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南北統一:「転換の谷間」期間短縮を

2011-09-27 06:11:40 | 日本を見つめる世界の目
北朝鮮は、あと数年でなくなるのでは?と述べましたが、韓国では、統一の具体的なシナリオが誌面をにぎわしています。

朝鮮日報から引用します。

南北統一:「転換の谷間」期間短縮を
http://www.chosunonline.com/news/20110926000049

韓半島先進化財団・本紙共催「第4回南北統一フォーラム」
 韓半島(朝鮮半島)先進化財団と本紙は23日、「統一能力と統一コスト」をテーマに第4回南北統一フォーラムを共同で開催した。今回のフォーラムでは「従来の統一コストに関する議論は、統一に対する否定的な認識や恐怖心だけをあおってきた」という共通の問題意識の下、統一コストの実態をきちんと把握しようという意見が多数飛び出した。


■「統一は利益になる」


 フォーラムの出席者は、これまでの議論で統一コストが「北朝鮮の一人当たりの所得を韓国の一定レベルまで引き上げるために投資する金額」と定義されていたことについて問題提起した。ドイツの統一コスト(20年間で2兆ユーロ=現在のレートで約207兆円)はこのように計算されたものだった。


 梨花女子大学のチョ・ドンホ教授は「純コスト(net cost)で定義すべき統一コストを、総コスト(total cost)で定義したため、実際のコストを大幅に膨らませる結果になった」と指摘した。統一に必要な費用を全て合算した総コストから、統一によって発生する便益(利益)を差し引いていないため、実際にかかる費用の方が過大に計算されているという意味だ。


 同教授は「統一便益は、統一韓国が存続する限り永久に発生するため、その額は理論的には無限大。(有限な統一コストから無限の統一便益を差し引いた)純コストはマイナス」と述べた。つまり、統一によって「利益が出る」ということだ。


 ソウル大学のイム・ヒョンジン教授は「統一コストに比べ統一便益の方が多くなれば、その差は統一の恩恵と言える」とし「統一利益=統一便益-統一コスト」という式が成立するとの考えを示した。


 高麗大学のチョ・ヨンギ教授は「投資的な性格ではない、消耗性の費用だけを統一コストと見なすべき」とし、統一初期の危機管理・北朝鮮の私有化支援・北朝鮮の対外債務返済にかかる費用だけを統一コストと定義すべきと主張した。

■「転換の谷間」を乗り越えよ


 政府の統一財源準備案を研究してきた統一研究院や対外経済政策研究院などの機関は、「2031年に統一が実現すれば、最初の1年間で55兆‐249兆ウォン(約3兆6000億‐16兆3600億円)の体制統合コストが必要となるだろう」という研究結果を先月発表した。


 イム・ヒョンジン教授は「この金額がどれだけ正確かは分からないが、統一初期に負担する費用がかなりの額に上ることは間違いない。統一コストの問題は『転換の谷間』を生む」と述べた。同教授によると、「転換の谷間」とは統一の恩恵がマイナスからプラスに転じるまでの期間を意味する。同教授は「『転換の谷間』は私たちが克服しなければならないハードルの一つに過ぎない。『転換の谷間』を通過するまでの時間をどれだけ短縮できるかがカギだ」としている。


■重要なのは統一コスト削減策


 統一コストの計算ばかりに重点を置いてきた従来の研究に対し、反省の言葉も相次いだ。未来戦略研究院のク・ヘウ理事長は「コストの計算よりも焦点を合わせるべきなのは、統一の過程をどのように導き、管理していくかだ。そうした取り組みの中で統一財源を削減する方法を研究していかなければならない」と主張した。


 西江大学のチョン・ヨンチョル教授も「統一コストを削減できる統一政策を前提に置いて議論しなければならないが、これまでは会計学的な議論ばかりだった」と指摘した。


 チョ・ドンホ教授は統一コストを「妻の手術費用」に例えた。同教授は「妻がいつ、どんな病気にかかるか分からないのにひたすら予備のお金をためるよりも、病気にならないよう普段から運動や食事に気を付けるほうがいい。それと同じように、韓国経済を量的・質的に健全に成長させる一方で、統一コストを減らす対北朝鮮政策や外交政策を模索することの方が重要だ」と説明した。


■「統一コスト負担能力ある」


 チョ教授は「韓国の国内総生産(GDP)は1兆ドル(約76兆5500億円)で、1年間の予算は約3000億ドル(約23兆円)。北朝鮮の食糧難は3億ドル(約230億円)あれば解決する。統一初期の緊急救援費用くらいは事前に用意しなくても通常予算の範囲内で調達可能だ」と見通している。


 対外経済政策研究院のユン・ドクリョン専任研究委員は「統一コスト全体がいくらになるかも分からないまま費用を準備しても抵抗感を増幅するだけ。少なくとも統一初期の3カ月、6カ月、1年間と早急に必要な金額を準備すべきでは」と話している。


■「転換の谷間」とは


 統一初期における韓国の経済成長は、統一しなかった場合に比べ低調に傾く。統一コストが統一便益を圧倒するためだ。しかし、統一便益が将来も継続的に発生するのに対し、統一コストは徐々に減っていき最終的には消滅するため、いずれは韓国の経済成長が統一しなかった場合の予想値を上回る時期が来る。このように、統一の恩恵(統一便益から統一コストを引いた額)がマイナスからプラスに転換するまでの期間を「転換の谷間」という。


李竜洙(イ・ヨンス)記者



南北統一:「北を改革・開放に導けばコスト削減可」
http://www.chosunonline.com/news/20110926000052
第4回南北統一フォーラムに出席した複数の専門家は、統一費用を画期的に削減する最も効率的な方法として「北朝鮮の改革・開放」を挙げた。


 統一直前の東西ドイツの経済力格差は9.7倍と言われたが、韓国と北朝鮮の経済規模は40倍以上の大きな差がある。ソウル大学の林玄鎮(イム・ヒョンジン)教授は「この点を考慮すれば、改革・開放による北朝鮮の堅実な経済成長こそ、統一費用の削減策として最も効率的だ」と主張する。


 林教授は「これまでは統一費用に関する議論の際、北朝鮮の変化、つまり改革・開放や体制の転換に目が向けられることはなかった」「統一費用に関する議論を行う前に、北朝鮮をどのように改革・開放に導くかについて検討する必要がある」と語る。


 未来戦略研究院のク・ヘウ理事長は「統一費用は統一の過程をどのように想定するかに大きく左右される」「具体的な戦略について検討する次元であれば、北朝鮮を改革・開放に導くことが、費用を抑えるための核心的な方法だ」と主張した。

 ク理事長はその具体的な方法として「北朝鮮の幹部集団内に改革・開放勢力を育成する方向で、政府の予算編成をより深く考えねばならない」「北朝鮮での特区開発を韓国が積極的に支援することも、北朝鮮の改革・開放を促すための重要な手段だ」などと提案した。さらに「北朝鮮の改革・開放は、北朝鮮指導部がどう考えるかに関係なく進められるに違いない。ただしその幅や深さに関しては、北朝鮮と中国との間で綱引きがあるだろう」と予想した。

 梨花女子大学のチョ・ドンホ教授も「来年から強盛大国の門を開くと公約を掲げる金正日(キム・ジョンイル)体制は、過去のスローガンだった“先軍政治”にこだわるのではなく、ある程度は開放に向けて乗り出す以外にないだろう」と指摘した。

■第4回南北統一フォーラム出席者


 ク・ヘウ未来戦略研究院理事長、クォン・テジン韓国農村経済研究院副院長、キム・ソクチン産業研究院研究委員、朴世逸(パク・セイル)韓半島(朝鮮半島)先進化財団理事長、尹徳竜(ユン・ドクリョン)対外経済政策研究院専任研究委員、イ・ヒョウォン・ソウル大学教授、林玄鎮(イム・ヒョンジン)ソウル大学教授、チョン・ヨンチョル西江大学教授、趙建植(チョ・ゴンシク)韓国キリスト教育大学校特任教授(元統一部次官)、チョ・ドンホ梨花女子大学教授、チョ・ヨンギ高麗大学教授

金真明(キム・ジンミョン)記者


南北統一:「段階的な統合で費用軽減」
http://www.chosunonline.com/news/20110926000051
「机上の空論」との反論も
 韓半島(朝鮮半島)先進化財団と本紙が23日に共同開催した「第4回南北統一フォーラム」で、南北統一費用の負担軽減に効果的な方法として「段階的な統合」が議論された。

 産業研究院のキム・ソクチン研究委員は「ドイツ式の急速な完全統一より、部分的・段階的な統合の方が北朝鮮地域の産業化に有利な環境を作り出し、財政支出も抑えられる」と指摘した。ドイツのように、労働市場の統合(移動の自由)、通貨統合、社会保障制度の統合を同時に実施する完全統一を選択した場合、北朝鮮地域の賃金は一気に急騰し、結果的に北朝鮮地域に対する投資の冷え込み、大規模な失業を招きかねない。そうなれば、北朝鮮地域の産業発展が遅れ、むしろ統一費用の負担が大きくなるというわけだ。

 梨花女子大学のチョ・ドンホ教授は「これまでに見積もられた統一費用の平均は年間800億ドル(約6兆1300億円)だが、この費用が必ずしも必要になるわけではない。統一費用は統一時点での韓国の経済能力に応じ、いくらでも調節が可能だ」と述べた。また、ソウル大学のイム・ヒョンジン教授は「北朝鮮を『特別経済地域』に指定し、労働力の移動をある程度制限するという管理方法も考慮すべきだ」と指摘した。同大学の李孝元(イ・ヒョウォン)教授は、韓国と北朝鮮の法律適用問題について言及し「一時的に北朝鮮の法律の適用を認めるか、北朝鮮地域に特別行政機関を置くことを検討する必要がある」と述べた。

 韓国農村経済研究院の権泰進(クォン・テジン)副院長は、農業の段階的な統合を訴えた。同氏は、北朝鮮の農業管理体系は最終的に韓国の自作農中心体制にシフトするようになるが、統一初期は北朝鮮式の協同農場を解体せず、段階的に改編していくべきとの見解を示した。協同農場を一定の間存続させることで、北朝鮮人口の37‐38%を占める農村住民の雇用と所得を維持できると同時に、都市への移動を抑える効果があると説明した。

 これに対し、対外経済政策研究院の尹徳竜(ユン・ドクリョン)先任研究委員は、東西ドイツ統一の際の通貨統合を例に挙げ、現実的には統合の「速度調節」は難しいと主張した。

 同氏によると、東西ドイツ統一の際、西ドイツの複数の経済研究所は、外国為替市場が安定を取り戻すまで通貨統合を先送りするよう求める報告書を提出した。だが、闇市では早くから通貨統合に対する期待感が膨れ上がり、東ドイツの通貨に対する需要が激増し、外国為替市場に大きな混乱を招いた。尹委員は、さらなる市場のゆがみと混乱を防ぐため、ドイツは通貨統合を早期に完了せざるを得なかったと説明し「韓半島統一についても、さまざまな統合を先送りする考えも理論的にはあり得るが、現実的には選択の余地は狭いと思われる」と述べた。


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