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西洋哲学史 古代ギリシャ哲学解説【ソクラテス】後編/哲学チャンネル

2021-05-17 06:10:27 | 哲学の窓

哲学チャンネルより 西洋哲学史 古代ギリシャ哲学解説【ソクラテス】後編を紹介します。

ここから https://www.youtube.com/watch?v=TQ_uSG-aUm8

【オススメ書籍】 ソクラテスの弁明 クリトン (岩波文庫) https://amzn.to/2zVLvJq ・西洋哲学史 古代ギリシャ哲学解説【ソクラテス】前編 https://youtu.be/s9_qTvbURZI
 
とっつきづらい哲学や心理学の内容を、出来るだけわかりやすく完結に お伝えすることを目的としたチャンネルです。 
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・徳倫理学 徳倫理学とは 行為の「善さ」や「正しさ」について、その行為そのものではなく、 行為者の性格・徳に焦点を当てて議論する倫理学の分野 のことです。 ソクラテスは様々の対話の経験から、 自分も他の賢者も無知であること自覚し 知について探究を深めていくのですが、 それと並行して『善く生きるとは何か?』 という人間の生き方自体の探究を進めていったと言われています。 その中から出てきたものが徳倫理学なのです。
・善く生きるとは何か ソクラテス曰く善く生きるとは 『自分の魂をより優れた善なるものにする行い』 のことだと解釈しました。 人が生きていく上で必要な要素は 魂・身体・金銭の3つに分けられるとし、 幸福な人生を歩むためにはこの3つの要素が 必要だと考えました。 この考えを『三位一体』と呼びます。 しかし、それぞれの要素が同等に重要なのではなく、 その中でも『魂』の重要性が一番高いとし、 極端に言えば、体が不自由でお金がなくても、 その人の魂が善いものであれば それは善く生きていると言えるし 幸せな人生だと解釈できると考えました。 事実、後述するソクラテスの最後は それを体現するようなものだったので とても説得力のある考え方ですね。
・四元徳 善く生きるためには魂を善なるものにする必要があるわけですが、 具体的に何をすれば魂が『善く』なるのでしょうか。 ソクラテスの弟子であるプラトンはそれを『四元徳』としてまとめました。 すなわち 知恵・勇気・節制・正義 この4つの『徳』を習得することによって、 魂が善いものになり、 その徳の力が発揮されたときに『善く生きる』という 人間にとって幸せな人生がもたらされると考えたのです。 つまり、善悪についての正しい知識を持った上で、 節制のある規則正しい生活を送り、善い行いを勇気を持って行動に移し、 悪い行いは正義を持って断固拒否する。 このような生き方が『善い生き方』であると捉えたのです。 ・知徳一致 では四元徳を習得するためには何が必要なのでしょうか。 ソクラテスは知の探究が必要だと言いました。 言い換えると哲学が必要だと。 つまり、幸せに生きるためには魂をより善くしていく必要があり 魂をより善くしていくためには徳を得ることが重要で、 その徳を得るには哲学的活動によって知を探究する必要があるのです。 このような『徳は知である』という考えを【知徳一致】と呼びます。 しかし、この考えには少しだけ穴があります。 例えば、十分に知識を身に付け、善悪を判断できる人が 悪い行為を行わないという保証はありません。 善悪を知った上で悪を選ぶ場合も考えられるので そう捉えると知識の探究が必ずしも善い魂を生み出すとは 言い切れなくなってしまいます。 このようなパラドクスにもソクラテスは一つの回答を用意していました。
・知徳一致のパラドクス 例えば、月は太陽よりも近くにあることは誰でも知識として知っています。 しかし、実際にそれを自分の目で確かめた人はほとんどいないですよね。 このように、知識には知っていても利用しない。 というケースが数多くあります。 それと同じように、Aは善くてBは悪い。という知識を持っていても それを知った上でBを選択する人がいてもおかしくありません。 しかしソクラテスはこのようなことはありえないと主張するのです。 Aが善くてBが悪いと知っているならば必ずAを選択すると。 それが知徳一致の基本的な考え方なのです。 でも、これって感覚的になかなか受け入れられないですよね。 そこについてソクラテスはこう考えました。 例えば、夜更かしをすると次の日に辛くなる。という知識があります。 その知識は多くの人が持っていますが、実際には夜更かしをしてしまう 人は少なくありませんよね。 ソクラテスに言わせるとこの状態は『本当は知っていない』状態なのです。 真に『夜更かしをすると次の日辛い』と知っていたら その行動は絶対に選ばない。 完全なる知には感情や理性などの偶発性は付け入る隙がないのです。 悪いことをするのはただ単に知識が足りていないだけなのです。 ですから、ただ単に知っているだけの知は徳とは呼べないということです。 知っているだけの知とそれを十分に吟味した知(徳)の間には 大きな溝があると考えたのです。
・知行一致、福徳一致 このような『正しい知識を持っていれば正しく行動することができる』 という考え方を【知行一致】と呼びます。 そして、正しく行動できる知(徳)を持つことが人間としての幸福につながる。 という考え方を【福徳一致】と呼ぶのです。 まとめると、 『善く生きる』とは魂を優れた善なるものにする行いであり、 魂を善くするためには四元徳を習得することが必須であり、 徳を習得するには知を探究する(哲学)必要があり、 真なる知識を持っていれば善い行いを実践できるはずであり 善い行いを実践することが善く生きると同義だから、 それにより人間は幸せな人生を実現することができる。 ソクラテスはこのように考えました。 だからこそ、受動的に知っている知識ではなく、 真なる知識を見つけさせるために多くの若者と対話を繰り返したのです。
・ソクラテスの最後 プロタゴラスが相対主義を唱え、ソフィストが力を持ったことで 当時の世の中は意見が強い人の【真理】がまかり通る危険性を孕んでいました。 それが政治の腐敗にも繋がっていて、 ソクラテスはその状況を変えなくてはならないと考えていました。 そして、賢者との対話で賢者の無知を露見させ、 若者との対話では、産婆術により若者の中に眠っている徳を掘り起こし 善い魂を持った政治家を増やそうと苦心していました。 しかし、当然ながらソクラテスはあらゆる有力者に恨まれます。 それもそのはずですね。公衆の面前で恥をかかされたわけですから。 そうして、ソクラテスは若者たちを誑かし、 国家を混乱させた罪で死刑の判決を受けます。 死刑判決を受けたソクラテスは、友人の助けもあって 死刑執行前日に逃げ出すチャンスを手に入れます。 しかし、ソクラテスは 「ここで逃げ出したら信念を曲げることになる」 と逃げるのを拒否し、毒を飲み、その生涯に幕をおろします。 その辺りのお話がプラトンの『ソクラテスの弁明』で紹介されています。 この本は非常に読みやすく、ボリュームも多くないので ぜひ皆さんにも読んでいただきたいです。 ソクラテスの人物像がとても良くわかると思います。 相対主義が浸透し 『物事の本質なんて考えても意味ないよね』 とみんなが思っている中で 「そうじゃない!物事の本質を探すのが哲学であり それは人間にとって絶対に必要なものだ!」 と、人生を通して主張し続け行動し、 そしてその信念を曲げることなく死んでいったその勇気と思想は その後の哲学者に大きな熱量を与えたことは間違いないです。 ソクラテスが現代でも哲学史の中で語り継がれているのは、 語った哲学内容が優れていたのもあるけれども、 それ以上にその姿勢と矜持が数多くの哲学者を動かしたことに 功績があるからだと考えています。
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