「容疑者Xの献身」 東野 圭吾著
昨年 かなり話題になったので
(第6回本格ミステリ大賞、第134回直木賞受賞作)
今頃読んだの?と思われそうですが・・・。
本当に面白かった
ドラマ、映画、小説でも「ミステリー」というと
犯人は誰か?ということでストーリーが展開しますが
この小説は 犯人はわかっています。
そして その母子を助けようとする「石神」という数学者が
主人公です。
これほどまでに 何の見返りもないのに
そして恋愛関係でもないのに 献身的になれるのか
「純愛」というのとはちょっと違うような気がします。
「無償の愛」と言うのは簡単ですが 哀しい結末です。
天才数学者といわれた石神の 絶対に見破れないトリックと
計算しつくした考えと行動、それが成功したかに思いましたが
彼が 計算外のあるいは計算できなかったことは
母子の心情でしょう。
重荷、負い目を一生背負って生きていくことは・・・。
ましてや 幸せになることなんてできない、という母子の
心情に 石神が思い至らなかったというのは 哀れです。
最初から最後まで 一気に読んでしまいました。
特に最後のほうは 石神がしたことは絶対に許されないことですが
それでも 石神の必死さに 何か救いがないのか
と思いました。