人生悠遊

写真付きで旅の記録、古都鎌倉の案内などを、周りの人の迷惑にならないように紹介していきます。

鎌倉を知る ーー 浄智寺 ーー

2017-02-05 16:55:15 | 日記

北鎌倉の円覚寺から東慶寺を過ぎた先に浄智寺があります。静かな禅寺の雰囲気がよく、人気のお寺です。この浄智寺、若くして亡くなった北条宗政の菩提を弔うため、宗政夫人とその子師時によって弘安四年(1281)に建てられました。開山は兀菴普寧、大休正念、南洲宏海の三人となっています。北条宗政は北条時頼の子で8代執権の北条時宗とは同腹の兄弟。その婦人は北条政村の娘です。実際にこの浄智寺が創建された時には、兄である北条時宗と一族の意向が強く反映されたものと思われます。

まず山門の手前にあるのが甘露の井。鎌倉十井の一つです。甘露とはサンスクリット語でアムリタ。不死、天酒という意味で、仏教では苦悩を癒し、長命ならしめ、死者を蘇らせるという、最高の滋味に譬えられています。そして山門からの景色が素晴らしく、鎌倉石の石段の先に観る鐘楼門の姿は心が落ち着きます。山門の扁額には「寶所在近」の文字があり、無学祖元が書いたともいわれています。調べてみると『法華経』の「化城喩品」にある言葉。悟りをもとめる旅にでた人々が疲労困憊し旅をやめようとすれば、導師は化城をつくり、一息ついて気力が蘇れば化城を消してしまう。ささやかな喜びやご加護的ご利益は本来の悟りではないが、本来目指すべき悟りへと導く手段として方便も生かされるということらしいです。北条宗政の兄である時宗は熱心に法華経を学んだようですが、自分を励ます言葉として選んだかもしれませんね。

鐘楼門をくぐれば曇華殿。ご本尊の三世仏が祀られています。この三世仏の本尊はめずらしく、そのためこのお堂は三千年に一度しか咲かない「優曇華の花」に由来して名前がつけられました。洒落ています。三世仏は、阿弥陀如来(過去)、釈迦如来(現在)、弥勒菩薩(未来)ですが、過去から未来にわたって願いを聞き入れてくれる大変ありがたい仏様です。曇華殿をお参りして、さらに四方竹が生えた竹林を過ぎれば七福神の布袋様に行きつきます。その話は別の機会にしましょう。

 

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