


浅見光彦が取材をした老人は、「金沢へ行く」と言い残して数日後、
安宅の関で死体となって発見された。
浅見は死の真相に近づくため、金沢へ向かうが、
老人の足跡は意外な場所で途切れていた…ファン待望、
浅見光彦シリーズ最新の書き下ろし長編。
浅見光彦シリーズの典型的な作品で 安心してスラスラと
読んでしまいました。泉鏡花『草迷宮』の話から物語が始まるので
泉鏡花にまつわる話かと思ったら あまり関係ありません。
『内灘闘争』という50年以上前の話にまつわる事件です。
私は全く知らない話で なおかつ石川県・内灘町が舞台で
なじみはなかったのですが、内田氏の読みやすい文章で
紀行文のような描写もあり 行った事もない内灘町

の風景が浮かんできました。
ですが、50年という年月の故か 殺人にいたる動機としては
ちょっと弱いかも・・・

「水戸黄門の印籠」のような「浅見刑事局長の弟」という
いつものパターンも今回は使われていません。
それから もうそろそろ浅見探偵は携帯電話を持っても良いのでは

小学生でも持つ時代に 取材旅行で飛び回っている立派な大人が
おかしいでしょう。いくら雪絵ママのご命令といってもね~。
でも前作の『壷霊』よりは 面白かったです。
長さも丁度良いし いつもの浅見光彦の落ち着きとクールさも
感じられたし 楽しめました。
浅見光彦シリーズは 常に登場人物が年をとりません。
いつでも浅見光彦は33歳です。でもこれだけ長期間
設定が変わらないと だんだん辻褄が合わなくなってきています。
ファンの一人としては 年をとった浅見光彦さんも
みてみたいですし、案外いいんじゃないかな~
なんて思っています。
