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吉浜勇次郎/ものづくり中部の革新者たちⅢ

2022-10-15 06:40:59 | ものづくり・まちづくり

ものづくり中部の革新者たちⅢ より 吉浜勇次郎を紹介します。

去る2022(令和4)年9月10日(土)に名古屋都市センター(金山南ビル内) 11階「まちづくり広場・企画展示コーナー」で行われた、第17回パネル展 での学びを振り返ります。

ここから http://csih.sakura.ne.jp/panerutenn.html

今回は、吉浜勇次郎 責任観念が旺盛-豊橋麻真田製造創始と県下初の工業組合発足と発展に邁進一 

ものづくり中部の革新者たち Ⅲ
2.技術の革新者 (2)


吉浜勇次郎 責任観念が旺盛 -豊橋麻真田製造創始と県下初の工業組合発足と発展に邁進一

■横浜から豊橋へ移住
吉浜勇次郎は、 1869(明治2)年7月2日、現・横浜市保土ケ谷区の一農家で出生する。 頭脳明晰で、 駒場農学校(現・東京大学農学部) に学ぶが、中退して横浜でリンネル (亜麻を原料とした織物) 加工業を創業する。 しかし事業に挫折して家督を弟に譲り、 1905(明治38) 年に妻子とともに豊橋に移住する。 移住した理由は、当時ここが麻糸や麻製品の集散地と知られていて、漁網やローブなど、 麻を原料とした産業が盛んだったからであろう。 吉浜が豊橋で最初に手掛けた仕事もリンネルハンカチの糸抜き業であった。 そして間もなく麻真田の将来性に目を付け、 豊橋で最初となる麻真田業を立ち上げることになる。 1909(明治2)年のことであった。

■麻真田とは
麻真田とは何であろうか。豊橋で作られた麻真田の製品は、そのほとんどが婦人用の帽子 (写真参照) の料となった。 しかも圧倒的にアメリカや欧州向けの輸出用であった。
原料の多くはフィリピン ダバオ産のマニラ麻が用いられた。 強靭さと帽子に必要な弾力性を備えていたことによる。 その製法は、 製紐機 (写真参
照)という機械を使って、7つのカンザシと呼ばれる部品に原料の麻糸を巻いたポピンを取り付け、 右回りと左回りのカンザシが交差することによって糸が組まれていく (図参照)。 すなわち織物でなく平たい組物 (組紐、 図参照) となるところに特徴がある。 7本のカンザシで作られる真田紐を7本打ちと呼び、 これが最も細い紐となる。 13本打ち、 17本打ちと増えるに従い幅広の紐となる。 帽子にするにはこの細く平たい紐の端同士を順次縫い合わせて仕上げていく。 これに使われたのが環縫いミシンである。

■愛知県下で最初、全国でも二番目の工業組合を設立
真田紐製造の嚆矢は、英国の麻真田取引商から照会を受けて、 川崎の鳥養商店と横浜の上滝商会が製造に成功した1908(明治41) 年とされる。 また麻真田の製造機である製紐機の国産も1年後の1909年と言われるが、 横浜で麻真田の輸出が始まるのもこの頃であった。 豊橋で吉浜が創業したのはこうした出来事が重なったときであった。
吉浜の豊橋での最初の活躍は、 麻真田が輸出品として有望ということを広めたことである。 創業2年後の1911(明治44)年には豊橋での麻真田業者は20名、 設置された製紐機は1,300台と、 急速にその数を増やしている。 豊橋での麻真田生産額は、大正から昭和の時代にかけては製糸や玉糸に次ぐ第3位を誇り、 1933(昭和8) 年には全国的にも先進地の神奈川や新潟をおさえて第1位の産額 (全国比40%) を記録する。
吉浜の最大の功績は、重要輸出品工業組合法が発布された翌年の1926(大正15) 年に、 豊橋輸出麻真田工業組合 (理事長就任)を設立したことであった。 これは同法に基づく愛知県下最初の工業組合となり、 全国的にも2番目の設立であった.
しかし麻真田は、 多くが輸出品であったことから世界情勢や好不況の波をもろに受けた産業でもあった。こうした折、 東奔西走していた吉浜は上京中の日本輸出麻真田工業組合連合会本部で倒れ帰らぬ人となった。 吉浜は最後まで麻真田産業発展のために動き続けた人物であった。
(天野武弘)

 


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