★ピケティ教授・・・資本主義では格差が拡大し続ける・・・ということを約300年の膨大なデータで証明
これまでいろいろな経済学者が自論とそれに都合が良い短い期間の一面的なデータだけで自己の理論を論じて来たのに対し、彼のグループの偉大なところは 約300年の膨大な税務データなどを大変な労力をかけて調べ上げ、分析して、実証したことです。
今「ピケテ、ィのパリ白熱教室」シリーズが教育テレビで放映されています。
彼は「資本主義ではほとんどの国で格差が拡大し続けている。
そして所得の格差も拡大しているが、それ以上に資産の格差が驚くほど拡大している。
また、近年は中間層の多くが貧困層に移行し、数%の富裕層に富が集中する傾向が強まっている。
その主因は 資本収益率 > 経済成長率 であるため、また資産が世襲されるためである」
また、「資本金額が大きいほど資本収益率は高くなる」
と説明していました。
これはまた、能力や働いた実績による格差以上に不合理な理由による格差が大きいことを示します。
そのため多数者の購買力が伸びず、消費が停滞し、経済成長が難しくなり、失業者や半失業者が増え易くなります。
やがて多くの人々にとって耐え難いものになり、治安が悪くなったりして余計なコストが増えると予測されます。
こうした傾向を是正しなければ、やがては社会が維持できないほどになると予測されます。
これに対し、歴代自公政権は逆に格差を拡大してしまうような政策を多用して来ました。
所得税の累進税率を引き下げて富裕層を喜ばせ、法人税の実行税率を下げて消費税率を上げる政策を採って来ました。
特に小泉政権で小泉・竹中の新自由主義コンビが「国際競争に勝つため」を口実に進めた派遣労働などの労働規制緩和が重大でした。
当時は米国が好景気で、円安でもあり、対米輸出が好調だったのに、中国などの新興国とも競争が激しくなるからと主張して、こんな企業本位の格差拡大政策を断行したのです。
その結果、企業の非正規労働者雇用は3割にも拡大し、年間収入200万円以下の労働者が大量に増えました。
また、その影響で正規労働者の賃金も上がらなくなり、長時間労働も改善されませんでした。
それ以降日本の労働者の平均賃金は長期に下がり続ける他国には見られない賃金デフレに陥りました。
その間に、大企業は285兆円もの内部留保を貯め込み、安倍政権下でさらに328兆円にまで増加させました。
一方、特に福祉削減策として小泉政権が行った医学部定員抑制政策はその後のひどい医師不足を引き起こし、大問題となりました。
少子化が進んでいるのに保育所はいまだに不足し、待機児童は解消されていません。 それが少子化の重大な一因だというのに・・・
教育予算も増えず、子供に教育費がかかり過ぎるという少子化の一因もそのままです。
親の経済格差で子供の教育格差も広がっています。
これでは世代を超えて格差の固定と拡大が起きるのは当然でしょう。
また、これでは少子化は止められず、今の年金制度は消費税を上げても維持できません。
アベノミクスの過剰な金融緩和は過剰な円安を誘導し、輸出大企業はぼろ儲けしました。
それなのに、さらに法人税率を下げようと準備しています。
しかし、庶民には物価高が押し寄せ、消費増税と合わせて実質所得が減少しています。
よほどの賃上げが非正規労働者にまで広く行きわたらせなければ、好循環は生まれません。
また大企業による下請け企業絞りもこれまで行き過ぎていたので、材料やエネルギーコストの上昇分や消費税UP分の転嫁を受け入れる必要があります。
なお、ピケティ教授は格差拡大の是正方法として、富裕層や大企業にもっと税金を課すべきと説きます。
一国でそんなことをしたら税金の安い国に移動してしまうからと言って、今各国は所得税の累進税率引き下げや法人税率引き下げ競争をしています。
しかし、世界の主要国が協力して同じ税率の法人税と富裕層の累進所得税と資産税(低率だが広く)を課すことに合意し、税金天国の政策を採る小国を許さず(合意しなければ経済的制裁を科すと言って説得するなど)実行すれば可能になる・・・と提案しています。
その実行が難しいからと言って簡単に諦め、各国が富裕層減税と企業減税で呼び込み・引き止め競争をし続ければ、それこそとんでもない世界大格差時代になってしまいます。
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