気温は4℃。
日陰を除いて道の端に積み上げられている雪の大半は消えた。
微かに聞こえるのは、せせらぎのような水音。雪融け水が下水に流れ落ちる音だが、無理して思えば古都、京の美しい庭を流れる水音に聞こえる。
その中を厚着しスニーカーを履いてウォーキング。
診察、検査日が近いので、そろそろ気合いを入れなければならない。
今日は2キロ地点までウォークし、Uターンして家までの2キロを走って戻ろうかと思いながら突き刺すような冷気の中を進む。
心配なのはモヨオシタ時に援軍を呼べないことだ。ルンバが肩を痛めているのでハンドルを握れそうにない。
橋を越えた所で、それが心配になり早めにUターン。
走っていたらチョットだけ気配。先発隊である「気体」が私の許可なく出た。
ヤバイのではないかと思いながらも援軍を頼めないのだから自分の力だけで帰宅しなければならない。
ギュッと締めて走っていたらスマホが鳴りだした。それもかなりしつこい。
厚い手袋を脱いで応答したら、珍しくも昔両親の店で働いていたI子ちゃん。
私が中学生の頃に高校を卒業して住み込みで働くことになった、姉のような存在の人だ。
走っていた足をウォークに戻し、部分を締めながら話す。
「元気? と云う声と共に 何か息切れが凄いね、大丈夫?」と言われた。
そりゃそうだ、ギュッとしながら走っていたのだから。
「昨日、お寺へお参りに行ってきたよ」と云う報告だった。
「わざわざ有難う」と言いながら何とか早く電話を終えたい私。
「ゴメン、ジョギング中なので帰ってから電話するね」と云ってスマホをウエストバッグに戻した途端、「本体」が隙間をこじ開けて顔を出した気配を感じた。
私は急停止し、思わず天を仰いだ。