自己理解、そして他者理解のために
哲学・ビジネス・雑記・洒落物など等
舟越健之輔『われ広告の鬼とならん』
(ポプラ社)を読んでいる。
興味深い箇所が満載である。
電通は昔、日本広告株式会社
と電報通信社に分かれていた。
両社とも光永星郎という方が創業した。
彼は企業を伸ばしていくには、人材が不可欠
との思いから東京大学の人材を求め、
その中に電通を急成長させる原動力となる
吉田秀雄もいた。
二・二六事件後に通信部門は
政府御用の同盟通信社に
吸収され、同盟通信社から広告部門
が電通にくっつき、電通の事業は通信
と広告の2本柱だったが広告専門会社となる。
昔、広告の社会的地位は低く、
うさんくさい商売と思われていた。
そんな中、吉田秀雄という人物が
今の電通へと引き上げていくのである。
今日たまたまTVを観ていたら、
中国の工場で働く若者が変化しているという
特集をやっていた。
場所は広東省シンセン。
変化というのは、以前は農村部から出てきた若者は
家族に仕送りをするために働いていたが、今は自分
のために働くという人が増えてきたという意識の変化
のことだ。
ストライキの件数も急増していて、
ここ数年で約20万件も起こっているそうだ。
■シンセンが中国の中で先端をいっているのか、
外資が進出している都市部の工場全体での
動向なのか、
■10~20代のマジョリティ意識なのか、それとも
数百万人単位のレベルなのか、
わからないが、状況は深刻のようだ。
日本の高度成長期のころと同じ状況なのだろう。
企業が稼いでいるのを知り、
より高い賃金を求めるのは当然の権利だと思う。
問題は人口規模が巨大、格差も巨大ということだ。
若者が農村部から都市部に出てきて今までに
持ったことのない給料を手にすれば、自然とより
情報を得、さらに多い給料をもらっている人を
知れば、「自分も」となるのは当然、しかし、
その状況が分からない家族にとっては
深刻だ。家族内に情報や収入の格差が出てくる。
さらに都市部で生活、結婚し、子供を生み、
定住となると田舎へ帰る意識は残るのだろうか?
さらに一人っ子となるとその孫は親の親を顧みる
ことなどあるのだろうか。
中国は変革期、注視する必要がある。