深溝

なぜ歌があるのか。

なぜ絵があるのか。

芸術とは。

なぜ、街を出て山へ行く。海出る。

暗闇の中で映画を観る。

なぜお前はそれを求める。

それは

人間と人間の間に埋めようのない深い深い溝があるからだ。

あがいてあがいて埋めようがなくなってやがて終わりが来る。

理解しようと思うな。

見つけようと思うな。

あると思うな。

ただ受け入れよ。

底の見えない真っ黒な溝を覗き込め。

自分に置き換える

新聞ニュースやらで大騒ぎになっている事故というか事件。

いろいろ想像を巡らせることができる

あずかり知らない数千万円の金が突然振り込まれたらどうするのか。

夜コンビニで乱暴者の輩に絡まれたらどうするのか。

誰にも話さずひとりでひそかに考える。想像をめぐらす。

そうチョロッと考えたじゃなくて、心臓がドキドキするくらいになるまで。

世の中には真っ黒の大きな穴が口を開けているのだ。

お前なら一体どうするのか。

こんな一人遊びをやってると本当の自分自身が久しぶりに現れてくるのだ。

対岸の火事だとみんな思っているから批判したくなるし馬鹿にするのだ。

呆然と立ち尽くす以外ないのでは。

これを機にふつうのありきたりの人生から大転換図るのか。

ここで会ったが百年目にできるか。果たして。

普段見て見ぬふりしている本当の自分の姿を見るのだ。