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12月12日は新聞休刊日

2022-12-12 05:30:16 | 社説を読む
今日は新聞休刊日なので、昨日のコラムから一部紹介します。
 
・ 札幌冬季オリンピックのテーマソングだった「虹と雪のバラード」はデュオ、トワ・エ・モワの歌声とともに、半世紀を経たいまも市民に愛されている。歌詞は「きみの名を書く オリンピックと」と結ぶ。1972年の五輪と前後して札幌は地下鉄が開通し、政令市に昇格した。飛躍の時を象徴する曲でもある
 
▲その札幌が2度目の招致を目指す2030年冬季五輪を巡り、動きがあった。国際オリンピック委員会(IOC)は、来秋に予定していた開催都市決定の再延期を決めた
 
▲東京五輪を巡る汚職など不祥事が札幌招致に与える影響が指摘されている。IOCは候補各地の気象条件を見極めるため延期したというが、汚職のほとぼりが冷めるのを待つため札幌に配慮したとの見方もある
 
▲これまでの招致活動は盛り上がりを欠いている。市は先日、税負担が想定より40億円増えるとの試算を公表した。国や日本オリンピック委員会(JOC)が東京五輪を真剣に総括しないようでは、地元の懸念は当然だろう
 
▲いま、札幌では地下鉄の多くの駅で「虹と雪」のメロディーを電車の到着時に流している。ムードを高める狙いからだが、懐かしい旋律が「夢をもう一度」との思いにつながるかは疑問である
 
▲東京五輪の次に大阪で万博を開き、札幌五輪につなぐ。昭和の日本と同じパターンを繰り返すことは、令和の日本に本当に必要だろうか。東京五輪の検証とともに、原点に立ち返り考える時間を与えてくれたかもしれぬIOCの再延期だ。
 
・ 「鶏卵の値段には痛切な思い出がいくつかある」。作家の大原富枝さんは若くして結核を病んだ。特効薬のない時代、療養には栄養が欠かせない。親は家で鶏を飼って卵を食べさせることにした。だが大原さん、欲しいのは東京の出版元から取り寄せる文芸誌代である。

▼病気の治療には大金がかかり、とても本を買ってとはいえない。そこで案じた一計が、毎日5個ほど生まれる卵から1個、2個

・ 明治生まれの詩人、坂村真民に『飯台』という詩がある。こう始まる。〈何もかも生活のやり直しだ/引き揚げて五年目/やっと飯台を買った〉。荒廃と貧困、飢えと渇き。戦争はいつの時代も、生々しい爪痕と寒々しい現実を残して去っていく。

▼詩人は朝鮮で教職に就き、そこで終戦を迎えた。妻と3女、家族5人の暮らしは苦しかったという。何もない居間の真ん中にようやく迎え入れた食卓は、一家の光源となった。「あしたの御飯はおいしいね」。喜びのうちに娘たちは眠りについたと、詩人はつづる。

▼現在進行形の戦地は厳しい冬を迎えた。ロシア軍に送電網を破壊されたウクライナの窮状が連日、伝わってくる。最も寒い時期にはマイナス20度を下回る日もあるという。先の国連安全保障理事会では、数百万人の命が危険にさらされているとの警鐘が鳴らされた。

 
・  この一年を象徴する出来事や言葉などが発表される季節となった。米タイム誌が選んだ今年の顔はウクライナのゼレンスキー大統領。今年はやはりその人か。ロシアによるウクライナ侵攻の一年であり、当初の劣勢にもひるまず戦い続けている人である
 
▼英オックスフォード辞典の選ぶ今年の言葉。こちらはウクライナの緊張とは縁のない言葉が選ばれた。「ゴブリン・モード」。トールキンの『ホビットの冒険』を連想する人もいるが、ヨーロッパ伝承の妖精や小鬼になじみのない日本人にはゴブリンのような生活態度と言われてもピンとこない
 
▼なんでも怠惰で気ままなやりたい放題の生活やふるまいを意味するそうだ。朝寝、朝酒、朝湯が大好きな「小原庄助さん」みたいだがコロナ禍と関係があるらしい
 
▼感染対策で自宅での生活が続いた。コロナがやや落ち着きを見せ、「普通の生活」に戻らなければならないが、人目を気にしない生活が忘れられない。「ゴブリン・モード」にはそんなニュアンスも含まれているらしい
 
▼分からないでもない。きちんとしていることを絶えず期待される世の中がどうにも気詰まりでちょっと背を向けたくなる。その言葉がはやった背景だろう
 
▼皮肉な見方をすれば平和でぜいたくな言葉かもしれない。ミサイル攻撃による電力不足で寒さに震えるウクライナでは「ゴブリン」にはなれまい。
 
※ いつも言うことですが、短い文章で内容があり、しかもニヤッとさせる・・・こんな文章を書けるようになりたいですね・・・ 

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