今日、借りていた本の返却日だと知ったのは二日前。
飛ばし読みして、何とか借りていた本を読破。
苦労して言葉を選び、書いた作家さんには申し訳ないが、袋に入れて玄関を出た。
途端に浴びた冷気と強風。
吹き飛んだハゲ隠し用のキャップを拾い上げ、頭に載せるのを諦めて車のヒーターを最大にした。
車のインパネで確認したが、外気温は0℃。
そんな気温の中でも根性のある人はウォーキングしていた。
私もこの冬は雪が降ってもウォーキングを頑張るぞと決めていたのだけれど、(チョット無理かも)と云う気弱な悪魔が心の中で大きく膨らんだ。
市内にいくつかある図書館の分館へ行き本を返却。
一応書棚を確認したが借りたかった本が無いのはネットで確認済だったので、
その本がある少し遠い分館を目指してハンドルを握った。
いつも思うのだが図書館には爺ちゃんが多い。婆ちゃんの5倍はいるように思う。
爺ちゃんは独りで椅子に座り新聞や雑誌を読み、時を潰している。
定年を過ぎて給料を入れなくなった爺ちゃんの居場所が家には無いのだろう。
きっとパチンコへ行くか図書館へ行くしか無いのだ。
婆ちゃんは集う。
どう云う仲間かは知らないが皆笑顔で図書館の入っている建物の別室へ行きダンスを楽しみ大声で歌う。
そして、申し合わせたように旦那の悪口を云っては憂さ晴らしをして笑っているようだ。
「帰宅して、爺ちゃんって可哀相だ」とルンバへ報告したら
「お父さんは、どうなのさ」と云われた。
考えてみたら私も爺ちゃんだ。車には高齢者マークを貼っている。
「俺はねぇ・・・・・霞。霊のような存在。」
「ナニソレ」と云われたが
「視線を合わせないようにしている。目立たないようにしている。息を殺している。屁だって遠慮して限りなく無音」
それを聞いた女王様の豪快な笑い声が家を揺らした。