借りたくてもなかなか手に入らなかったのですが、やっとみることができました。
岩井俊二監督の『リリィ シュシュのすべて』を連想させた。
リリ~は、いじめの問題と歪(個と社会の)が背景にあったように思う。
似ていると感じた理由は三つ
◆映像が綺麗 光と影の使い方が巧み
◆無駄な会話がなく、見ているものに緊張感をもたらし、想像を促進させる。
◆しかも、「現実的」な範囲で。
この『誰も知らない』は是枝裕和という人が監督。
よく知りませんが、「表現者」だとおもいました。
台詞は少なくても登場人物の気持ちの揺れ動きが伝わってくる映画でした。
4人の子供はオーディションで選ばれ、
本当にあった話をもとにつくられた。
子供4人を残して、母はでていった。
そして長男が親的な役割を懸命にはたそうとする(経済的な工面)。
しかし、12歳ではそれも無理。
やがて、衣食住のうち、衣(ぼろぼろ化)、食(カップ麺化)、住(滞納化)
の順で現実が4人を襲い、どうしようもない親のいない孤独、現実経済社会に飲み込まれていく。
長男、長女、次女、次男の四人。
やはり力の乏しい次女から・・・・。
それでもまだ現実は無常にも続く。
一つ思ったことは、きっと人間はDNAのレベルで寂しいと思う気持ちが刻みこまれているのでしょう。
どんなに努力しても絶対に一人では生きれませんし、活きれません。
見た後に悲しみの感情はあまり引きずりませんでした。
ただ、現実に起こった事件をもとにして作られたために、事件の当事者が当然生きているということです。これは忘れてはならないとおもいました。
きっと想像を絶するプレッシャーのなかで生きた時期があったでしょう。
もう一方で密度の濃い時間を兄弟で姉妹で共有できたことでしょう。
テレビで流される日がくることを望みたい、そして多くの人の感想を聞いてみたい、そういった映画でした。
『誰も知らない』オフィシャルHPより