており、スウェーデンでは昨年の総選挙で反移民を旗印とする民主党が初めて議席を獲得した。
同国の反ファシズム雑誌Expoは、政治家の発言と暴力に直接的な関係はないかもしれないが、民族問題が動機となる攻撃が増える環境を作り出していると指摘。「スウェーデン民主党のイスラムに向かう姿勢は非常に攻撃的だが、こうした方法が受け入れられつつある」と世論の右傾化に懸念を示した。
<残忍だが必要>
ノルウェーの保守党系紙アフテンポステンの政治担当編集者Harald Stanghelle氏は、同国で反移民を掲げる進歩党について、ブレイビク容疑者のような人物の感情に火を付けたとして非難するのはフェアではないと擁護。同容疑者もかつて進歩党の活動家だったが、急進さが足りないとして後に離党している。
ブレイビク容疑者の弁護士によると、同容疑者は今回の一連の事件について「行動は残忍だと認識しているが、必要だったと考えている」と表明。25日に予定されている罪状認否で自身の考えを主張する意向だ。
欧米の記事には、中国高速鉄道の事故はありません。
【中国】
何と、事故車両を穴を掘って埋めた中国。
生き残ったこの話など、美談が登場しています。
人民日報 http://j.peopledaily.com.cn/home.html
「高速時代」には一層の「安全ベルト」が必要
現代化に伴い発生する「文明の危険性」を、われわれは十分に意識し、十分な対策を講じる必要がある。
23日に温州市で高速列車追突事件が起きると中央と地方の関係部門が救助活動を重視し、鉄道、消防、医療各当局が直ちに救援活動、医療活動、身元確認にあたった。温州市民が自発的に現場で乗客の搬送を手伝い、献血所の前に長い列をつくったことは感動的だった。
高速列車追突事件は多事多難の夏をさらに痛ましいものにした。ずっと安全と思われてきた鉄道の事故は、なおさらに大きな社会的影響をもたらす。
メキシコ湾の原油流出や福島第1原発の放射能漏れ。現代社会は科学技術の発展に伴い密集度や複雑性も増している。技術の先進化に伴い、相互依存や相互影響も深まっている。ささいなミスや細かな手抜かりも危険性を生じ得る。
今日の中国は、なおのこと「危険性のカプセル」の中にある。欧米諸国が数百年かけて歩んだ近代化のプロセスを濃縮した結果、さまざまな危険性も濃縮された。都市化、工業化、情報化、近代化は人々に多くの「文明の成果」をもたらすが、それに伴い生じる「文明の危険性」も避けがたい。したがってわれわれは危険性を十分に意識し、十分な対策を講じて、急速な発展の時代に頑丈な「安全ベルト」を締める必要がある。
鉄道を例に取ろう。長年の努力を経て、中国の鉄道は「高速時代」に入ったと言える。高速鉄道は総延長や時速で世界一に達した。こうした速度は必要なものだが、速度が速まり、ダイヤが密になり、路線が増えるに伴い、より精確な管理ノウハウやより厳格な安全意識が必要になることにも目を向ける必要がある。これは鉄道の鉄則であり、発展の生命線でもある。管理、制度、責任の安全ベルトがあって初めて、列車の確実な運行は「一番」の名に恥じないものとなる。
「ハインリッヒの法則」によると、1つの重大事故の背後には数十回、下手すると100回もの軽微な事故や未遂事故がある。運行システムに違いはあるが、北京・上海高速鉄道にも「小さな異常」が数多く生じ、様々な問題が明らかとなっている。事態を十分に重視すれば事故は避けられるかもしれない。張徳江副総理は事故後直ちに現場入りし「事故についてしっかりと調べ、社会に説明しなければならない」と強調。「事故から教訓を汲み取り、原因を究明し、厳しく責任を追及し、問題点を正し、しっかりと補償して初めて、死傷者に対する責任を果たし、公共安全の責任を果たしたことになる」との中央の断固たる姿勢を表明した。
事故後も列車の本数は増え、総延長も延びる。今回の事故によって高速鉄道の推進方針が変わることはない。だが事故への対処を総括した後、強い安全意識をより厳しく追求することが不可欠だ。管理当局が痛みを教訓として刻む責任感と薄氷を踏む使命感によって安全対策を強化し、全ての乗客が望み通りに目的地へ到着できるようにすることをただ願う。複雑な環境の中を急ぎ足で前進する中国の高速鉄道がより慎重に、より安全に人々を未来へと導くことをただ願う。(編集NA)
高速列車追突事故 乗客やボランティアが語る現場の様子
甬温線(浙江省寧波市--温州市)で23日、深刻な高速列車事故が発生した。事故当時、乗客や事故現場の付近にいた人々はどのような状況だったのだろう?温州中西医結合医院において24日、事故のけが人や救助にあたったボランティアに取材を行った。
▽乗客の梅小向氏??車両の中で転げまわる
江蘇省出身の梅小向さん(24)は、高架橋から落下したD301号高速列車の2両目に乗っていた。同氏は車両が落下した時の様子を次のように語った。
「列車が追突した瞬間座席から転げ落ちて、車内を転げまわり、全くどうすることもできなかった。荷物や車内の壁に何度もぶつかった。突然の事故で全く何の反応もできず、頭の中は真っ白だった。気づいたときにはすでに墜落した後だった。車内は停電し、墜落地点は野外だったため、列車の内外は真っ暗で、現場は恐ろしい雰囲気に包まれていた。乗客はガラスをたたいて救助を叫び続けた。その後、消防隊員が駆けつけて救助された」。
同病院の副院長によると、梅小向さんは23日夜に運び込まれたけが人の中では比較的けがの程度が軽いほうであり、現在観察のため入院しているが、まもなく退院が見込まれるという。
▽ボランティアの楊さん??遠く離れた家でも大きな音
事故発生後、大量のボランティアが救援に駆けつけた。温州中西結合医院でけが人の世話を行う楊さんもその一人だ。
楊さんによると、23日夜8時過ぎ、雷が落ちた後に「ドーン」という大きな音が聞こえたという。家にいた楊さんは約10分後、事故現場に駆けつけた。
楊さんが現場に到着した時には救助活動がすでに始まっていたという。「沢山の自家用車やタクシーが自発的にけが人の搬送を行っていました」。事故現場から最も近い康寧医院には多くの重傷者が運び込まれていた。「ある中年の男性は、両足をひどく骨折し、頭部からは大量に出血していました。口がまだ動かせて、意識もあったので、がんばってくださいと声をかけたんです」。
楊さんは各病棟をめぐって何か手伝えることはないかと聞き回っている。「私は成都の人間です。四川大地震が発生した時は実家に帰って手伝うことができなかった。今回は絶対に何かの役に立ちたいんです」。(編集SN)
チャイナネット
http://japanese.china.org.cn/
鉄道部:車両埋立は証拠隠滅ではなく、救援優先
7月23日夜、北京南駅発福州駅行きのd301便と杭州駅発福州南駅行きのd3115便の高速列車が浙江省温州で追突した。写真は現場の様子。
鉄道部は24日夜、浙江省温州で記者会見を行った。王勇平報道官は、事故車両を埋めたことについて、「当時、現場の救援情況は複雑困難で、救護者が列車先頭部分を土に埋めたのは、救援作業の便宜を図るためだった」と答えた。
ネットユーザーから疑問が寄せられている。「なぜ列車を現地で埋めてしまい、運ばないのか。あるいは傍らに退けないのか?証拠を隠すためなのか?」王勇平報道官は、出迎えに来た職員からネットでこのような質問があることを聞き、「このように愚かな問題が起こるのはどうしてなんだ?世の中みんなが知ってる事故を隠蔽できるのか?」と聞き返した。
彼は「隠そうと思っているのではない、実際この事故を隠すことなどできない」と答えた。王勇平報道官は、車両を埋めた原因については以下のように説明を受けているという。「当時の現場の情況は複雑で、足元は泥沼だったため、救援作業が非常に困難をきたし、また他の車両にも処理を行わねばならず、列車先頭部分を土に埋め、救援作業をしやすくした。」
王勇平報道官は、「私が受けた説明はこれだ。あなた方が信じるか否かは自由だが、私自身は信じる。」と述べた。
大紀元
http://www.epochtimes.jp/
「中国軍は電磁波武器を開発」 囚人拷問にも利用か=米軍報告書
中国人民軍が、 対米との台湾をめぐる有事に備えて、強力な電磁波を使用した武器を開発していることが22日、アメリカ国家地上情報センターによる一部の軍事報告書で明らかになった。さらに、人体への影響を測定するために囚人の拷問に使われた可能性も指摘されている。
報告書によると、中国軍の開発する電磁パルス(EMP)と強力マイクロ波(HPM)を使用した電磁波武器は、通信レーダーを含む広範囲内のすべての電子機器を使用不能にし、軍事衛星システムの機能を低下させることが出来るという。これにより軍事力において米軍より劣る中国軍が、台湾有事の際、米軍からの空母や核兵器の攻撃を抑えて米軍を負かすことが可能になる、と報告書は指摘している。
電磁波武器は通常、高度100キロ~数100キロの高層大気圏で使用されるが、電磁波の効果を中国大陸を避けた限定的なものにするため、 台湾周辺の上空30~40メートルという極めて低い高度で爆破し、中国本土における損害を最小限に抑えるという。
この武器の影響は、EMPによる電子機器障害がほとんどのため、大量破壊兵器であると同時に非致死性でもある。この特性を利用して、「強制的な台湾再統一の実行にあたり、犠牲者を最小限に食い止めることで台湾内の憎しみを少なくすることができる」と、中国当局の意図が想定されている。
また中国軍は既に、ねずみやウサギ、犬、猿など動物を使った実験を行い、目や脳、骨髄、臓器に損傷をもたらすことを把握しているとされ、さらに軍の施設内で囚人への拷問に使われた可能性も指摘されている。
実験の目的は、強力なEMPとHPMによる、中国軍の隊員などの人体および所有する武器への影響力を測るためと推測されている。
電磁波武器研究機関である非営利組織「EMPアクト・アメリカ」のプライ代表は、「中国が超強力な電磁波フィールドを生み出す兵器を開発しているか、あるいは既に開発を完了したことが裏付けされている。兵器は、米軍から盗用した設計を部分的に利用している」と、米紙ワシントン・タイムズの取材に対して答えた。
電磁波武器が発射されるケースについて米軍は2つの可能性を想定している。1つは有事の際、米空母と台湾など敵対的勢力を攻撃することであり、もう1つは平時に台湾防衛のために敷いた米軍の動きを抑制することだ。
【韓国】
中央日報http://japanese.joins.com/
【噴水台】去勢
雄の機能を剥奪された宦官は韓国や中国だけにいたわけではない。 エジプト・ローマ・トルコなどでは戦争捕虜を去勢し、宮殿の奴隷として働かせた。 17・18世紀、数百人の妾をハーレムに閉じ込めて楽しんだオスマン帝国のスルタンは、誰よりも多くの宦官が必要だった。 当時は白人よりも黒人の宦官が好まれ、エジプト奴隷商人はスーダンなどで捕まえた黒人の子どもを去勢した後、オスマン帝国に売り渡した。
中世イタリアではソプラノに劣らない高音を出す「カストラート(Castrato)」を量産するための去勢が蔓延した。 聖書に「女性は教会で静かにするべき」という一節があるとして、女性の聖歌隊参加を禁じたためだった。 美声の変声期前の少年を去勢すれば、成人になっても声帯が育たず、力強さを帯びながらも美しい高音を出すことができた。 この去勢歌手の人気がどれほど高かったのか、年間6000人余りの少年が犠牲になった。 人生が映画化されるほど有名だった最高の歌手ファリネッリもカストラートの一人だった。 幼い頃から歌が優れていた「交響曲の父」ハイドンも去勢されるところだったが、父の反対で危機を免れた。 中国では去勢を死刑に匹敵する重罰として使用した。 これを「宮刑」といったが、史家の司馬遷は宮刑の恥辱の中で代表作『史記』を完成した。
時には自発的に去勢するケースもあった。 極端な禁欲主義を強調した初期キリスト教徒の一部は欲情に勝つために自ら罪悪の根をなくした。 韓国・中国でも貧困に絶えられず去勢する例が少なくなかったが、これを「自宮」といった。 宮廷で仕えてでも延命しようという涙ぐましい糊口の策だったのだ。 丁若(チョン・ヤクヨン)の『茶山詩文集』には自宮を悲しむ「哀絶陽」という詩がある。
一度すれば取り返しがつかないため、本人が望む去勢にも慎重を期した。 中国では「刀子匠」という宦官専門の執刀人が手術をした。 手術直前に執刀人は「後悔はしないか」と何度も尋ねることになっている。 ここで少しでもためらえば手術は保留となった。
24日から再犯の可能性が高い児童性犯罪者を対象にした化学的去勢が施行される。 一部では薬物投与の強制性のため人権侵害だという反発がある。 長期的に投与すれば身体の女性化など後遺症も少なくない。 物理的去勢のように性的機能が永遠になくなるわけではないが、副作用も少なくないだけに、対象の選定などに万全を期す必要がある。
<中国高速鉄道事故>安全不感症と過度な実績主義が問題?
中国で今月、高速鉄道の事故が頻発していたが、ついに超大型人命事故が発生した。世界最高速度と世界最長を誇る中国高速鉄道に赤信号がついたのだ。政治行事の日程に合わせて無理に開通時期を早めた鉄道当局の安全不感症と過度な実績主義が俎上に載せられた。
中国政府は今回の事故に速やかに対応している。胡錦濤国家主席と温家宝首相が23日、人命救助と被害復旧に向けた特別指示を与え、張徳江副首相が現場に急派された。盛光祖鉄道相は「速かに復旧を終えて24日午後6時から列車運行を再開する」と明らかにした。
今回の事故で該当区間を通過する予定だった58便の列車の運行が中断した。中国鉄道省はこの日、事故責任を問うて事故地域を管轄する上海鉄道局の龍京局長ら3人の幹部を免職した。
国営新華通信によると、事故の原因は落雷による動力遮断と推定される。浙江省杭州から出発した高速鉄道D3115号が23日、福建省福州に向かう途中、温州南駅に入る前に落雷で動力を失い、高速鉄道用に建設された高さ20メートルの高架橋の上で停止した。この状況で北京発福州行きのD301号高速列車がD3115号に後ろから追突した。
惨事現場で「和諧号」と書かれた高速鉄道のゆがんだ姿がそのまま中国メディアで報道された。中国鉄道省は時速200キロ以上の高速鉄道に「和諧号」という名前をつけている。胡国家主席が強調した「和諧(harmony)社会」を広く宣伝するためだ。
今回の事故は、世界最高になるという中国鉄道省の焦りで安全管理意識が伴わなかった現実を赤裸々に表した。
今回の事故は天災地変のように見えるが、内幕をのぞくと人災の要素が見える。まず温州気象台が前日晩に雷を伴った暴雨が降ると予報した状況で、高速鉄道の安全運行のための予備安全措置があったかどうか疑問だ。また前の列車が突然停止したにもかかわらず、後ろの列車がこれに気づかず高速運行を続けたのは深刻な問題だ。
事故の前、高速鉄道に安全危険警報が数回鳴ったが、当局が物流処理に集中するあまり安全点検を十分に行わなかったのではという見方も出ている。中国は先月30日午後、北京-上海区間1318キロの世界最長高速鉄道を開通したが、10日から20日まで大小の事故が発生していた。
日本メディアは23日、「日本が開発した技術を盗用したという疑惑の中でも特許申請を出し、運行を開始するやいなや大小の故障を起こしてきた中国の高速鉄道が、ついに大事故を起こした」とし、中国高速列車転落事故を特筆大書した。中国の高速列車落下惨事は安全意識と技術の不足によるもので、胡錦濤政権は大きな打撃を受けると予想した。
朝日新聞は「中国は高速鉄道事業を‘体面工程’と呼び、‘中国独自の技術’として海外で特許申請までしていた」とし「しかし脱線事故で多数の死傷者が発生し、中国政権が大きな衝撃を受けた」と報じた。
読売新聞も「中国高速鉄道の問題点と見られていた安全面での不安が今回の事故で現実になった」とし「急速に進展している国内の高速鉄道建設計画と海外進出に影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。
朝鮮日報http://www.chosunonline.com/
中国列車事故:日本のメディア、大々的に報道
中国の高速鉄道に対し「ニセ新幹線」と批判していた日本の各メディアは、23日の事故があたかも自国内で発生したかのように大々的に報じている。
朝日新聞は「中国の鉄道当局は『われわれの技術はすでに日本の新幹線をはるかに超えた』として自信を見せていたが、今回の事故で技術的な自負心に暗雲が立ちこめた」と報じた。日本の鉄道専門家は、同紙のインタビューで「中国の高速鉄道で日本の技術が採用されているのは車両だけで、(今回の事故原因と思われる)信号などの運行システムは中国独自のものが使われている」と分析した。
中国が自国の高速鉄道を米国など世界各国に輸出しようとしていた計画も、事実上白紙化される可能性が出てきた、との見方もある。読売新聞は「かねて指摘されていた安全性への不安が、早くも現実になった」「中国が国家的威信をかけて開発し、米国など海外への売り込みを図っている高速鉄道だけに、胡錦濤政権の輸出戦略にとって手痛い打撃となろう」と報じた。
中国列車事故:安全装置に問題
中国高速鉄道の事故は、今回が初めてではない。時速395キロで世界最速を誇っていた武漢-広州間の高速鉄道は、過去1年間で8回も事故が発生した。今月1日に開通した世界最長の北京-上海高速鉄道も、開通から1カ月未満にもかかわらず6回も事故でストップした。
中国の高速鉄道で発生する事故の大半は、落雷や大雪などによる電力供給のストップが原因だ。また、自動列車保護システムや運行管理システムなど、安全運行のための保護装置にも頻繁にトラブルが発生している。速度は世界最高を誇るが、安全装置は後進的、というのが専門家の分析だ。今回の事故も落雷がきっかけだったが、追突事故が発生したのは運行管理システムが故障したからだった。逆方向から走ってきた高速鉄道のD3221列車も同じく落雷でストップしていたが、事故は発生しなかった。
韓国の鉄道専門家たちも「こうした事故は、鉄道運行の基本である制御システムと信号体系が同時に作動しなければ起こり得る」と指摘した。落雷で停止していたD3115列車の乗客によると、列車は25分ほど停止していたという。これが本当だとすれば、25分にわたり、自動で作動するはずの制御システムが作動していなかったということになる。また、前を走る列車の車掌が事故の状況を管制室に報告し、管制室がそれを後続列車に連絡して運行をストップさせるという常識レベルの安全措置さえも取られていなかった。
【米国】
ウォール・ストリート・ジャーナル
http://jp.wsj.com/
陸前高田の歴史をつなげ - 仲間の追悼込め遺産守る博物館職員
熊谷賢(まさる)さん(44)が地道な作業を続ける廃校は、さしずめ自治体共同の屋根裏部屋といった雰囲気だ。時代物の漁具や農機具から古いおもちゃや学校の記録まであらゆるものが押し込められている。
これらは、3月11日の巨大津波で市の中心部が壊滅的被害を受け、人口の10%近くに当たる約2万3000人が死亡した陸前高田市の市立博物館所蔵の遺物だ。
陸前高田市立博物館の学芸員である熊谷さんは、もりの先端やその他有史以前の道具の汚れをこすり落としながら、これら工芸品はわれわれの文化や歴史を表すものであり、これらの保存なしに本当の復興はなし得ない、と話す。
考古学者の熊谷さんは、何週間も前から、長年勤めていた職場である被災した博物館で泥の中から所蔵物を探し出す作業を率いている。
津波は窓やドアを破って博物館の中にまで流れ込み、後には大量の泥とがれきが残された。主要展示ホールには自動車が1台横倒しになっている。
だが、熊谷さんは湿気の多い建物内部からできる限り多くの所蔵物を回収しようと懸命に取り組んだ。
中でも最も重要な回収物は、有史以前に陸前高田の土着民によって作られた骨の漁具と古代陶器の破片だ。
文化財を保護し、新たな所蔵先を見つけることは、震災で最も大きな被害を受けた市区町村の1つである陸前高田市にとって特別な、難しい課題だ。
市当局は避難先や仕事、基本的インフラの確保など住民の直接的なニーズへの対応に追われている。だが彼らは、結びつきの強いこのコミュニティーが津波によって負った大きな精神的傷を癒す必要性も認識している。
4月下旬、熊谷さんの耳に博物館の1階から「見つけた。見つけた」という大きな叫び声が飛び込んできた。1階へ降りると、昆虫学者の砂田比左男さんが1200年以上前のものと思われる鉄製の剣を振り回していた。
その付近をさらに掘り続けると、砂とさびがこびり付いた2本の剣がさらに発見された。学者らによると、それら3本の古代の剣は、日本のサムライ文化の中心、日本刀の初期の進化を表すものだという。
これら刀ほどではないが、ほかにも初期の漫画本やクマのぬいぐるみ、著名な地元の博物学者のブロンズ胸像をはじめ多くの貴重な標本が発見された。これらはすべて存続が危ぶまれる陸前高田市の一部を表すものだ。
オオヤマネコの歯で作られた有史以前の極めて貴重な首飾りをはじめ、まだ見つかっていない遺物も一部あるが、熊谷さんは見つかる可能性は低いだろうと話す。
熊谷さん自身も自宅を津波で流され、避難所として利用されている老人ホームでの寝泊まりを余儀なくされている。熊谷さんは起きている時間のほとんどを被害を受けた陸前高田市の文化遺産を保護する作業に充てており、その最も重要な遺産の大半は市立博物館に所蔵されていた。熊谷さん率いる小さなチームは、所蔵物回収に向け最初の一歩を踏み出している。
彼らは漁網や着物に付着した塩を洗い流したり、濡れた書物を乾かしたり、歯ブラシで骨器の汚れをこすり落とし、アルコールで防かび処理を施したりといった作業を行っている。
部屋には古い鞍(くら)や精米機、神社のしめ縄に至るまで過去の記憶が高く積み上げられている。
熊谷さんは、まだやるべきことはたくさんある、あとどのくらい時間がかかるか見当もつかない、と話す。
刀や歴史的文献をはじめ最も重要な文化遺産の多くは、復元や安全な保管のため別の博物館に引き渡された。
熊谷さんは、こうした活動へと自らを突き動かしている大きな原動力の1つは、津波で亡くなった市職員全員への追悼の気持ちだと話す。熊谷さんが師と仰ぐ存在であり、熊谷さんに考古学を志すことを勧めてくれた地元の考古学者、佐藤正彦さんもその1人だ。
熊谷さんは、津波が襲った当時、陸前高田市立「海と貝のミュージアム」の主任学芸員を務めていた。同ミュージアムも被災したため、そちらでも回収作業が行われている。
熊谷さんは、子どもの頃から物集めに凝っていたという。高校時代、陸上を諦めて歴史部に入ったことが考古学に興味を持つきっかけだった話す。
毎週部活動で訪れる市立博物館をとおして、分類学と人類学の世界に触れるようになっていった。左官職人の1人息子に生まれた熊谷さんにとって、それは素晴らしい、魅惑的な世界で、博物館はやがて第2の家となった。
奥さんのジュンコさんは、熊谷さんとまだ付き合っていた頃、冷蔵庫の中に、熊谷さんが博物館の標本として収集していたたくさんの鳥の死骸を見つけたこともあったという。
新婚旅行で訪れた沖縄では大半の時間を珍しい貝殻を探して過ごしたという。ジュンコさんは、彼はいつも博物館のことばかり考えている、と話す。
熊谷さんいわく、「自分は博物館に育てられた」。
熊谷さんは、陸前高田の子どもたちにも、少なくとも自分たちの街の歴史の豊かさを知って欲しいと話す。最近の子どもの中には処理されたものや、スーパーに並んだ魚しか見たことがない子もおり、自分たちの文化の起源とのかかわりが失われつつあると嘆く。
だが、陸前高田市は、日本の他の多くの地域と同様、震災前から大きな負債を抱えており、ほかに満たすべきニーズが山積みのなかで、少なくとも震災以前の状態に博物館を復旧させることはそう簡単ではない。
熊谷さんは、新しい市立博物館の建設には数億円かかると見積もる。だが、それでも博物館を何としても再開し、陸前高田の過去のメッセージを未来の世代へとつないでいく決意だ。
海は我々に命を与えてくれるが、ときにそれを奪いもする、ということを多くの人が忘れている、と熊谷さんは話す。
【英国】
ロイター
http://jp.reuters.com
焦点:ノルウェーの悲劇、欧州が抱える移民問題の難しさ露呈
死者93人を出したノルウェーの首都オスロでの爆発と首都郊外ウトヤ島での銃乱射事件。逮捕されたアンネシュ・ブレイビク容疑者(32)は、反多文化主義「革命」に点火するための行動だったと主張しているが、専門家らは、同様の「暴力の暴発」を避けるには、移民問題に関する率直な議論は避けて通れないと指摘している。
北欧をはじめとする欧州各国では、経済状況の悪化やイスラム過激派による攻撃への恐怖心を背景に、移民排斥の主張を通じて支持を集める政党が存在する。しかし、行き過ぎた政治的レトリックは、多くの複雑かつ根本的な問題への取り組みというよりむしろ、移民問題に対する負の世論感情に火を付けるだけだと専門家らはみている。
移民問題についての相反するメッセージや政治的潔癖さは、国民感情をいら立たせ、強硬的なイデオロギー信奉者に付け入る隙を与えているというのが識者の見方だ。
IHSグローバル・インサイトの欧州専門家リリト・ゲボルギャン氏は、「ノルウェーで起きた2つの攻撃が(移民問題に関する)率直な議論のきっかけにならなければ、過激派を孤立化させ、状況をますます悪化させる可能性があり、回りまわって、将来的に似たような事件が増える可能性がある」と指摘。さらに「この問題はノルウェーだけのものではない。スカンジナビアや東西欧州でも、開かれた議論がないことにイライラしている人は大勢いる」と述べた。
英国のキャメロン首相、ドイツのメルケル首相、フランスのサルコジ大統領はともに、過去数カ月の間に口をそろえて多文化主義は失敗だったと語った。
しかし、専門家らはこうした発言について、移民の増加やグローバル化がもたらす経済的・社会的圧力の解消にならないばかりか、多民族社会の恩恵を殺すことにもなると批判。最悪の場合、国家首脳の反多文化主義的発言により、弱い立場に置かれた移民が犠牲となり、人種間関係が悪化するリスクがあるとしている。
シティ大学ロンドンの政治学講師サラ・シルベストリ氏は、6月8日付の論文で「われわれはシンプルに選べる簡単な答えを探している。穏健派イスラム対過激派イスラム、多文化主義と同化、といった構図のように。しかし、こうして単純化されたネーミングや分類は人々を一層分断し、敵意を呼び起こすものだ」と警告している。
<火に油>
北欧諸国の複数の政党は、移民問題に真正面から取り組んできた。しかし、一部政治家が使っていた扇動的なトーンは、ブレイビク容疑者の反移民や反イスラムの感情に油を注いでいたかもしれない。
同容疑者が犯行直前にインターネットに掲載した1500ページに及ぶ文書には、オランダの極右政党の党首ヘルト・ウィルダース議員を称賛する部分がある。同議員はブレイビク容疑者の行動を非難している。
反移民や反イスラムを掲げる政党は、北欧では過去数年の間に一定の勢いをつけており、スウェーデンでは昨年の総選挙で反移民を旗印とする民主党が初めて議席を獲得した。
同国の反ファシズム雑誌Expoは、政治家の発言と暴力に直接的な関係はないかもしれないが、民族問題が動機となる攻撃が増える環境を作り出していると指摘。「スウェーデン民主党のイスラムに向かう姿勢は非常に攻撃的だが、こうした方法が受け入れられつつある」と世論の右傾化に懸念を示した。
<残忍だが必要>
ノルウェーの保守党系紙アフテンポステンの政治担当編集者Harald Stanghelle氏は、同国で反移民を掲げる進歩党について、ブレイビク容疑者のような人物の感情に火を付けたとして非難するのはフェアではないと擁護。同容疑者もかつて進歩党の活動家だったが、急進さが足りないとして後に離党している。
ブレイビク容疑者の弁護士によると、同容疑者は今回の一連の事件について「行動は残忍だと認識しているが、必要だったと考えている」と表明。25日に予定されている罪状認否で自身の考えを主張する意向だ。
欧米の記事には、中国高速鉄道の事故はありません。