・ ベラルーシ 公正な選挙で出直せ
・ ベラルーシ 政権は抗議の声に耳を傾けよ
・ 軍事協定は日韓共通の利益だ
・ 脅威を増す夏 「適応策」第一に転換図れ
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有力な候補を締め出した選挙で、自らの圧勝をうたう。抗議デモを容赦なく力で弾圧する。もはや正常な感覚を失ったとしか思えない。
ロシアとポーランドの間にある内陸国、ベラルーシが揺れている。26年間、大統領職を続けるルカシェンコ氏(65)が自らの地位を守ろうと、露骨な強権をふるっているからだ。
今月に大統領選があったが、反政権派の有力者たちは逮捕されたり、立候補資格を奪われたりした。前回まで認めてきた国際選挙監視団の活動も、今回は受け入れなかった。
排除された反政権派の妻、チハノフスカヤ氏が「公正な選挙の実施」の一点を公約にして立候補した。健闘が伝えられていたが、選挙後、選管はルカシェンコ氏が8割の得票で6選を決めたと発表した。
多くの市民がデモに立ち上がったのも無理はない。長い圧政の間、ロシアに依存する経済は低迷してきた。最近のコロナ禍では、感染対策として「ウォッカを飲め」と勧めるなど、無策ぶりを露呈した。
国民の街頭行動を武力で抑え込み、死傷者も出した今、政権の正当性が消失したことは明らかだ。公正な選挙をやり直して新たな指導者を選ぶほか、事態打開の方策はないだろう。
続いて読売です。
デモの背景には、長期政権に対する不満の高まりがある。
ルカシェンコ氏は旧ソ連時代の末期に国政に進出し、1994年から四半世紀余りにわたって大統領の座にある。社会と経済の安定を維持してきたことは確かだが、強権的な政治手法から「欧州最後の独裁者」と呼ばれてきた。
3選禁止の憲法条項を2004年に廃止し、昨年の下院選では野党系の運動を制限して、大統領系候補に議席を独占させている。
近年はロシアに依存する経済の低迷が続く中、ルカシェンコ氏は新型コロナウイルスの危険性をことさら軽視する発言を行い、不信が広がっていた。旧来の支持者も離反し始めたのではないか。
大切なのは、ベラルーシの隣国ウクライナを巡り、欧米とロシアが影響力を競い合った事態の再現を避けることである。ロシアが14年にウクライナのクリミアを併合して以降、ロシアと欧州連合(EU)の関係は大きく悪化した。
EUは、ベラルーシ大統領選の結果を認めず、デモの過剰な取り締まりを非難する一方、内政への干渉を控える姿勢も目立つ。ロシアに軍事介入する口実を与えたくないからだろう。
独裁は結局ダメですね。