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【オススメ書籍】 エピクロス―教説と手紙 https://amzn.to/36cRpSe 【関連した過去動画】 西洋哲学史 古代ギリシャ哲学解説【デモクリトス】【インスタント哲学】 https://youtu.be/HdCsB8_Rjdo とっつきづらい哲学や心理学の内容を、出来るだけわかりやすく完結に お伝えすることを目的としたチャンネルです。 チャンネル登録、高評価、拡散、ぜひぜひ宜しくお願いいたします。 Twitter https://twitter.com/tetsugaku_ch ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・エピクロスの生い立ち エピクロスはアテナイの植民地であったサモス島に生まれました。 エピクロスの両親は移民だったため、 その生活はとても貧しかったと言われています。 その後、18歳の時に兵役で2年間アテナイに上京し、 その際にアカデメイアなどで講義を受けました。 兵役が終わるとアテナイを出て家族のもとに戻ります。 そしてデモクリトス派の哲学者であるナウシパネスに師事し 様々なことを学んだと言われています。 エピクロスが30歳の頃。 レスボス島にて学校を開きますが、迫害を受け、 翌年にラムプサコスに移り、そこで弟子を取るようになります。 そしておおよそ5年後、弟子たちとともにアテナイに戻り、 そこで庭付きの小さな家を購入し、弟子たちと共同生活を始めます。 この家はよく【エピクロスの園】と呼ばれます。 その後は、友人を訪ねる旅行以外はほとんどこの庭園で過ごし、 紀元前270年に72歳でこの世を去ります。 ・快楽主義 エピクロスは 『人生の目的は快楽であり、快楽こそが最高の善である』 と説きました。 つまり、快楽を追い求めることが、 一番幸せな生き方なんだよと言っているわけですね。 このことからエピクロス派の思想を 【快楽主義】と呼びます。 エピクロスは自身に弟子入り志願してくる希望者を 男女分け隔てなく庭園に招き入れました。 その中には娼婦だったものも少なくありませんでした。 同時に、エピクロスの思想から、その生活は社会と断絶されており ほとんど庭園の外には出なかったと言われています。 普通に想像したら、庭園の中では何やら怪しいことが 行われていると考えてしまいますよね。 当時もそうだったようで、特にもう一つの派閥 【ストア派】が徹底した禁欲主義だったため (そのやっかみからか) エピクロスは毎晩とっかえひっかえ女性と寝ているとか 暴飲暴食して嘔吐していたとか、 根拠のない噂を流されるようになります。 このような反対勢力の活動もあってか、 エピクロスの快楽主義はときに、禁欲を全くしない 自由奔放な生き方だと捉えられることもあります。 しかし、実際のエピクロスの生活は質素なものでした。 食事は弟子たち含めパンと水のみ。 酒もほとんど飲まず、たまにチーズがあればそれが豪華な食卓になる。 また、性交に関しても『それが人間の利益になることはない』という言葉が残っており 過剰な性交には否定的だったと言われています。 では、エピクロスの言う快楽とはどんなものなのでしょうか。 エピクロスは魂の快楽を追い求めるべきだ。と言いました。 魂の快楽とは『平穏な心の状態』(アタラクシア)であり、 それを手に入れるためには生きていく上での欠乏をなくし、 それ以上の不必要な欲望に心が乱されることを避けるべきだと。 つまり、喉が渇くとか、お腹が空くとか、寒いとか、痛いとか。 人生においての苦痛に関しては避ける努力をして、 一定の生活ができているならば、もっとお金が欲しいとか、 もっとモテたいとか、もっと偉くなりたい。などの 無駄な欲望からは脱却せよ。 そうすれば魂が安定して幸せに生きることができる。 と考えていたわけですね。 エピクロスは物事には以下の3つのパターンがあると言いました。 ・自然かつ必要不可欠なもの ・自然だが必要不可欠ではないもの ・自然でもなく必要不可欠でもないもの 【自然かつ必要不可欠なもの】に関しては 食事や住むところ、着るものなどですね。 【自然だが必要不可欠ではないもの】に関しては もっとおいしいご飯が食べたいとか、もっと良い家に住みたいとか いわゆる贅沢ですね。 エピクロスは、ここを追い求めるとキリがないので、 このような感情は捨てるべきだと考えました。 【自然でもなく必要不可欠でもないもの】に関しては 名声や権力などですね。これは論外です。 つまり【自然かつ必要不可欠なもの】のみで生活をし、 それ以上は求めない。 これによって魂が安定し、幸せな生活ができるわけです。 少し難しく言いましたがもっと簡単にいうと、 自然に生きるのが一番良くね? って話ですね。 エピクロスはこのような生き方のことを一言で 『隠れて生きよ』と表現しました。 この考え方は現代で言うと、 断捨離やミニマリストにつながる思想と言えそうです。 無理をして禁欲をするわけではないけど、 必要最低限の生活でそれに満足する。 過度に社会や政治との接点を持たない。 普通に現代でも通用する考え方ですし、 むしろそのような生き方は今後のベーシックになるかもしれません。 2000年以上も前の時代に、多くの人々に受け入れられたのも 納得できる気がします。 エピクロスは現実主義者でもありました。 デモクリトスを源流とする師を持つだけに エピクロス自身も原子論者であり、 人間の体も原子でできていると思っていました。 そのため、死んだ後には魂ごと消滅すると考えていました。 そのような思想から、 『みんな死を恐れてるけど、死んだら無になるんだから、 痛いとか腹減ったとかなくなるじゃん。 じゃあさ、快楽主義の観点から考えると、 死んだ後ってむしろ最高なんじゃないの。 ってことは死って何も怖くないよね』 そのような思想を持っていたとも伝わっています。 正誤はともかく、 個人的には今の時代だからこそ再注目したい思想。 それがエピクロス派の思想だと感じています。
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