小学館ウィーンフィル魅惑の名曲 vol.25 ベームの第九を聴き直しました。
ベートーヴェン生誕200年を記念して、交響曲全集を録音した時の1曲です。
ラフマニノフの時に、ラトルの演奏が「何を言おうとしたか分からないからつまらない」というようなことを書きました。
この言葉は、ベームの第九では当てはまりません。
ベームの演奏は、「まさにこれが第九」という、きわめてノーマルな演奏です。
誇張はなく、幾分遅い?というぐらいで、個性も特に感じられません。
しかし、すばらしいのです。「これが第九なんだ」と、再発見したと言えるほどです。
バトンテクニックもお世辞にも華麗とは言えません。
法学博士らしく、真面目で、練習中でも厳しそうです。
しかし、出てくる音楽はきわめて自然で、この第九では高い精神性を感じます。
楽団員が、ベームを敬愛し、ベームの一挙手一挙手が敏感に反応していることがうかがわれます。
この盤はレコード・アカデミー賞に輝いたそうですが、そんなことも当然すぎるほどの名盤、名演なのです。
年末には、毎回聴くつもりです・・・。