7、8歳のころだったから1974年ごろ。
父母に連れられて行った多摩川沿いのボーリング場を思い出す。
子供はそっちのけでゲームに夢中になっている親。
暇なので紙コップに注ぐタイプの自動販売機でコーラを買って飲み、
ゲームコーナーへ行くとピンボールばっかりだった。
誰もいないゲームコーナー。
200円かそこらをもらってゲームを始めるが下手くそなのですぐオーバー。
とにかくデザインが面白くて台を見ているのも面白かったが、ふと気づく。
自分以外だれもいない中ピンボールゲームの音だけが響く。
まるで生き物のように騒いでいるのが機械なのだ。
急に怖くなった。
室内から急いで飛び出し両親のレーンに戻ったが、
子供に関心のない親らはボーリング夢中だ。
無人のゲームコーナー室に一人きりでいる恐ろしさは今でも憶えている。
よくこれを思い出す。
怖がり少年がそのまま年を取ったらキューブリックのシャイニングに出合った。沖田浩之似の頭のいいクラスメートにスティーブン・キングの原作本があることを教えてもらった。
13歳から読んでいる。あっという間に55歳になった。40年以上裏切らないで読み続けているのはこの作家だけだ。