さらば東京裁判史観 何が日本人の歴史観を歪めたのか(3)
『新しい歴史教科書』問題が、かまびすしい。なぜ、韓国や中国はあんなに危険思想視するのか。小泉首相の「靖国参拝」問題に関しても、なんであれほど明白な内政干渉ができるのか。ましてや、そのような外国の理不尽な物言いに賛同して大騒ぎしている日本人の一部の精神構造はどうなってしまっているのだろうか。本書は、そのような疑問に真摯に、そして明確に答える、国民必読の評論である。大東亜戦争に敗北し、降伏した日本は、勝者である連合国の暴力的なマインド・コントロールによって、「自らの歴史に対する誇り」を傷つけられ、その痛手からいまだに回復できないでいる。この連合国のやり口とはいかなるものであったのか。そしてそれが現代日本人の精神構造にどんな影響をおよぼしているのか。著者は、つねにその検証を続けてきた。その成果として、確かに言えること、言わねばならぬことを、あらためて訴える。
昨日に続きます。P.76 から引用します。
第三節では、横田は、日本の自衛戦争論が完全に反駁立証された、という。この評文の副題に「自衛論を粉砕」とある所以である。
--日本は満洲事変以来の軍事行動を常に自衛の名目の下に弁護してきたが、その始終が自衛ではなくて侵略であったことが東京裁判によって立証された――という。〈ひとたび、 この判決を読むならば、いわゆる自衛権がまったく虚偽の宣伝にすぎなかったことがはつきりわかるであろう> --と、これも亦要するに判決を全く無批判に信ずると言っているだけである。
第四節はパリ不戦条約の解釈についてである。パリ不戦条約は周知の様に国際紛争解決の手段としての戦争を非とし、抛棄すると宣言してはいるが国家の自衛権を否定したものではない。 そして提案者の説明では一国の軍事行動が自衛権の発動としてのそれであるか否かの判断は当事国の判断・決定による、としていた。どんな国でも近代国家たる以上、自ら侵略を謳う国があろうはずはなく、いずれも自衛の名目の下に軍を動かすものであろうから、このことはパリ不戦条約が甚だ実効性を欠いた、不完全な国際条約であったことを示す弱点であろう。この条約を楯にとって一国の戦争を犯罪なりと弾劾することなど、元来できはしないのである。
ところが判決文では、横田の引用する如く、
〈自衛権のうちには、今にも攻撃を受けようとしている国が、武力に訴えることが正当であるかどうかを、第一次的には自分で判断するという権利を含んでいる。しかし自衛権は戦争に訴える国家に対して、その行動が正当かどうかを最終的に決定する権限を与えるものではない。これ以外のどのような解釈も、その条約を無効にするものである。 本裁判所はこの条約を締結するにあたって、諸国が空虚な芝居をするつもりであつたとは信じない〉
と述べている。これは日本にも自衛の権利は認めるがそれが正当であるか否かは又別だ、と言っているわけで、それならば元来不戦条約を楯にとるまでもない。ただ日本の戦争が正当であったか不当であったかを論ずればよいわけで、これも間接的に不戦条約の機能不全を断じていることになる。しかしまさかそんな判断を口にするわけにはゆかないから、そこで、パリ不戦条約が空虚な茶番劇でないとするためには、日本のした戦争が自衛権の発動であって、それ故パリ不戦条約に違反しないものだったなどと認めてはならないということになる。つまり日本を、自衛権の発動にはあたらない侵略戦争を起した国だと断罪しておけば、パリ条約という不完全な条約を締結した国々の顔がたつというわけである。その断罪を下す資格は戦争の勝利国であればよい、ということになろう。三百代言的詭弁とはこの様な論法をいうのだが、不思議なことに横田は自ら上記判決文の一節を全部引用して、これを〈痛烈な皮肉〉であると讃え、自らの軍事行動を自衛権の発動であると弁明した日本側の言分の方を〈三百代言的き弁〉と罵ったのである。
明日に続きます・・・
戦後民主主義関係資料
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