ロン・ハワード監督。
「ラッシュ!」に続いて主役に起用する。
マイティ・ソー一等航海士。船長と折り合いがつかず、漁船業界網本からいい様に使われて頭に来ている。その網本のバカ息子船長の
お守りを仰せつかって地獄の航海を体験する男。
ハーマン・メルビルに「事の真相」を話す男の若き日。
漁船業界の財閥のボンボンで新米船長。今回船員全員を凄惨な状態にしてしまう張本人。
主人公と幼馴染の苦労人。どこかで観たな…と思っていたら多分、ダニー・ボイル監督の「28日後…」の主役の人じゃない?
3Dで観ましたが、これがまた懐かしい撮り方をする人だと思いました。
3Dの出たてのまさに奇をてらったような撮り方。
クジラ獲り用の銛(もり)の先端をこれ見よがしに画面から観客の方へ突き出すように見せたりとか…
「上手い監督」なのでワザとこんな取り方しているのでしょう。
「ジョーズ」の二番煎じではないのはクジラとの戦いがジョーズのそれとは違うこと。
クジラとの戦いには完敗するのだ。
そこから地獄めぐりが始まるのだ。
3~4カ月ちかくの漂流。そしてカニバリズム。生き残る為に死んだ船員を食べて凌ぐ。
くじを引いて負けた奴が食われるある意味サバイバルゲームとか。
しかし、そこに悲惨さを感じないのはなぜなのか?
コワくない。気持ちも悪くない。凄惨さも感じられない。
オカシイ…。
生きる体力気力のなくなった親友を無人島に置き去りにしていくシーンも泣けない。
ロン・ハワードのやつはいつもそうなのだ。
こんな感じになるのだ。
題材もイイ。物語の内容もイイ。俳優も良くやってる。
でも物足りないのだ。
薄味なのだ。
サラッとしてさっぱり味なのだ。
だから、エグイ場面でも安心して見られる。
荒れ狂う海も怖くない。
例えば、漂流した死体しかいない無人島の洞窟で裸足で滑り降りていくところなんかは剥き出しの足がボロボロに
なると思うじゃない?「キャスト・ア・ウェイ」を観た人ならこの感じ分かると思うんだけど…。それがサラサラの
砂浜みたいになっていて痛みを感じる余地がない。
全体的にやっぱり薄味なのだ。
だたし、駄作じゃない。
やっぱり合格点は出せる監督だ。
未熟なトップが判断を誤ると船に関わってる全員が命の脅かされるのだということ。
そして日本人の感覚なのだろうか俺だったら最後巨鯨との一騎打ちで銛を打ち込むと思う。
あれをしなかったからカニバリズムになってしまったということもある。
巨鯨に留めの一撃やめて人間同士の食い合いを良しとする流れがピンと来ない。
でも観て元はとれる面白さはあるのだ。
アポロ13やラッシュなど題材もストーリーも合格点なのに永遠の一本!にはならないのがこの監督との俺との相性なのかも
しれない。