taimuのひとり言

毎日の生活の中で感じた事を 徒然なるままに・・・。

「砂冥宮」内田康夫著 読書日記

2009-04-14 21:44:42 | 読書


 「砂冥宮」内田康夫著
  文豪・泉鏡花『草迷宮』のモデルになった三浦半島の旧家で、
    浅見光彦が取材をした老人は、「金沢へ行く」と言い残して数日後、
    安宅の関で死体となって発見された。
    浅見は死の真相に近づくため、金沢へ向かうが、
    老人の足跡は意外な場所で途切れていた…ファン待望、
    浅見光彦シリーズ最新の書き下ろし長編。

  
   浅見光彦シリーズの典型的な作品で 安心してスラスラと
   読んでしまいました。泉鏡花『草迷宮』の話から物語が始まるので
   泉鏡花にまつわる話かと思ったら あまり関係ありません。

   『内灘闘争』という50年以上前の話にまつわる事件です。
   私は全く知らない話で なおかつ石川県・内灘町が舞台で
   なじみはなかったのですが、内田氏の読みやすい文章で
   紀行文のような描写もあり 行った事もない内灘町
   の風景が浮かんできました。

   ですが、50年という年月の故か 殺人にいたる動機としては
   ちょっと弱いかも・・・

   「水戸黄門の印籠」のような「浅見刑事局長の弟」という
   いつものパターンも今回は使われていません。

   それから もうそろそろ浅見探偵は携帯電話を持っても良いのでは
   小学生でも持つ時代に 取材旅行で飛び回っている立派な大人が
   おかしいでしょう。いくら雪絵ママのご命令といってもね~。

   でも前作の『壷霊』よりは 面白かったです。
   長さも丁度良いし いつもの浅見光彦の落ち着きとクールさも
   感じられたし 楽しめました。

    
   浅見光彦シリーズは 常に登場人物が年をとりません。
   いつでも浅見光彦は33歳です。でもこれだけ長期間
   設定が変わらないと だんだん辻褄が合わなくなってきています。
   ファンの一人としては 年をとった浅見光彦さんも
   みてみたいですし、案外いいんじゃないかな~
   なんて思っています。