「出たの?」 「出た」
私がウォーキングに出る前に必ず家内と交わされる言葉だ。
自信満々に「出た」とは云ったものの不安はある。
だから、いつものようにウォーキングの予定ルートを教えて家を出る。
周囲の町は30℃を超えて「暑い」と悲鳴を上げているようだが、私の町は未だ20℃。
それなのに半袖を着るのは夏だと思いたいから。
家内に教えたルートを大股で歩き、交差点からジョギング。
先に橋が架かっているので緩くて長い上り道だ。
辛いと思っただけで歩いてしまうので、できるだけ先を見ず手を大きく振って進む。
橋の頂点を過ぎて、少し気が緩んだのか意識せずに気体が漏れた。
気体の後に固体が隠れているような感触なので迷わずUターン。
脂汗を流しギュっとしながら歩く。
私はスマホを取り出し「緊急事態。よつば前」とルンバに発信。
「急がなくて良いよ」と云うのは、私の優しさだ。
一生懸命合流地点を目指して歩いていると「よつ葉前」に車が停まったのが見えた。
ゴールが1キロ程縮まったと云う事だ。
「未だ余裕があるから急がなくても良かったのに」と云う私に
「余裕のある歩き方ではなかった」と云うルンバ。
「お尻を突き出し、誰が見ても変な歩き方だった」と云う。
そこまで変じゃなかったと思うのだけれど・・・・・
私は運転席に座り、アクセルを踏みゴール地点へと急いだ。