若さ万歳のこの国では失笑されることやぶさかではないが。
オジサンが100mダッシュも出来ず。40代に買ったTシャツも着れなくなり。
腕相撲も連敗して。視力も落ち続けて。失うだけ失い続けて。
夢実現も秒読み段階かもしれない。いや、もう遅いかもしれない。
が。
でも。
絵は見るもの。本は読むもの。バイクは乗るもの。年はとるもの。
そこらの若造には出せない、唯一のモノ。
何に勝てるか。
哀愁だろ。
そこで笑う人は、生きてきてなにも手放せなかった人。
なにも失わなかった人。
か。
すでに失って無いことを未だ気づいていない人だ。
だから、かつて落としたものを見つかりもせずに拾いに行く。街へ。
分かっているくせに行く。哀愁の街へ。